『おでん屋 ふる里』
作;ベル
1
「やれやれ、やっと終わったよ。たまには帰りに一杯どうだい?」 「それセクハラです。もっとも奢りならちょっとだけ付き合いますけど(笑)?」 「そりゃパワハラだよ。女性の立場を利用して 一方的に男性側へ金銭負担を求めちゃダメだよ(笑)」 係長の誘いに私は冗談で応え、係長も軽くとぼけてみせた。 中途採用が多くなり、人事部は季節に関係なく忙しくなっていた。 もともと人手も少ないのにやらなければならない仕事が多い部署だが 最近はさらにコンプライアンス教育という負担が増えた。 これもご時世と割り切るしかないが 32才の独身女性社員を毎日遅くまで働かせるのだって コンプライアンスに反しているのではないか?
もっとも忙しい割には人間関係は良好で、特に職場への不満はなかった。 バブルの頃の話を聞かされると羨ましくもなるが 『失われた20年』『就職氷河期』を過ごしてきた私たちの世代は 会社のお金で飲み食いしようなどと最初から期待していなかった。 誰もがみな同じという訳ではないが 少なくとも私は一人でゆっくりとお酒を、 出来れば日本酒を楽しみたいと思っていた。
その日は係長と会社の最寄り駅で別れ、私は帰宅途中の駅で降りた。 親と同居しているので家に帰れば食事も出来るのだが 遅くなった日は外で食べるようにしていた。 一時期はネットの口コミも頼りにしていたが、味覚は人それぞれだし チェーン店など集客率が高い店は評価も高くなりやすいので 最近は自分で店を探すようになった。 当たりハズレも大きいが、入ってみないと分からない楽しさもあり 今では密かな楽しみでもあった。
そしてその夜、私は偶然訪れたおでん屋『ふる里』に入った。
2
「いらっしゃいませぇ!」 暖簾〔のれん〕をくぐると同時に、女将さんの元気な声が店に響き 同時におでんのだし汁の香りがした。 「ああ、美味そうな良い匂い・・・あ、えっ?」 私は自分の目に映る光景が理解出来なかった。 「な、何で?え〜っ!」 カウンターの中でおでんの具を菜箸で突いている女将さんは どういう訳か素肌に割烹着〔かっぽうぎ〕だけしか 羽織っていなかったからだ。
「あら、女性のお客さんは久しぶりだわ。お一人?狭いけど、奥へどうぞ」 女将さんはごく普通に話し掛けて来たが むしろコチラの方が落ち着かなかった。 年令は40才くらいだろうか? 和服に似合いそうなアップスタイルの髪型。 白い肌と対照的な、鮮やかな口紅。 クラブのママでも通用しそうな容姿は おでん屋には不釣り合いな程だった。 私は女将さんに案内されるまま一番奥の席に座った。 「寒かったでしょう?コート預かりますね」 女将さんはカウンターから出て私のコートを受け取ると 衣紋掛けのハンガーに手を伸ばした。
「・・・(本当に割烹着しか着ていないんだわ)」 女将さんの後ろ姿は素肌が丸見えだった。 一応、襟足〔えりあし〕と腰の部分で細い帯が結ばれてはいるが 下着は全く着けていないため 背中から白い足袋〔たび〕まで、もちろんお尻の割れ目も丸見えだった。 割烹着自体はごく普通のどこにでもある品のように見えた。 「驚いた?驚くわよね。 でもこの衣装のおかげで繁盛させてもらっているのよ(笑)」 女将さんはフフフッと笑いながらカウンターの中に戻った。 割烹着の正面側は丈も長く、大切な部分は一通り隠せているが 少し屈むと割烹着の下に何も着けてないのが分かるほど 胸元が開いてしまっていた。
「お客さんには宣伝しないでってお願いしているから ブログやツイッターでは紹介されていないけど 少しずつ噂は口コミで広がっているみたいなのよ」 それはそうだろう。こんな姿でやっているおでん屋など聞いた事もない。 「美人女将だなんて自分の口からは言えないけれど お客さんはこの割烹着姿だけを目当てに何度も通ってくれないわ。 やっぱり味もそれなりに良くないとね。 今日は何にします?おススメはがんもどきよ」 「初めてなので、お任せで。それと熱燗〔あつかん〕を1本」 「まあ、お酒もイケるのね。うれしいわ」 女将さんから徳利〔とっくり〕を手渡された時 大きく開いた割烹着の胸元から女将さんの胸の谷間が見えた。 「・・・(確信犯でしょう?でも、ある意味『コロンブスの卵』的な発想かも)」 本人さえ割り切れるなら、恥ずかしい衣装で接客することは 売上げに大きく寄与するだろう。 まして飲み屋ならほとんどが男性客相手だから、効果テキメンだ。
「あっ、美味しい!」 どうせ女の色気に惑わされるような人ばかり 相手にしている店だろうと思っていたが 予想以上におでんが良い味だったので、思わず口に出てしまった。 「だろう?だからみんな来るんだよ」 突然、隣の席から見知らぬ男性客が声をかけて来た。
「女将の裸なんか目当てじゃない、とまでは言わないが 美味いおでんと酒があるからこそこうして通うのさ」 「じゃあ女将さんがちゃんと着物を着ていても通います?」 私は意地悪く聞いたが、隣のお客は意に介さず答えた。 「うーん、そいつはどうかな? でも女将さんが割烹着も着なくなったら、毎日欠かさず通うね。 お金がなくても通っちゃうよ(笑)」 「ダメよ。お金が払える時だけ通って下さいね、仲本さん」 すかさず女将さんがツッコミを入れた。 「第一、割烹着まで脱いだら素っ裸になっちゃうじゃないの。 それに熱いおでんや熱燗を作るんだから 割烹着がないと火傷しちゃうわ。意味なく着ているんじゃないんですよ」 「そりゃそうだ、露出嬢でも火傷は嫌だよな? いや、露出嬢だから裸に火傷の跡は禁物なのか。ダハハッ(笑)!」 仲本と呼ばれたお客は酔っているのか、すっかり上機嫌だった。
「女将さんは恥ずかしくないんですか?露出狂なんですか?」 私は思い切って聞いてみた。 「そりゃ恥ずかしいわよ(笑) 常連さんは気心の知れた人ばかりだから襲われたりしないけど あなたみたいな、今日初めて来てくれるお客さんの前にも立つんだから。 でもね、恥ずかしいけれど嫌じゃないのよ」 「嫌じゃない?」 「四十路の女の身体でも喜んで見てくれる人がいるなんて むしろありがたいと思わないとね。 主人が残してくれた店を守りたい一心で思い付いた方法だけど 今ではやってみて良かったと思っているのよ」 「じゃあやっぱり女将は露出嬢だよ。 裸を見られて良かったと思う女の事を露出嬢っていうの。ウヒヒッ(笑)!」 今度は別の男性客が話に割り込んで来た。
「恥ずかしいけれど嫌じゃない・・・」 私は何度もこの言葉を心の中で繰り返していた。 「男が半裸の女を見れば喜ぶのは当たり前じゃない。 喜んで見てくれる人がいるなんて、そんなの理由になっていないわ」 私は露骨なまでに女を武器にしている女将さんにイラッとして クイッと杯〔さかずき〕を空けた。 しかし、店のお客はみんな女将さんに話し掛けていたし 誰もが笑顔で会話を楽しんでいるのが良く分かった。 「確かに注目を浴びるのは悪くない気分だけど、私にはとても・・・」 私は自分の立場に置き替えて考えてみた。
「普段の私は周りの男性に注目されているかしら? これでも美容には気を使っているし 人より容姿が劣っているとは思わないわ。 だけど今では職場でも私より若い子の方が多くなったし 以前よりお誘いも減ったのは事実。 どうなんだろう?上司や同僚は私を女性として 今でもまだ『性の対象』として見てもらえているかしら?」 私は次第に女将さんの笑顔が羨ましくなり始めていた。
「女将、お銚子〔ちょうし〕もう1本!これで20本達成だろう?」 「あら、高木さん。おめでとう!これからもご贔屓〔ひいき〕に(笑)」 女将さんはそう言って、私の方をチラッと見た。 「何だよ、女将。間違いないだろう?」 「そうだけど、今日は女性のお客さんもいるし・・・」 「さっきも恥ずかしいけれど嫌じゃないって言ってたじゃないか。 俺はコレが楽しみで毎日通っているんだ。今さら嫌とは言わせないぞ。 なあ、みんな。そうだろう?」 高木さんと呼ばれた太った男性客は、周りのお客にも同意を求めた。 そうだそうだ、と周りのお客も騒ぎ始めると 女将さんはしょうがないわねと言った顔をして、腰の部分の帯を解いた。 「・・・えっ?まさか!」 女将さんは続けて襟足部分の帯も解き、割烹着を脱いでしまうと その太った男性客に割烹着を手渡した。
「よーし、女将の割烹着は俺のモンだぁー!」 歓声と拍手が沸き起こる中 素っ裸になった女将さんは両手で乳房と股間を隠しながら 恥ずかしそうに訴えた。 「10分だけよ。10分たったら返してよ!」 必死に声を上げる女将さんに次々と注文が相次いだ。 「女将さん、俺もお銚子。それと・・・」 「俺はコンニャクと大根とちくわぶね」 「俺はごぼう天とはんぺん。それから・・・」 「俺は・・・」 「もう、順番に聞くからちょっと待ってよ!」 急に注文が続くのには理由があった。 女将さんが両手を使わざるを得ない状況を作っているのだ。
「今日は女性のお客さんもいるのに・・・」 そう言いながらも、女将さんは注文の品を器に盛ったり 徳利を用意し始めた。 露わになった乳房は身体の向きを変えるたびに左右に揺れ 逆三角形に生えた濃い目の陰毛も丸見えのまま作業に追われた。 色白な女将さんの裸は同性の私から見てもきれいだった。 「女将さん、乳首立っているよ(笑)」 「たまにはアソコの毛もお手入れした方が良いんじゃない(笑)?」 さすがに女将さんでも素っ裸になるのは恥ずかしいらしく 顔を真っ赤にしながら次々と注文をこなしていった。
「はい。10分経ちました。早く返して、割烹着返してよ」 女将さんがいくら手を伸ばしても、カウンター越しでは到底届かなかった。 「返して欲しかったらそこから出ないと(笑)」 「出る訳ないよ。女将は少しでも長く見られたいからそこに居るんだ(笑)」 「露出嬢の女将さんに乾杯―っ!」 「乾杯―っ!」 周りのお客は素っ裸の女将さんを肴に杯を交わし合った。 ようやく女将さんがカウンターを出て割烹着を取り戻すと その場で素早く割烹着を着直した。 同時に周りの人は残念そうに溜め息をついた。
「おい、他に20本達成しそうな奴は居ないのか?」 隣のお客は周りに話し掛けたが、誰も手を上げる人はいなかった。 「まあ、そうそう居る訳ないか」 「それにしてもお姉ちゃん、良いモノ見れたね。 今夜来れたのはラッキーだったよ」 「実際、女将さんが毎日スッポンポンになる訳じゃないんだぜ。 金さえあれば俺もどんどん頼みたいところだけど この店は金持ちの来るような店じゃないからなぁ」 周りのお客が次々に私へ話し掛けて来たが 私は目の前で起きた事に驚きすぎて、それどころではなかった。
「素っ裸になった。女将さん、みんなの前で素っ裸になった・・・」 いくら気心の知れた人だろうと、人数が少なかろうと、お店の中だろうと 私の理解を越えていた。 「見られると分かっていて素っ裸になるなんて・・・」 私の心臓は興奮と緊張でドキドキし続けていた。 そして再び『恥ずかしいけれど嫌じゃない』という言葉で 私の頭の中は一杯になり、グルグルと渦を巻くような感じになった。
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「大丈夫?少し飲み過ぎたみたいね」 気が付くと、私は眠ってしまっていたようだった。 他のお客はみんな帰ってしまった後で 女将さんが一人、私の席の隣に座っていた。
「一人でも帰れそう?もし家が遠いなら泊まっても・・・」 「いいえ、大丈夫。ちょっと休んだし、近くなので大丈夫です」 私は少しふらついていたが、意識はハッキリと戻り始めていた。 「よかったら、またいらっしゃい」 私は女将さんに見送られて、夜の町を駅に向かって歩き出した。
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それから数日間、私は『おでん屋 ふる里』の出来事が 頭から離れなくなっていた。 「恥ずかしいけれど嫌じゃないって、どんな気持ちなんだろう? 見られると分かっていて素っ裸になるって、どんな気持ちなんだろう? でも知っている人の前でだなんて、とても・・・」 私は自問自答しながら悶々とした日々を過ごし、ある結論に達した。 「もう一度あの店に行こう。それしかないわ」 翌週の夜、自宅からある物を用意してきた私は、再び『ふる里』を訪れた。
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「いらっしゃいませぇ!」 この日も暖簾〔のれん〕をくぐると同時に、女将さんの元気な声が店に響き 同時におでんのだし汁の香りがした。 「ああ、美味そうな良い匂い・・・」 緊張していた私は、この匂いで少し落ち着きを取り戻した。 「あら、また来てくれたのね。今日もお一人?さぁ、奥へどうぞ」 女将さんはこの日も半裸姿で働いていた。 すでに店内はほぼ満席になるほど繁盛していた。 「・・・(やっぱり今日も割烹着しか着ていないんだ)」 私は案内されるまま狭い店内を進み、この前と同じく一番奥の席に座った。
「今日も寒かったでしょう?コート預かりますね」 カウンターから出た女将さんは私のコートを受け取ると 衣紋掛けのハンガーに掛けてくれた。 もちろんそのせいで他のお客にも女将さんのお尻は丸見えになったが この日も女将さんは全く隠そうとしたりしなかった。 「ありがとう。ところでトイレをお借りしても良いですか?」 「どうぞ。その先の奥ですよ。ちょっと狭いけどキレイにしてあるから」 女将さんは私の本当の意図を知らず、愛想良く笑った。
「いよいよね。ああ、緊張で手が震えてきた。 でもやるの、やるのよ。やらないと分からないでしょう?」 トイレの中に入った私は、自分に何度も言い聞かせながら 持っていた布製のバッグをフックに掛け、静かにゆっくりと服を脱ぎ始めた。 『女将さんと同じ姿になってみなければ、どんな気持ちか分からない』 それが私の出した答えだったからだ。
「ああ、お店のトイレで裸になるだけでこんなに緊張するなんて・・・」 全ての服を脱いだ時、足がガクガクと震えて止まらなかった。 まだ誰にも見られていないし、裸になった事にさえ気付かれていないのに 恥ずかしくてたまらなかった。 「女将さんだって『恥ずかしい』って言っていたわ。 そうよ、裸になるのが恥ずかしいのは当たり前なのよ」 私はこの時点でオマンコからマン汁が内腿に垂れてくるほど濡れていた。 しかし、今日はココまでで十分だという思いと これでは何も分からないままだという思いが入り乱れて どうしてもこれ以上進む決心がつかなかった。 その時、突然ノックする音がした。
「大丈夫?」 「は、はい。すぐに出ます!」 心配して来てくれた女将さんに、私は思わず答えてしまった。 「そうよ。ようやく決心して来たんじゃない。 わざわざ準備までして来たんじゃない。やるの、今やるのよ!」 私は布製のバッグから自宅から持って割烹着を取り出し 脱いだ服や下着も全てバッグに押し込んだ。 そして割烹着に袖を通してから帯を締め、靴を履き直した。 「やるわ。女将さんだって同じ格好なんだから」 私は大きく深呼吸してから思い切って扉を開けた。
「おっ?」「何だ、どうした?」「えっ、嘘だろ?」「おおーっ!」 店が狭いせいで、私がトイレを出た途端に全員に気付かれてしまった。 「女将と同じだ。あの子、女将と同じ格好だよ」 「どうしたって言うんだよ。客なのにこんな姿になるなんて」 「女将さん、説明してくれよ。あの子、この前も来ていた子だろう?」 「わ、私にも何が何だか・・・」 私は騒然となる店の様子を見回した後、黙ったまま自分の席に座った。
「どうしたの?もしかしてあなたも露出嬢なの?」 女将さんは戸惑いながらも笑顔で私に聞いてきた。 「驚きました?驚きますよね。 でも今日はこの格好で飲もうって決めて来たんです」 私たちが話している間も、周りのお客は私の背後に回って 女将さんと同じように割烹着しか着ていないのか見定めようと必死だった。 「本当に割烹着だけみたいだぜ!」「マジかよ?」「女将さんの妹さん?」 周りの人は思ったことを次々と口にしたが 私が彼らの方を向くとあわてて目を逸らした。 どうも予想外の展開にバツが悪かったらしい。 おかげで私の方が周りのお客よりも優位なのだと自覚出来たが ドキドキする心臓の音に気付かれるのではないかと思うくらい 私の方も緊張していた。
「私は露出嬢じゃないけれど、ここ数日間は 女将さんはどんな気持ちなんだろうって事ばかり考えていました。 どうです、似合いますか?」 私は気丈に、かつ冷静に振る舞いながら一旦席を立ち 周りの人に見られているのを承知で、その場でゆっくりと回ってみせた。 「おおっ!」「すげーよ、この子もノーパンだ」「新しい露出嬢の登場だ!」 常連客は次第に興奮し始めていた。
女将さんと同じく、割烹着自体はごく普通のどこにでもある品だから 大切な部分は一通り隠せたが、後ろ姿はお尻がまる出しになっていた。 この日の私は髪をポニーテール風に高い位置でまとめ 女将さんのようにうなじが見えるようにしておいた。 鮮やかな口紅も女将さんを真似てみた。 元々肌は地黒なのでそこは女将さんと対照的だが その分、女将さんより身体が透けて見えているようだった。
「嫌々やらされたり脅されたりしているんじゃないなら大歓迎よ。 コレは私のおごりで良いわ」 女将さんはそう言って私に徳利を差し出した。 「じゃあ料理の方は今日もお任せで」 私は女将さんにも杯を渡し、二人で乾杯した。 コレを合図に周りのお客もリラックスしたようだった。 「露出嬢の女将さんとお嬢さんに乾杯―っ!」 「乾杯―っ!」 周りのお客は次々と私の隣に座っては、お酒とおでんをご馳走してくれた。 さらに今日はまだ来ていない常連さんに携帯で連絡し合い 閉店まで立ち飲み客が出るほど次々とお客が増え、大盛況だった。
「なぁ、名前なんてえの?俺は加藤。カトちゃんって呼んでくれよ」 「あ、えーと・・・さゆり。さゆりです」 突然、常連客に聞かれて とっさに壁に貼られていた演歌歌手の名前を名乗った。 「さゆりちゃんかぁ。あそこにもさゆりちゃんのポスターが貼ってあるけど 僕ぁ君の方が良いな。 だってコッチのさゆりちゃんはお尻出しているもんねぇ(笑)」 彼はそう言いながら身体を反らして 割烹着からはみ出た私のお尻を眺めた。
「女将さんは何だっけ?幸子?夏子だったかな?」 別のお客が女将さんにも声を掛け、女将さんも会話に加わった。 「あや子ですよ。私と同じ名前の歌手のポスターも貼ってあるでしょう?」 「ああ、そうそう。そうでしたーっと。ヘヘヘッ(笑)」 常連客たちはすっかりご機嫌になっていた。 「新しい子に目が行くのはしょうがないけれど、私のお尻も可愛いわよ。 ねえ、志村さん。あなたは私のお尻の方が好きよね?」 そう言って女将さんはカウンター内で後ろ向きになってみせた。 「女将さん、今日はもっと頑張らないとダメだよぉ」 「そうそう。お客のさゆりちゃんがココまでやっちゃうんだからぁ 女将さんはもーっと俺たちを楽しませてくれないと。そうだろう、みんな?」 「あら、ダメよ。私、こう見えても安売りはしないの。 もっと見たい人は20本達成出来るように頑張ってくれなくちゃ」 女将さんはそう言いながら腰帯だけを解き 両手でクルクルと回しながらおどけてみせた。
「商売上手だねぇ、女将さんは(笑)」 「おい、そろそろ20本達成しそうな奴は居ないのかぁ?」 常連客が周りに話し掛けると、私の隣に座っていたお客が手を上げた。 「いや、たぶんもう今日で21本になったと思う。 さゆりちゃんだったっけ?彼女が気になって申告し忘れてたよ(笑)」 「えっ?そうでしたっけ?」 女将さんが伝票を見直すと、本当のようだと分かった。 「気付かなかったお詫びも込めて、今日はソッチ側で脱いじゃおうっかな」 すでに女将さんもかなり酔っていたらしく 自分から店内の通路に出ると、襟足部分の帯を解いて素っ裸になった。 「長さん、おめでとう!これからもご贔屓に(笑)」 さらに女将さんは裸のままそのお客に背中側から抱きついて 嬉しそうに笑った。
「恥ずかしいけれど嫌じゃないって、こんな気持ちなのね。 見られると分かっていて見せるって、こんなに楽しいのね」 この日、私も終始ご機嫌だったが、それでもそれ以上の事はしなかった。 割烹着だけの半裸姿で店内の別の席に移動する事はあっても 女将さんのように割烹着を脱ぐことはしないと決めていたからだ。 「女将さんには売上げ増という目的や ご主人が残した店を守り続けていくという理由があるけれど 私にはそこまでする理由がないもの。 今日は女将さんがどんな気持ちか知るためにやった事なんだから」 実は今になって少しやり過ぎた、と後悔していた。 露出狂のように思われる自分を認めたくなかったのだ。
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「大丈夫?今日も飲み過ぎたみたいね」 気が付くと、私はまた眠ってしまっていたようだった。 他のお客はみんな帰ってしまった後で 女将さんが一人、私の席の前で食器を洗っていた。
「この前と違って二人とも割烹着姿ね。私、嬉しかったわ」 女将さんはそう言ってニコッと微笑んだ。 「女将さんがどんな気持ちなのか分かった気がします。 でも、私にはまだ素っ裸になるのはちょっと・・・」 「いいのよ。正直驚いたけど、良かったらまたいらっしゃい」 私は服を着直して、女将さんに見送られながら
夜の町を駅に向かって歩き出した。
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それから数週間、私は『ふる里』に不定期で訪れた。 もちろん行く度に割烹着姿になっているので 私は常連客ともすっかり仲良くなり、さゆりという偽名もすっかり定着した。 「それにしても荒井さんはタイミング悪いよな? まだ一度もさゆりちゃんに会った事ないんだろう?」 「そうだ。今度さゆりちゃんが来たら必ず電話しろって頼まれていたっけ」 「掛けろ掛けろ。後になって気付かれたら面倒だぞ」 「そうよ。どんどん電話してお客さんをいっぱい呼んで頂戴な(笑)」 女将さんも笑いながらけしかけた。
「さゆりちゃんのおかげで あなたがお店に来ない日もお客さんが増えたのよ。 みんなが口コミで『女将さんと同じ格好に着替える女性客が来た』って 言いふらしたらしいの。いつもいる訳じゃないのにね」 女将さんは私の杯にお酒を注ぎながら教えてくれた。 「でもおかげで今月の売上げは去年の倍よ。 さゆりちゃんが来ない日も、あなたが来ることを期待したお客で埋まったし 来た日は来た日でほとんど最後まで居てくれるから みんなも帰らないんだもの(笑)」 「私こそみんなにご馳走してもらってばかりで、申し訳ないです。 ここ何回かは最初の1品と熱燗1本ぐらいしか注文していないでしょう?」 「みんながさゆりちゃんにご馳走したがっているんだから そんなの気にしなくて良いのよ。 お尻を見せている女の子の側(そば)に座れるなら安いモンでしょう? 私もお金さえちゃんともらえれば、誰が払ったかなんて気にしないわ(笑)」 女将さんと私は笑いながら乾杯した。
「恥ずかしいけれど嫌じゃないって気持ちを知ったせいか 最近、会社の上司や同僚に色っぽくなったって言われたんです。 もっとも私が『ふる里』でどんな格好をしているかは内緒ですけれど」 「そうよ。女は見られて魅せるようになるモノなのよ。 でも、会社を辞めてしまうならカミングアウトしても良いけれど 露出癖を告白して良い結果になる事は稀(まれ)よ。おススメしないわ」 「告白するつもりは全然ないんですけれど・・・」 すっかり露出嬢扱いされることに慣れている自分が可笑しかった。
「何?さゆりちゃん、この店以外では全然脱がないの? その気になったら、いつでもこの仲本オジさんに言ってくれれば 見張り役としていつでもどこでもお供しますよぉ(笑)」 「何言ってやがんだ。他所なんかに行かなくたって その分ココで遠慮せずに脱げば良いんだよ。 その時はぜひ、この高木めに割烹着をお預け下さいマセ(笑)」 初日にもお店に居たこの二人とは特に仲良しになっていた。 どちらも同じ商店街の店主らしいが あまり自分の店の事は話さないので、私からもあえて聞かなかった。 もし日中にお店に行く機会があればきっとサービスしてくれるだろうが 私にとって『ふる里』は気兼ねなく過ごせる夜のお店なので 日常の世界を持ち込みたくなかった。
「やっと会えたよ。さゆりちゃん。会いたかったよぉ」 見ず知らずの人がお店に入って来たかと思ったら コチラを見るなり手を上げて親しげに声を掛けて来た。 「どなたですか?」 その人は戸惑う私の後ろ側にしゃがみ込むと 私のお尻を真近から遠慮なく眺め始めた。 「ちょっと、荒井さん。さゆりちゃんが怯えているでしょう? 初対面なのに馴れ馴れしいわよ」 「だってしょうがないじゃん。噂の露出嬢に会えて嬉しいんだよ(笑)」 「理由になっていない。さゆり親衛隊、出番よ!」 女将さんが言うやいなや すぐに仲本さんと高木さんがニヤけた荒井さんを引き離してくれたが 私はその場でお尻まで触られるんじゃないかとドキドキしてしまった。
「さゆりちゃん、ゴメンね。でも荒井さん、ずっと会いたがっていたの。 私に免じて許してあげて」 女将さんは苦笑いしながら、両手を合わせて私を拝んだ。 店の入口まで押し戻された荒井さんは、まるでコントのように 親衛隊の二人から何度も頭をペシペシと叩かれていた。 「いえ、驚いたけど大丈夫です。お二人ももう許してあげて下さい」 「良かったな。さゆりちゃんのお許しが出たぞ」 「常連客の印象が悪くなったお詫びにおでんを献上せよ。分かったな?」 親衛隊の呼び名が気に行ったのか 仲本さんと高木さんは胸を張って自分の席に戻った。
「じゃあ餅巾着と玉子を荒井さんのツケで献上させて頂きまぁす(笑)!」 女将さんも悪ノリして、器に両手を添えながら深々とお辞儀をした。 「いいのかしら?でも献上品を断るのはかえって失礼ですよね?」 私も差し出された器を両手で受取り、女将さんを真似てお辞儀をした。 「いよっ、荒井ちゃん。太っ腹。日本一!」 さらに加藤さんが声を上げ、周りのお客からも拍手が沸き起こった。 お客の平均年齢が高いのでお笑いネタも昭和っぽいが 私はこの店の雰囲気にすっかり馴染んでいた。
「姫さま。いかがですか、お味は?」 女将さんは悪ノリが気に入ったようで、さらに続けた。 「うむ、とても良い味じゃ。妾(わらわ)は満足であるぞ。 今度は妾から皆に褒美を与えよう。女将、お銚子を1本頂けるかな?」 「ははぁ、かしこまりました(笑)」 女将さんはそこまで言うと、ついに堪えることが出来なくなったようで そのまま笑い出してしまった。 つられて私や周りのお客も笑い始めたが いつもふざけている志村さんが真剣な顔をして突然立ち上がった。
「ちょっと待った!さゆりちゃん、今のはお銚子を注文したって事だよね?」 「えっ?そうだけど、何?」 「おめでとう、さゆりちゃん!これでようやく君も20本達成しましたぁ!」 「本当か?」「よくやった」「おめでとう」「女将さん、準備OK?」 自然と周りのお客から歓声が上がり、女将さんも拍手してくれた。 「私、ご馳走してもらってばかりだったのに。そうなんだ、もう20本も・・・」 自分では全く意識していなかった20本達成。 正しくは、いつも最後は酔ってしまって本数を数えていなかったのだが ちゃんと記録している人がいるらしい。
「さゆりちゃん、あらためておめでとう!これからもご贔屓に(笑)」 女将さんはそう言って腰の部分の帯を解こうとしたが 私は大きな声でそれを制止した。 「女将さん、ちょっと待って!」 一瞬、店中のお客が息を呑んだが、私は大きく深呼吸して言葉を続けた。 「私も一緒に脱いでも良いですか?」 「えっ?」 「今夜は私も女将さんのように素っ裸になってみたいんです」 「おおーっ!」「ついにさゆりちゃんも?」「すげぇよ、今日も来て良かった!」 再び周りのお客から歓声と拍手が沸き起こり、大騒ぎになった。
「本当に良いの?あなたが周りのお客さんに気遣う必要はないのよ?」 女将さんは心配そうに私の目を見つめながら言った。 「ううん、そんなんじゃないんです。 私もすっかり馴染んじゃって、いつも楽しく飲ませてもらったから 素っ裸まで見られる気持ちも知りたくなったんです。 実はずっと前から私もやってみたいと思っていたんだけれど キッカケがないと思い切れなくて・・・」 私はそう言いながら席を立った。
「女将さんのように自分だけが素っ裸になるのはまだ無理だけど 一緒になら出来る気がするんです。もう私も露出嬢だから・・・」 私は女将さんより先に腰の部分の帯を解いた。 「本気なのね?じゃあ一つだけアドバイスしてあげる。良く聞いて」 女将さんもカウンターの中で腰の帯を解き始めた。 「裸になる時は、恥ずかしいと思いながら脱ぎなさい。 女なら裸になるのが恥ずかしいのは当たり前。 でも恥じらいを忘れてしまったら女の魅力まで失ってしまうわよ」 女将さんは話しながら、続けて襟足の帯も解いてしまった。 「恥ずかしいのに見られたい。だけどやっぱり恥ずかしい。 そんな女の身体だから男ももっと見たくなるの。 さあ、今度はさゆりちゃんが帯を解く番よ」 私は女将さんに言われるまま、素直に腰と襟足の帯を解いた。
「最後は一緒に脱ぎましょう。良いわね?」「・・・はい」 女将さんと私は見つめ合いながら頷(うなず)くと 私たちはゆっくりと割烹着の袖を抜き、二人揃って素っ裸になった。 「おめでとう、さゆりちゃん」「ふる里、最高!」「露出嬢、バンザーイッ!」 同時に周りのお客から歓声と拍手が沸き起こり、店はお祭り騒ぎになった。
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「裸になったわ。ついに私もみんなの前で素っ裸に・・・」 脱ぎ終えた割烹着を握り締めていると 初めてトイレで服を脱いだ時のように足がガクガクと震えてきた。 「ああ、すごく恥ずかしい。想像以上の恥ずかしさだわ。 割烹着だけしか着ないのには慣れたつもりだったけど 1枚だけでも着ているのと何も着ないのとでは、こんなに違うなんて・・・」 素っ裸になった私は、両手で乳房と股間を隠しながら 顔を真っ赤にしてうつむくしかなかった。
「約束通り、その割烹着はこの高木めにお預け下さいマセ」 「何?」 返事をする間もなく、高木さんは私の割烹着をサッと取り上げた。 「では女将さんの割烹着は、この仲本がお預かり致します(笑)」 仲本さんもカウンター越しに女将さんの割烹着を受け取ると 高木さんに渡した私の割烹着と併せて丸め込み、帯で結んでしまった。 「畏れ(おそれ)ながら、割烹着はすぐには着直せなくさせて頂きました」 「どうぞスッポンポンを心ゆくまでお楽しみ下さいマセ(笑)」 息の合った二人の連携作業は、親友ならではのものだろう。 「初めてのさゆりちゃんにもそこまでやる(笑)?」 両手で乳房と股間を隠しながらも、女将さんはツッコミを忘れなかった。
「おい、女将さん。さゆりちゃんのためにも もう暖簾は仕舞った方が良いんじゃないか?」 常連客のリーダー格でもある長さんが、私たちに気を使って提案した。 「そうよね。今、ご新規のお客さんに突然来られたら、私も困るわ」 「よし。じゃあ俺に任せておけ!」 さっき店の入口まで押し戻されたまま座っていた荒井さんは 名誉挽回とばかりに立ち上がり、曇りガラスの戸を開いて外に出た。 「えっ?」「あのバカ!」「コラッ!戸を開けたままにするヤツがあるか」 ほんの十数秒でしかなかったが、冷たい夜風が店内に流れ込み 表通りを歩く人から店の中まで見通せる状態になった。
「いけねぇ!」 長さんに怒鳴られて、荒井さんはあわてて暖簾を仕舞いこんだ。 幸い、誰も店内を覗き込んだ様子はなかったが 私は通路の正面に立ったまま、戸を閉めてもらうまで動けずにいた。 「もし通りを歩く人が店の中を覗けばまともに見られてしまうのに さゆりちゃんは隠れようともしないんだねぇ(笑)」 「女将さんでさえとっさにしゃがみ込んだよ。 何でさゆりちゃんは隠れなかったの(笑)?」 「きっと来月には女将さんよりも先に脱ぐようになるだろうよ(笑)」 「いや、違うんです。驚いてしまって何も出来なかっただけで・・・」 もちろん誰一人として私の言い訳を聞く人は居なかった。 「さあ、準備は整ったわ。 さゆりちゃんに素敵な思い出を作ってあげましょう。 みんな、協力してくれるわね?」 「おーっ!」 女将さんの呼び掛けに、常連客は一斉に拳を突き上げて応えた。
「じゃあ、さゆりちゃん。そのまま入口まで歩いてくれる? 店の奥に居たままじゃ入口付近の人には良く見えないから」 私は両手で乳房と股間を隠し続けていたが 女将さんに言われるまま、ゆっくりと入口の方に歩き出した。 「恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい・・・」 顔から火が出るほど恥ずかしい、という例えがあるが 今の私の頭の中は「恥ずかしい」以外の言葉が思い浮かばなかった。 「店が狭いから入口までたどり着いたら戻って来てちょうだい。 そうすれば前も後ろも見てもらえるから」 女将さんはさらっと言うが、手も足も興奮と緊張で震えたままだったし 頭の中はグルグルと渦を巻くような感じがするほど混乱していたが、 それでも何とか元の位置まで戻って来れた。
「上出来、上出来。じゃあ次は両手でオッパイを隠して。 その代わり、もうアソコの毛を隠すのはやめちゃおっか。こんな感じよ」 女将さんはカウンターの中で見本となる姿勢をやって見せた。 私が同じように女将さんの姿勢を真似ると 初めて露わになった陰毛にみんなが注目した。 「へぇ、やっぱり女将さんとは生え方が違うんだねぇ」 「さゆりちゃんの毛は女将さんより短くて縮れて(ちぢれて)いる気がする。 生えている量も少ないんじゃないか?」 「おい。前のヤツはもっとしゃがめよ。後ろからじゃよく見えないぞ」 「大丈夫よ。さゆりちゃんにはもう一度入口まで歩いてもらうから。 恥ずかし過ぎて歩けなくなるくらいじっくり見て上げて(笑)」 私は両手でオッパイを隠したまま、再び店内を往復した。
「やだ、どうしてこんなに?このままじゃ気付かれちゃう・・・」 興奮した私のオマンコはマン汁が溢れそうになるほど濡れていた。 手を伸ばせばいつでも触れる距離で 顔見知りの人たちの前を素っ裸で歩かされれば 女性なら誰だってそうなるだろう。 「ああ、みんなの視線が下半身に集中しているのが分かるわ」 私は言葉通り、その視線を『肌』で感じていた。
「じゃあ次はコレを使って隠す範囲を狭めてみて。こんな感じよ」 女将さんはカウンターの中で木の匙(さじ)を両手に持つと 次にやる姿勢をやって見せた。 匙といってもスープ用の匙ではなく茶碗蒸しに使う様な小さな物だった。 もちろん乳首ぐらいしか隠せず、はみ出した乳輪は丸見えだった。 「こんなの意味がないです。ほとんど隠せていないじゃないですか。 むしろ何も隠さないより恥ずかしいくらいですよ!」 私は耳まで真っ赤にしながら、初めて女将さんの言葉に抵抗した。 実は私にはコンプレックスがあった。 元々肌は地黒なのだが、それ以上に乳輪の色が濃く オッパイに比べて乳輪も人より大きかったからだ。 以前、同級生の女の子に「なんか遊んでいる感じがする」と言われて以来 私は人前で着替えるのも避けるようになっていた。
「ムキになるなんて、本当に恥ずかしいのね? さゆりちゃんはオッパイを見られるのが一番恥ずかしいのね? でもそれでいいのよ。女の恥じらう姿こそ男がもっとも見たい姿なの。 乳首だけ隠すなんて、素っ裸よりも不自然であり得ないわ。 だからこそ意味があるの。これは命令よ!」 女将さんはハッキリとした口調で私に言った。 「ああ。恥ずかし過ぎて、もう何も考えられない。 女将さんの言葉通りにする以外、どうしたらいいのか思い付かないわ」 私は女将さんが差し出した木の匙を受け取ると その匙で両乳首だけを隠す姿勢になった。 そしてそのままフラフラと入口に向かって歩き出した。 当然だが、今度はほとんど隠せていないオッパイにみんなが注目した。
「へぇ、やっぱり女将さんとは乳輪の色も違うんだねぇ」 「さゆりちゃんの乳輪が女将さんよりも大きくて濃いだなんて意外だな。 真面目だと思っていたけれど、一旦火が付くと燃えるタイプかな?」 「露出嬢だぞ?もう見られただけでメラメラと真っ赤に燃えているよ(笑)」 私自身は目眩(めまい)がするほど混乱しているのに 常連客のイヤらしい言葉はほとんど全て聞き取れていた。 しかも歩くことで木の匙が私の乳首を転がすように刺激し続け 触ってもいないオマンコからマン汁が垂れそうなほど興奮していた。
「ああ。恥ずかし過ぎて、本当に何も考えられない。 不自然だからこそ意味があるってどういうこと? どこか一部でも隠せていれば恥じらっていることになるの?」 私は何とか元の位置まで戻ると、そのまま壁にもたれ掛かってしまった。
7
「はい、ココで一休み。さゆりちゃんも一旦座って。 でも乳首だけはこのまま隠し続けていなくちゃダメよ(笑)」 そろそろ限界だと女将さんも思ったのか 私を抱きかかえるようにして椅子に座らせてくれた。 「もう終わり?」「もっと見てぇよ」「今度は女将さんが歩きたくなったのか?」 常連客のブーイングを無視しながら 女将さんは顔を近付けて私に小声で耳打ちした。 「・・・それ、私が言うんですか?」 「そうよ。私から言うより効果ありそうだもの(笑)」 女将さんも器を準備するために、手で身体を隠すのをやめてしまっていた。 「えーと・・・。皆さんの中でもっと見たいと思ってくれた人は おでんを注文して下さい。とっても美味しいので、よろしくお願いします」 私は木の匙で両乳首を隠した姿勢のまま、常連客に向かって頭を下げた。 「何だよ、それ」「女将、えげつないぞ」「さゆりちゃん、言いなりになり過ぎ」 常連客のブーイングはますます強まったが 女将さんはおでんの具を器に盛り続けた。
「さあ、準備出来たわ。帰る人がいたら、手を上げて(笑)」 女将さんは冗談のつもりで言ったのだが、常連客は全員が手を上げた。 「あらら。みんな本気で怒っているの?」 「そりゃそうだろう」「これで終わるなんてあんまりだ」「もっと続けてくれ」 中には本気で怒りそうなお客もいたが、女将さんは気にしていなかった。 「残念ね。親衛隊ぐらいはさゆりちゃんにご馳走してくれると思ったのに」 「分かったよ。さゆりちゃんの分は俺がご馳走するから。 でも本当に今日はこれでおしまいなのか?」 仲本さんは残念そうに尋ねた。
「おしまい?どうして?誰がそんなこと言ったの? 何かみんな勘違いしているみたいだけど 私はさっき『ココで一休み』って言ったハズよ?」 「は?」 「さゆりちゃんが歩き回ると 誰一人おでんもお酒も口にしないで見とれちゃうんだもの。 そりゃ気持ちは分からないでもないけれど それじゃウチも商売あがったりなのよね」 「えっ?じゃあ・・・」 「今度はさゆりちゃんにおでんを運んでもらいます。 器に両手を添えて運んでもらうから、身体は一切隠せないわ。 そんな露出嬢におでんを運んでもらいたい人は、手を上げて(笑)」 女将さんの呼び掛けに常連客は再び全員が手を上げた。
8
「じゃあ、さゆりちゃん。みんなにおでんを配ってくれる? 最初は入口付近の一番遠くに座っている人にしましょうか」 私が両手で器を受け取ると、女将さんはワザと大きな声で指摘した。 「器も熱いから気を付けてね。あんまり傾けると さゆりちゃんの椅子みたいに垂れたおツユで染みが出来ちゃうわよ」 そう言いながら女将さんは、さっきまで私が座っていた椅子を指差した。 「!」 誰にも気付かれていないと思っていたが すでに私のオマンコは座った椅子に染みを作るほど濡れていた。 「どれどれ?」「本当だ。染みが出来てるぜ」「さゆりちゃん、濡れてるの?」 器を手渡された後ではとっさに座面を隠す事も出来ず 私は黙り込むしかなかったが、それは肯定しているのと同じだった。
「恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい・・・」 再開早々、私の頭の中は「恥ずかしい」という言葉で一杯になり 両手足が小刻みに震え始めていた。 「どんなに恥ずかしくても、何を言われても 全ての人におでんを配り終えるまでは身体を隠しちゃダメよ。 一緒にやると言われた以上、私も全部配るまで隠さないから」 女将さんに急かされて、私はゆっくりと入口側のお客の方に歩き出した。 「さゆりちゃん、乳首が立ってるよ。見られると感じちゃうタイプなんだね」 「裸を見られたくて脱いだんだろう?もっとリラックスして楽しまなきゃ」 「俺のおでん汁をこぼしたら、さゆりちゃんのお汁を足してもらうからね」 常連客はここぞとばかりに、遠慮なく私の裸を眺めながら イヤらしい言葉で私の気持ちを揺さぶった。
「器を手渡したらさっさと戻って来てちょうだい。 じっくり見られたくなっても、冷めないうちにおでんを配る方が先よ(笑)」 女将さんにからかわれた事にすら気付かないほど 私の頭の中は興奮と混乱で揺れ始めていた。 「ああ、見られている。何もかも見られているのね。 恥ずかし過ぎて、また何も考えられなくなってきたわ。 更衣室で着替える時でもずっと隠し続けていた乳首や乳輪が 仲良くなった人たちの目に晒されているだなんて。 ああ、全身にみんなの視線を感じるわ」 最初の頃は、器を手渡した後は前屈みになって戻っていたが 何度か往復する内に器を持つ手の位置が次第に下がり 戻る時もどこも隠さないで配るようになっていった。
「はい。コレで最後よ。カトちゃん、お待たせしましたぁ」 「えっ、もう?」 女将さんに言われて思わず出た言葉を常連客は聞き逃さなかった。 「さゆりちゃん、まだ物足りないのか?」「見せたがりだねぇ」 「そ、そんな事ないです。ずっと恥ずかしくてしょうがないんだから!」 私は必死に弁解しようとするが 言葉で何を言おうとも行動が伴っていないのだからしょうがなかった。 「顔は真っ赤になったままだから、恥ずかしがっているのは分かるよ。 でもさっきからほとんど隠さなくなっているじゃん」 「それにさゆりちゃんの乳首、突き出るように立ちっ放しだしな」 「さっきだって木の匙で隠すフリして乳首を擦っていたんじゃないの?」 「違う。違います。そんなことしてません!」 常連客は遠慮なく私の裸を眺めながら、最後の器を手渡すまで 何度も何度もイヤらしい言葉で私を冷やかし続けた。
「さっき誰かに言われていた通り さゆりちゃんは一旦火が付くと燃えるタイプなのかも知れないわ」 「そ、そんな事ないです。だって今もほら、震えが止まらないんですよ?」 ようやく全員に配り終えた私だったが 席に戻らず身体も隠さないまま通路に立ち続けていた。 「震えが止まらないのは、みんなに見られ続けているからでしょう? 人の視線を素肌で感じられるようになったら本物の露出嬢ね。 どう、見せたがりになった気分は(笑)?」 そういう女将さんももう身体を隠すことを諦めたようだった。 一緒にやると私に約束したからではなく 女将さんも私も、本当は『見せたがり』なのだ。
「私なんて女将さんに比べたら、まだまだ見せたがりじゃないですよ。 女将さんこそ、最近は割烹着を脱いでも隠さなくなっているじゃないですか」 「それはさゆりちゃんのせいよ。 お客のあなたまでがお尻丸出しの割烹着に毎回着替えるから 私はそこまでしないと常連さんの興味を引き留められなくなったのよ。 若さでは勝てないんだから さゆりちゃんにはいつまでも素っ裸にならないでいて欲しかったわ」 すると私たちのやり取りを聞いていたみんなが苦笑した。 「ウソだね。さゆりちゃんが来ない日は『露出仲間が出来た』って いつも嬉しそうに話しているクセに(笑)」 「もう。それ言っちゃう?どうして言っちゃうかなぁ」 常連客の突っ込まれると、女将さんはめずらしく恥ずかしそうな顔をした。
9
「ところで、さゆりちゃんが20本達成したお銚子はどうなったんだっけ?」 「あ、そうだったわね。さゆりちゃんが一緒に脱ぐって言い出したから すっかり忘れちゃってた。ゴメンね、さゆりちゃん」 女将さんは慌ててお銚子を1本用意し始めた。 「妾(わらわ)は満足であるぞ。今度は妾から皆に褒美を与えよう。 ・・・なんて言うから、今か今かと期待していたんだぜ?」 「ゴメンなさい。じゃあ最初は志村さんに注いで上げるわ」 「普通に注ぐだけ?おでんを配る時は身体を隠さなかったんだから 褒美のお酒では、当然それ以上の事をして欲しいなぁ(笑)」 「それ以上の事をって言われても 何も隠さない以上の事なんて無いんじゃない?どうして欲しいの?」 「いや、どうするかまでは思い付かないんだけど・・・。なあ、何かない?」 「俺たちに振るなよ」「思い付かないな」「もうどこも隠してないんだからなぁ」 すでに酔っていない人がお店に居ない状況では 妙案が出るとはとても思えなかった。
「何かないか、と言われればないこともないけど。でもねぇ・・・」 沈黙を破って言い掛けた女将さんだったが、そのまま言葉を濁(にご)した。 「何かあるなら言ってくれよ」「俺たちじゃもう無理」「ダメ元で良いからさ」 「だってやるのはさゆりちゃんでしょう? 私でもちょっと尻込みするような案だから 今日初めて素っ裸になったさゆりちゃんにはまだ無理よ。うん、忘れて」 女将さんは頭を振りながら熱燗を取り出した。 「いや、大丈夫。今日のさゆりちゃんなら何でも出来る。な、さゆりちゃん?」 「今だってどこも隠さないまま通路に立っているんだぜ」 「こういう事って勢いが大事だよ。 女将さんが初めて割烹着姿で店を再開した時みたいにさ」 「どんな案なんです?言ってみて下さい。女将さんが言うなら、私・・・」 そこまで言って、ハッとした。 顔見知りになった人たちの前で、素っ裸のまま店内を歩き回った後なのに もっと恥ずかしい事をしたがっているようにしか聞こえなかった。
「分かったわ。でも『一緒に』ってさゆりちゃんと約束したんだし 言葉で説明するよりお手本を見せる方が良いかもね」 女将さんはカウンターから出ると、 唯一の座敷席の机を通路側ギリギリに移動させて まだ残っている小皿や徳利をどかし始めた。 「女将。まさか、アレをやる気かい?」 「そうよ。私が以前、古い常連さんへの感謝の想いを込めてやった 最も恥ずかしい露出サービス『ワレメ酒』よ。手伝ってくれるわよね?」 女将さんは机の上に上がると仰向けになり 通路側に向けてM字開脚の姿勢をとった。 当然、女将さんのワレメがパックリと開かれ 濡れたアワビのようなオマンコが露わになった。
「ええっ?」「ウソだろ、女将がここまでするのを見るのは初めてだ!」 当然、店中のお客は女将さんの真正面に回り込み 押し合いながら女将さんのオマンコを凝視した。 「さゆりちゃん、分かる?これがさっきの答えよ。 何も隠さない以上の事って『自分から恥ずかしい姿を見せる事』なのよ」 女将さんはそう言いながら自分で両方のオッパイを揉み始めた。
「ねえ、みんな。私を見て。私のオマンコ、濡れているでしょう? 何もかも見せて欲しいなら、私にイヤらしいポーズを命令してぇ!」 「じゃ、じゃあもっと腰を浮かせて見せてくれ!」 女将さんも顔を真っ赤にしながら腰を浮かせ、さらに大きく両膝を広げた。 「お、女将。もっとだ。もっと奥まで見せてくれ!」 女将さんは右手を股間に滑り込ませると 指先を逆V字に広げてオマンコの肉襞を開いて見せた。 「観音様だぁ!」「そこまで見せるか?」「女将のオマンコ、丸見えだ!」 常連客が狂喜乱舞する様子に、女将さんも満足そうだった。
女将さんの大胆な露出っぷりに、私も見入ってしまったが いつの間にか隣に来ていた長さんが私に話し掛けてきた。 「さゆりちゃん、この店の昔ばなし。聞いてくれるかい?」 常連客と対照的に、長さんは穏やかな口調で話し始めた。
「女将が旦那を亡くした後、何とかこの店を守りたいと思って 露出行為スレスレの割烹着姿で店を再開する事を思い付いたんだが こんなストリップ小屋まがいの淫らな営業方法は たとえお客が許しても、商店街の奥方の反感を買ってしまった。 当然、今まで親しくしていた友達も離れ、孤立した時期があったんだ。 まあ同性に共感が得られる方法ではない事は元々覚悟していたんだがね」 長さんはカウンターにあった杯を手に取ると クイッとあおる様に飲み干した。
「そんな頃、常連客しか居なかった夜に 女将が俺たちに弱音を吐いたんだ。 『もうどうしていいか分からない。店を続ける自信がなくなった』とね。 なぐさめて欲しくて俺たちに愚痴をこぼしんだろうが 俺はそうしなかった。そればかりか常連客の前で 『店を守るという決意が本物なら覚悟を決めろ』と厳しく叱ったんだ。 女将は泣きながら頷くと『もう二度と泣き言は言いません』と誓い 割烹着を脱ぎ捨てた。コレが女将が初めて素っ裸になった時の話だ」 長さんはお酒が残っている徳利と空になった杯を持つと 私の手を引いて常連客を押し退け、女将さんの正面に陣取った。
「お尻は常に見せるけど絶対に触らせない。 だが触らせない代わりに、20本達成するごとに誰の前でも素っ裸になる。 そういう暗黙の了解が出来て少しずつ常連客も増え 店の経営も軌道に乗り始めた。 タチの悪い酔っ払いからは常連たちが力尽くで守ってやった。 ある日、初めて素っ裸になった日に居合わせた常連だけを集めて 女将が『感謝の会』を催(もよお)してくれた。 あの日の誓いがあったからココまでやって来れました・・・とね。 そして感謝の意を込めた杯が、この『ワレメ酒』さ」 長さんが女将さんの顔を見つめると、女将さんも微笑んで黙って頷いた。
「女将、ご馳走になるよ」 長さんはお酒の入っている徳利を女将さんの陰毛の上の生え際に添え もう一方の杯をワレメの下の方に押し当てた。 「何が始まるの?」 長さんは無言のまま徳利を少しずつ傾けると お酒が陰毛を介して下へ下へと流れて行き 肉襞を伝って女将さんの愛液と混ざりながら下側の杯に注がれた。 もちろん全てが都合良く杯に集まるハズもなく 半分ぐらいは女将さんのお尻側に流れ 机の端から水滴となって床に滴り落ちた。
「当時の私が思い付いた『最も恥ずかしいお酒の飲み方』を 常連さんに提供して恩返ししたかったの。ねえ、長さん。飲んで見せて」 女将さんに応えて、長さんはその場で杯を飲み干してみせた。 「くうーっ、うめぇ!美味いぜ、女将!お前さんの味がするぜ(笑)!」 長さんはニッコリ微笑んで、その杯を隣の席のお客に手渡した。 「お、女将さん。俺も良いのかい?」 「今夜は私の大切な露出仲間が素っ裸になってくれた記念日よ。 こんな嬉しい日には相応しい飲み方だと思わない?」 「ああ。俺も女将さんとさゆりちゃんのためなら力になると約束するよ。 俺にとっても誓いの杯だ!」 「女将さん。俺も誓うよ」「俺だって!」「女将のワレメ酒で乾杯だーっ!」 周りのお客から歓声と拍手が沸き起こり、女将さんの前に行列が出来た。
「す、すごい。女将さん、こんな事まで許してしまうなんて」 歓声の中で、私だけが黙ったまま足をガクガクと震わせていた。 女将さんは恍惚の笑みを浮かべながら 自分でオッパイを揉み、乳首を押し潰し続けていた。 「ああ。女将さんが見たことないほどイヤらしい表情をしているわ。 本当は恥ずかしいんでしょう?でもやめられないのね。 分かるわ、今の女将さんの気持ち。だって私も露出嬢だから・・・」 みんなの視線が女将さんに集中する中で 私も女将さんと同じように、立ったまま左右の乳房を揉み始めていた。
「そうよ、さゆりちゃん。『一緒に』って約束したものね。 露出嬢になれたあなたなら、きっと応えてくれると思っていたわ」 言葉に出してはいないが、私の様子に気付いた女将さんは 目でそう語り掛けてくれた気がした。 一度ワレメ酒を飲み終えたお客は再び最後尾に並び直すので 女将さんの前に出来た行列はいつまでも途切れる事はなかった。 「みんな、私のイヤらしいオマンコに杯を押し当てて 私のマン汁が混ざった『ワレメ酒』を何杯でも楽しんでぇ!」 女将さんはお酒まみれになった肉襞を 右手の指先でグチョグチョに掻き回し続けた。 やがて女将さんはピクピクッと身体を震わせると 常連客に見守られながら、仰向けのまま机の上でアクメを迎えた。
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「私も今夜は、何もかもさらけ出してしまいたくなりました。 皆さん、今度はさゆりの恥ずかしい姿を見て下さい!」 女将さんがアクメを迎えたのを見届けた私は、右手をまっすぐ伸ばし 常連客に対して大きな声で宣誓した。 期待通り、常連客は一斉に私の方へ振り返った。 「ええっ?」「本当かよ、さゆりちゃんまで『ワレメ酒』をやるのかい?」 「どこまで出来るか分からないけれど、女将さんの姿を見て 私も『自分から恥ずかしい姿を見せる事』に挑戦してみたいと思ったの」 私はいつもの定位置と反対側、 つまり入口に近いカウンターの角に足を揃えて腰掛けた。 店中の客が私の前方に押し寄せるなかで ふと見ると、意識を失ったままの女将さんの身体に そっと触れようとしている客がいるのに気が付いた。
「ダメよ!女将さんに触っちゃダメッ!」 私が強い口調で叱ると、その客は慌てて振り返った。 「さ、触ってないって!確かに触ろうとしたけど まだ指一本触れてないよ。ホントだよ!」 「荒井、またお前か?」 「今夜、さゆりちゃんの機嫌を損ねるような真似をしやがったら 金輪際出入り禁止だ」 「いや、それ以前に無事に帰れるだなんて思うなよ」 せっかくのチャンスが不意になりかねないと思った常連客たちは 代わるがわる荒井さんの頭をペシペシと叩き続けた。
「女将さんが素っ裸になっても、身体には絶対に触らない。 どんなに酔っていても、それがこの店の『ルール』でしょう?」 「・・・はい、すんません」 「私も女将さんもそのルールがあるから 仲間内だけの露出プレイだと割り切って裸になっているんです。 信頼出来る相手じゃなければこんな真似出来ません。そうですよね?」 「・・・はい、本当にすんません」 荒井さんはすっかり大人しくなり、自分から通路の土間に正座していた。
「さゆりちゃん。気を悪くしたかも知れないけれど続けてくれるよな?」 「ここにいる全員が、さゆりちゃんのアソコを見たいんだ!」 「頼むよ。ルールは絶対守るからさ」「約束する」「この通り!」 私のオマンコが見たくて、いい年をした大人が必死になる様子は 思わず笑ってしまうほど可笑しかったが 私自身にも『自分から恥ずかしい姿を見せたい』という願望が 湧き上がっていた。
「素っ裸になった時点で、ほとんど全て見られてしまったようなものだけど もっと見たいというのなら何もかも隠さずに全部見せてあげるわ」 私は両手をやや後ろに突いて 両足を揃えたまま踵(かかと)をカウンターの高さまで引き上げ ゆっくりと膝を左右に広げM字開脚の姿勢をとった。 「おーっ!」「ご開帳じゃぁ!」「まさかの特出しだぁ!」 私はついに常連客の前で、自分から濡れたオマンコを見せてしまった。
「ああ、『全部見せてあげるわ』だなんて啖呵まで切っておきながら 恥ずかしいという気持ちがまったく静まらないのはなぜ?」 常連客の歓声に包まれながら 私の頭の中は再び「恥ずかしい」という言葉で一杯になり 両手足が小刻みに震え始めていた。 「私、きっと裸になったことで何かが壊れてしまったんだわ。 同性に乳輪を見られることすらコンプレックスだったのに 居酒屋で素っ裸になって、男性客にオマンコを見せているだなんて・・・」
「でもそれでいいのよ。女の恥じらう姿こそ男がもっとも見たい姿なの」 ふと、女将さんの言葉が脳裏に浮かんだ。 私はM字開脚の姿勢をとってからギュッと目をつむり続けていたが ゆっくりと目を開けて、私の足元に群がっている常連客の顔を見回した。 誰もが嬉しそうにニヤけた顔をしながら 私のオマンコを見つめてくれているのが分かった。
「視線を『肌』で感じるなんて。まるで愛撫されているみたいだわ。 仲良くなった人たちにオマンコを晒すのって 恥ずかしいだけじゃなくて、こんなにも気持ちイイことだったのね」 私の乳首は触ってもいないのに、触られたがっているように硬く突き出し 私のオマンコは、挿入を求めているかのように愛液で濡れていた。 「さゆりちゃん、見られるだけで感じているのか?」 「もう完全に『露出嬢』だねぇ」 「オマンコの周りに生えた陰毛までベチョベチョに濡れているもんなぁ」 「女将さん以上に濡れやすい体質かもよ」 「濡れやすい体質?感じやすい体質なんじゃねえの?」 常連客はここぞとばかりに、遠慮なく私のオマンコを覗き込みながら イヤらしい言葉で私の気持ちを揺さぶった。
「そのとおりよ。何もかもみんなが言うとおり 好奇の目に晒される『喜び』に目覚めてしまった『露出嬢』よ。 もっともっとイヤらしい言葉で、私を淫らな気持ちにさせてぇ!」 背筋がゾクゾクしてしまうほど言葉責めに歓喜した私は 両手の指先で陰唇を広げ、ピンク色の肉襞まで見せてしまうほど 興奮を抑えられなくなっていた。 「すげぇーっ!」「そこまで見せちゃう?」「おぉ、今夜も来て良かった!」 再び周りのお客から歓声と拍手が沸き起こり、大騒ぎになった。
「私、どこまで壊れてしまえるんだろう?でも・・・もう後戻り出来ない!」 私は右手の中指でクリトリスをこすり始めた。 「あっ・・・あっ・・・ああっ・・・あひっ・・・い、いい!気持ちイイーっ!」 待望の刺激はかつてないほどの快楽となって全身を駆け巡り 理性を失った私は臆することなく喘ぎ声を発した。 「さゆりちゃんがオナニーを始めたぞ!」「そこまでやっちゃう?」 「本当はさゆりちゃんもずっとこうしたかったんだよ、な?」 「それにしてもこんなにエロい女だったとは、人は見掛けによらないなぁ」 「逆だよ、逆。普段おとなしい女ほどいろいろ溜まっているんだよ。 俺たちが見届けてやるから、遠慮なく淫らになっていいんだぜ(笑)」 常連客の言葉責めは止むこともなく 私が今まで一度も口にしなかったイヤらしい言葉を次々を浴びせられた。
「さゆりちゃんも今さら目を背けたりしないで 淫らな姿を見てくれる俺たちをもっと意識しながらオナニーしなよ」 興奮で意識が飛びそうになりかけた時 その言葉はハッキリと私の耳に届いた。 誰が言ったのかは分からなかったが 私があらためて常連客の顔を見つめ直すと 想像以上にイヤらしい顔をした男たちに囲まれているのだと気付いた。 お酒を飲んでいない人が一人も居ないとは言え 常連客は『性欲を隠さなくなったオスの群れ』にしか見えなかった。
「でも私の方こそ『性欲を露わにしているメス』に見えているんでしょう? 視姦願望が満たされて理性が壊れた『露出嬢』がイク姿を見届けてぇ!」 私は近くにあった徳利〔とっくり〕を握ると自分のワレメに滑り込ませ 膣穴に注ぎ口を挿入してチュプチュプと出し入れを繰り返した。 「とっ・・・徳利ッ・・・徳利、いい!・・・すごくイイ! イッていい?もうイッていい?・・・ダメ、堪えきれない!い、イクーっ!」 そう言って何度も喘ぎながらピクピクッと身体を震わせ アクメに達した辺りまでが、私の記憶に残っている最後の様子だった。
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「大丈夫?恥ずかしさより見られる喜びの方が大き過ぎたみたいね。 でもさゆりちゃんが飲み過ぎたのは私のせいじゃないわよ(笑)」 気が付くと、私はまた眠ってしまっていたようだった。 いつもと違い、カウンターにうつ伏せになって寝ていたのではなく 座敷席の机に上半身を載せ、下半身を通路に突き出していた。 おそらく私が意識を失った後も 私は常連客にオマンコを晒し続けたのだろう。 もしかしたら意識のないまま『ワレメ酒』を振る舞っていたかも知れない。 しかし今、他のお客はみんな帰ってしまった後で 女将さんが一人、私の席の前で食器を拭きながら片付けていた。
「この前と違って、ついに二人とも全裸姿ね。 さゆりちゃんもここまでやってくれるなんて、本当に嬉しかったわ」 女将さんはそう言ってニコッと微笑んだ。 「まるで自分の殻を破って生まれ変わったような気分です。 ちょっとやり過ぎた気もするけれど、後悔はしていませんし 今夜は女将さんと本当の意味で分かり合えた気がします」 「私もよ」 私は女将さんに差し出された杯を受け取り ゆっくりと味わいながら一緒に飲み干した。
「でも、1つだけ不安があるんです」 「何?」 「こんなすごい経験をしてしまったんですよ? もう素っ裸になるのに抵抗がなくなってしまいそうで・・・」 「ダメよ。私のアドバイス忘れたの?」 「裸になる時は、恥ずかしいと思いながら脱ぎなさい・・・でしょう?」 「そうよ。恥ずかしいのに見られたい。だけどやっぱり恥ずかしい。 そんな女の身体だから男ももっと見たくなるの。 むしろこれからは出し惜しみするくらいでちょうど良いのよ」 「そうですね。でも今度20本達成した時は、私一人でも出来ちゃうかも?」 「あら、その時はたっぷりみんなに見てもらって お店の売上げに貢献してもらうつもりだから 一人でやりたくなってとしても、私は反対しないわよ」 女将さんと私は顔を見合わせて笑った。
私は服を着直して、女将さんに見送られながら 夜の町を駅に向かって歩き出した。 【おわり】
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