『上森旅館の若女将』

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1.若女将の決意

「お母さん、安心して。お父さんとお祖父ちゃんが遺してくれた上森旅館は
私が守るから。絶対に守ってみせるから」
実家が旅館を経営するOL:上森胡桃(くるみ)は
母が病に倒れて入院したのを機会に
会社を退職して女将を継ぐことを決意した。
旅館といっても、山間(やまあい)の田舎にある古い温泉町の外れに位置し
温泉町全体の客足も徐々に落ちていた。
硫黄成分が強く、温泉町に通ずる道路も狭いので
『通好み』の天然源泉ではあるが一般観光客向きの温泉ではなかった。

「ミスキャンバスをはじめ、県下のミスコンテストに何度も優勝してきた
胡桃ちゃんだもの。美人若女将の誕生で上森旅館さんも安泰だな」
昔なじみの協会長をはじめ
地元の温泉協会のメンバーは胡桃を歓迎した。
しかし、実家の旅館の経営状況が少しずつ悪化しているのは知っていたが
従業員の給料をどうにか捻出しているレベルだと気付くまでに
さほど時間は掛からなかった。

「何とかしないと、このままじゃ廃業するしかなくなっちゃうわ」
胡桃は経営学部卒・経理部勤務の経験を生かして
収益の見直しを図ろうとするが
実家の旅館は温泉組合の中でも小規模の部類なので
他所と同じことをしただけでは回復までは期待出来そうもなかった。
施設の整備面では大規模旅館には敵わないし、自己資金も足りない。
料理で特色を出す(自然素材や郷土料理に力を入れる)ことも出来るが
収益に反映されるほど効果が表れるのには時間が掛かる。
なにより、地元の温泉町も全体的に縮小傾向にあり
単純に他の旅館との競争ではなく
地元と別の地域間との競争、という色合いが濃いと感じた。

「何か他所とは違う、ウチにしか出来ないようなことってないかしら」
実は胡桃の脳裏には、ある秘策が思い浮かんでいた。
「やっぱり、アレしかないのかしら。でも続けるとなると・・・」
胡桃は3日3晩悩んだ末に決意した。
「今日の夜、従業員全員を集めてミーティングをしたいんだけれど」
胡桃は番頭にだけ招集の意図を告げた。
「えっ!本気なんですか?」
「こんなこと冗談で言える?
若女将として、私に出来ることなら何でもやりたいの」
胡桃は真剣な目で番頭を見つめた。
「分かりました。若女将がそう決意したのであれば
私の役目はそれを支える事です」
番頭も神妙な面持ちで応えた。

***** ***** ***** ***** *****

その日の夜、男女問わず従業員全員が広間に集められた。
半纏(はんてん)を羽織った浴衣姿の胡桃は、広間の奥に立って話し始めた。
「みんなも知っての通り、ウチの旅館の経営はあまり思わしくありません。
オフシーズンにはお客様がいない日が続くことだってあります。
みんなの給料が支払えないほどではありませんが
施設の点検や整備は先送りしているし
数年後には旅館を閉めなければならなくなるかも知れません。
私は若女将を継いだ以上、そうならないための対策をうつつもりです。
今夜はそのための協力をみんなにお願いしたくて集まってもらいました」
「そりゃあ、もちろん協力しますけれど
若女将は具体的に何をやろうと思っているんですか?」
「時間を限定して『混浴風呂』を始めようと思います。
日帰り客の時間帯と宿泊客だけの時間帯で、毎日2回。
男湯を使って『混浴タイム』を設けます。
ウチの旅館は男湯の方が女湯の倍くらい広いでしょう?
浴室からの展望も良いし、それを女性客にも楽しんでもらいたいんです」
「良い事だとは思うけれど、混浴風呂を始めただけでお客さんが増えるかなぁ?」
従業員は互いに顔を見合わせ半信半疑という様子だった。

「では何が足りないと思いますか?」
胡桃が若い男の従業員に尋ねた。
「混浴風呂を始めたとしても、女の人が来てくれなけりゃ男の人も来ませんよ。
混浴って『お互いの裸を晒す場』になるけれど
正直、男は見る側で、女は見られる側でしょう?
わざわざ裸を見られる場所に女の人、特に若い子が来るとは思えませんよ」
「まあ、そういうのを気にしなかったり
自分の裸を見られたいって女の人も世の中にはいるらしいけれど
そういう人がウチの旅館に来るかどうかは分からないしね」
別の従業員も相槌をうった。
「つまり混浴タイムに都合良く来てくれる『若い女の人』が必要ってことかしら?」
「まあ、ぶっちゃけて言えばそうなります」
指摘をした従業員は苦笑いした。

「素直に答えてくれてありがとう。でも実は私も同じように思っていました。
だからその役目を私が引き受けようと思います」
「えっ?」
「自分で言うのは気恥ずかしいのですが、少なくとも容姿やプロポーション面では
その役目を果たせるレベルだと思っています」
「そりゃあミスコンテストに優勝するくらいだから、若女将なら申し分ないけれど
自らそこまでするんですか?」
「若女将だからするんです!私の役目です!でも・・・」
胡桃は一呼吸おいて話を続けた。

「でも・・・。見ず知らずの人の前で、毎日素っ裸になる。
それがウチの旅館のためであり若女将の役目であっても
正直、自信がありません。
もちろん男性とのお付き合いもしてきたので処女ではありませんが
若女将の役目を果たそうと決意した今でさえも、自信が持てないんです。
だってお付き合いしている人以外の前で裸になったことなどないんですから」
胡桃はそう言いながら、着ていた半纏の紐をほどいた。

「やらなくてはならない。でも自信がない。
だったら自信をつけなければなりません」
胡桃は半纏を脱ぎ落とすと、続けて浴衣の帯に手を掛けた。
「裸になるための自信をつけるには、裸になる経験を積むしかありません。
だから私、今ここで裸になります!」
胡桃は帯をほどくと同時に、浴衣もその場で脱ぎ落とした。
「あっ!」「ええーっ?!」
胡桃は浴衣の下に何も着けていなかったので
従業員が制止する間もなく、足袋だけを着けた胡桃の全裸姿が露わになった。

「お風呂に入るには裸にならなければなりません。
本来なら、混浴であっても多少は身体を隠すことが出来るでしょう。
ましてや自分から裸を見せる必要もないでしょう。
でも旅館経営を改善する手段として『混浴タイム』を導入するのなら
身体を隠したりせず、裸のままお客様と向き合ってみようと思っています」
胡桃は両手を下ろしたまま、広間の中央をゆっくりと進んだ。
揺れる丸い乳房、その先に突き出た乳首、引き締まった尻、ちぢれた黒い陰毛。
並みのヌードモデルやAV女優を凌駕するレベルの魅力的な裸だった。
スタイルの良い8頭身の美人が、一糸纏わぬまま
胸も股間も隠すことなく目の前を歩く姿を見て
男女や年齢を問わず、従業員の誰もが言葉を失った。

「どう?私でもその『役目』を果たせそうかしら?」
胡桃は顔を赤くしながら従業員全員に問い掛けた。
しばらくの沈黙の後、番頭が手を挙げた。
「私は『混浴タイム』に賛成票を投じます。
若女将が自らそこまで決意しているのであれば
我々は若女将を支えていきます。
なぁ、みんなはどうだ?異議はないよな?」
「ええ、もちろんです」「賛成!」「私も若女将を支えると約束します」
番頭に促されたこともあり、満場一致で従業員たちの了承を得た。
「ありがとう。みんな、ありがとう。私、頑張るから。きっと成功させるから」
胡桃は目に涙を浮かべながら、従業員一人ひとりと握手して回った。
こうして上森旅館の新たな試みが始動した。



2.新たな試み

決意表明の翌日から、胡桃は館内放送で混浴時間を予告し
定時になると急遽作った『混浴』の暖簾(のれん)に替えて
約一時間を浴室で過ごすようにした。
一方、男性従業員にも交替で警護役を依頼した。
従業員にも胡桃の裸を見る機会を継続的に与えると同時に
胡桃が不埒(ふらち)な客に襲われるリスクを減らすことが出来る妙案だった。
入浴中は客相手であっても背中を流すといったサービスはせず
混浴という『おおらかな場』を提供することに専念したが
公約通り、自ら客に話し掛けて積極的に全裸姿を見てもらうようにした。

「いやぁ、若女将はすごいよ。本当に全然隠さないんだもんな」
「昨日もそうだったぞ。
『いらっしゃいませ、湯加減はいかがですか?』ってな感じで
男女を問わず、どんな相手にも話し掛けるし
ジロジロ見られたってイヤな顔一つしないんだから」
「この前の日帰り客のオヤジなんて
最初は困惑していたのに、帰る頃にはすっかり感激しちゃってさ。
『今度は絶対に泊まりに来るから』って握手までして帰ったよ」
「実際、お客様の数は増えてきてるわ。口コミで知ったお客様もいるみたいよ」
従業員も混浴タイムの効果を実感していた。

「しかし若女将はリスクを背負っていることを忘れちゃいけないぞ。
お客様に対し、更衣室に荷物を持ち込まないようには頼めないからな。
今はスマホでもカメラ並みの撮影が出来るんだろう?」
「ええ。若女将が更衣室で浴衣を脱ぎ着する姿を盗撮されるかも知れませんし
浴室にいる若女将を更衣室から盗撮されることだって考えられますよ」
「でも、番頭さんが更衣室にも警護役をつけるよう提案したのに
若女将は拒否したんですって?」
「お客様を監視する役を配するのは
『おおらかな場』を提供する混浴にはそぐわない。
若女将にそう言われてしまったよ」
番頭は苦笑いした。

「でも若女将だって、自分の裸を盗撮されるのは本意じゃないでしょう?」
「自分から言い出した手前
リスクを指摘されても素直に受け入れられないとか?」
「いいや。むしろ若女将はどんなリスクも引き受けるつもりなんだよ。
この前は酒に酔った宿泊客に
露出狂だの淫乱女だのと罵られたこともあったが
それでも若女将は笑顔を絶やさなかった。
そんな若女将を支えてやれるのは我々だけだ。しっかり頼むぞ」
「はい。任せて下さい」
番頭の言葉に応えた従業員たちも、胡桃に対する気持ちは同じだった。

やがて『美人若女将と混浴が出来る旅館』と口コミで評判になり
想定より短期間で旅館経営を立て直すことに成功した。
副産物として、混浴好きの女性客も多く訪れるようになった。
胡桃が全く身体を隠さないので
男性客がいても意に介さず、同じように振舞う女性客も見掛けるようになった。
混浴目当てで集まりすぎた日帰り客をお断りする日もあったが
宿泊客の予約も増え、地元の観光客も増えつつあった。
まさに、若女将の決意が発端となる好循環が出来ていた。

「今日のお客様は女性だけの団体客なの。
男の人で一緒に入ってくれる人、もっといない?」
胡桃にそう頼まれることもあったが
混浴慣れしてくると男性従業員も快く応じてくれた。
もちろんその場合でも、胡桃も一緒に入浴し
男性(=従業員)がいても身体を隠さない手本を示した。
不思議なもので、胡桃も従業員も何も隠さないままでいると
そういうものだと割り切れるのか
初めて訪れた客も同じように隠さなくなるのだった。

「そう、順調なのね。あなたが若女将だなんてどうなるかと心配していたけれど
上手くいっているなら良かったじゃない」
お見舞いに来た胡桃の報告を聞いて、病床の母は笑顔を見せた。



3.協会長の依頼

上森旅館の経営がさらに好調になり
数週間先まで予約で埋まるようになった頃、
地元の温泉協会の協会長が上森旅館を訪れた。

「正直、最初に混浴タイムの様子を聞いた時は驚いたよ。
若女将を継いだだけでも予想外だったのに
自ら経営改善を提案し、率先してお客さんと混浴するなんて
余所ではそうそう真似出来ないからね。
でも胡桃ちゃんのおかげで温泉町に来る観光客も増えてきたし
町のお土産屋や飲食店もその恩恵に預かっている。
となれば、観光大使をやってもらいたくなるのも当然だろう?」
もちろん、混浴タイムの様子は温泉協会だけでなく
町のほとんどの人が把握していた。
すでに男性住民の大半が胡桃の姿を見るために
日帰り客として上森旅館を訪れていたからだ。

「光栄なことですけれど、観光大使の役目にはコレも含まれるんですよね?」
胡桃が指差したのは温泉協会から渡された別の温泉町のパンフレットだった。
その表紙には若い女性がひのき風呂の縁に腰掛けている姿が写っていた。
もちろん女性は全裸だった。
胸元を大きな厚手の白いタオルで隠してはいるものの
背中からお尻にかけて、滑らかな身体のラインが露わになっていた。

「ココの温泉協会のヤツに聞いたんだがね
このポスターを作ったら、年間の来客数が15%も増えたって言うんだよ。
モデルはプロの女性に頼んだらしいけれど
胡桃ちゃんならモデルとしても申し分ないし
来客数だって20%、いや30%増も夢じゃない。俺はそう確信しているんだ」
「つまり、観光大使の役目にヌードポスターのモデル役が含まれているのは
否定しないってことですね?」
「うん、まあ、それも役目の一つではあるけれど
それよりも、我が温泉町の『初代:観光大使』という名誉を考えれば
悪い話じゃないと思うよ。
上森旅館を建て直したように、胡桃ちゃんにはもう一肌脱いで欲しいんだ。
我が温泉町のために!」
もう一肌脱ぐ・・・というセリフに、胡桃はクスッと笑ってしまった。

「条件があるなら言ってくれ。出来る限り応じるつもりだし
誰であろうと俺が説得してみせるから」
「・・・分かりました。いくつか条件を出させてもらえるなら
観光大使をお受けします」
実は、胡桃は初めから観光大使役を引き受けるつもりだった。
ただし簡単に応じてしまうと、悪い噂〔=露出狂、淫乱〕を肯定するようで
躊躇(ちゅうちょ)していただけなのだ。
条件を提示出来るというのは、むしろ願ってもいない展開だった。

「本当かい?いや、そう言ってもらえると助かるよ」
「でもそろそろ日帰り客の時間帯の混浴タイムなんです。
せっかくですから、打合せの続きはソコでどうですか?」
それはつまり、自分の裸を協会長に見せることを意味していた。
「俺も混浴させてもらっちゃって良いのかい?」
「ええ。だって温泉協会の役員さん達とは、もう何度も混浴してますもの」
「何?あいつらそんなこと一言も!」
「私も準備を終えたら参ります。会長さんは一足先に男湯へ行ってて下さい」
胡桃は笑いながら応接室を先に出た。

「正直、大人になった胡桃ちゃんと混浴することになるとは思わなかったよ」
暖簾を『混浴』に替えた男湯で、協会長は胡桃の裸を見つめながら言った。
「私もです。会長さんは私を幼い頃から知っている人だから
お互いに裸になった姿で向き合うと、何だか不思議な気分になります。
どうですか?私に『観光大使の役目』を果たせそうですか?」
「こうして色っぽくなった姿を目の当たりにすると
他所で同じことをしようとしても真似出来ないと分かるよ。
依頼しておいて何だけれど、胡桃ちゃんこそ観光大使に相応しい人材だ」
協会長は嬉しそうに微笑んだ。

「ところで、私からの希望なんですが・・・」
胡桃はヌードポスターのモデルを引き受ける代わりに
いくつかの条件を提示した。
(1)写真撮影はプロのカメラマンに依頼し、撮影場所は上森旅館で行う。
(2)ボカシやモザイクは一切入れない。
乳首などを隠す必要があるなら肘・腕・手で隠すだけに留め
実際の『混浴タイム』と同じく、タオルで身体を隠したりはしない。
(3)出来上がったポスターはなるべく多くの施設に掲示する。
温泉協会はもちろん、観光案内所や駅や町役場にも掲示する。

「その代わりというのも何ですが
温泉協会の役員さんには撮影する時に立ち会ってもらいたいと思います」
「そりゃあコチラとしても願ってもいない話だが、そんな条件で良いのかい?」
「構いません。役員の中にはまだ私のヌードを見ていない方もいますが
いずれポスターになれば見られてしまうんですもの。
ならばスポンサーメリットとして、役員さんには撮影の様子を見届けてもらい
自分たちのポスターなんだという意識を共有して欲しいんです」
「そこまで言うなら、役員全員を招集するよ。
それより、胡桃ちゃんをこれ以上独占する訳にはいかないみたいだ。
今日は私と同年代のオジサンばかりみたいだが
お客様と向き合う時間に戻りなさい」
「ありがとうございます。私、観光大使としても頑張ります」
胡桃は笑顔でお辞儀をすると、混浴を待ち望んでいるお客の所に
胸を揺らしながら駆けて行った。



4.非公認ブログ その1

「ほう、なかなか良いポスターじゃないか」
「すごく綺麗に撮れていますよね。有名女優の写真集みたいですよ」
「ヌードだけれどイヤらしい感じも少ないし、芸術的な雰囲気もあるわ」
「プロのカメラマンが撮っただけあって鮮明だし
筆文字のキャッチコピーにも合っているよな」
出来上がったポスターを見た従業員たちの反応は上々だった。
ポスターは、湯船の中で立ち上がった胡桃の姿を斜め前から撮影していた。
右手を頬に添えるポーズをとることで
肘が邪魔をして右の乳輪が隠れるようにするとともに
左手の指先で左の乳輪を押さえ、右ひざを少し上げ太ももで股間を隠していた。
とはいえ、どんなに好評でも
最小限を隠せているだけのヌードポスターであることには変わりなかった。

「プロが撮るとこんなに鮮明に写るのね。
私、こんな所にホクロがあったなんて知らなかったわ。
ウチの旅館のアピールになるなら、と思って引き受けたけれど
こんな素敵なポスターになるならたくさん貼っても良いわよね?」
胡桃自身も満足のいく出来栄えに笑顔がこぼれた。
唯一不満があるとすれば
陰毛まで写っていても良いと割り切って胡桃は撮影に臨んでいたのだが
やはり多くの施設に掲示してもらうために
右ひざをより高く上げて股間が隠れた図案が採用されたようだった。

***** ***** ***** ***** *****

「さて、あのコのブログは更新されているかしら」
自分の部屋に戻った胡桃は、パソコンを立ち上げると
お気に入りに登録しておいたサイトを開いた。
「やっぱり更新されているわ。今回はカメラ位置を変えたのね」
パソコンの画面には、脱衣所で全裸になった胡桃の姿が写し出されていた。
実は、混浴タイムを始めてからしばらくして偶然見つけたブログに
自分の裸がボカシもモザイクもナシに掲載されているのに気が付いた。
掲載されていた写真はまだ数枚だったが、誰のブログか分からなかった。
そこで、撮影されたのが日帰り客の時間か宿泊客の時間かを判別出来るよう
髪留めの色を替えたりして、数日掛けてブログ主を割り出した。
「まさか温泉協会の会長さんのところの真くんだったとはねぇ。
まあ、高校生の頃ってそういうのに興味があって当然だとは思うけれど」
掲載された写真にはコメントが添えられていた。

『某月某日。今日、初めて噂の若女将の姿を見に上森旅館に行ってきたよー!
美人でスタイルも良く、しかも笑顔が最高。
そんな若女将と混浴を楽しめる温泉が存在するなんて
未来永劫続いて欲しい至福のサービスだよな。
マジ生まれてきて良かったー!生きてて良かったー!』
『某月某日。若女将はヌードなのに、全然恥ずかしそうな素振りをみせない。
素っ裸のまま誰とでも話をするし、どんなに見られても裸を隠そうとしない。
逆に俺の方が勃起してしまったと気付かれないよう股間を押えているくらいだ。
ていうか、こんな美人が目の前で素っ裸になっているんだから
勃起しないヤツなんていないだろう。
事実、勃起したまま若女将と話す客もたまに見掛けるが
その度胸はうらやましくさえ思える。
本当は俺だってそうしたい。でもやっぱりまだ恥ずかしい』
「フフフ、アレが大きくなったのに気付かれていないとでも思ってるのかしら。
真くんってカメラを仕掛けているくせに純情なところもあるのね」
胡桃はコメントを読み返して微笑ましい気持ちになった。

『某月某日。若女将と脱衣所で話した。
相変わらず素っ裸でも裸を隠そうとしないので
話している間はずっと若女将のヌードを見放題だった。
混浴温泉を「おおらかな場」としてお客様に楽しんで欲しいんです
と、若女将は話していた。
すごく共感出来るし、素晴らしい考えだと思う。
それなのに俺は邪(よこしま)な気持ちで一杯になり
若女将の裸から目が離せなかった。しかもフル勃起したままだった。
その眩しい笑顔を俺に向けないでくれ。俺にそんな価値はないんですヨ』
「そんな事はないわよ。若い女の裸を見てアレが大きくなるのは
元気な証拠なんだもの。高校生なら当然よ。
逆に何も反応しなかったら、その方が私にとってはよっぽどショックよ」
胡桃は苦笑いしながらコメントを読み続けた。

『某月某日。若女将が上森旅館のある温泉町の観光大使に任命され
ヌードポスターのモデルになるという噂を入手した。
俺が掲載しているような画質ではなく、カメラマンが撮ったポスターで
若女将の美しさをぜひ再確認して欲しい。
正式なポスターが入手出来たらこのブログでも掲載する予定だけれど
どうやって入手するか思案中』
最新のコメントを読んで、胡桃の脳裏にアイディアが浮かんだ。
「良いコト思いついた。真くんに私のポスターをプレゼントするの。
そうすればきっと次回の更新時に掲載してくれるはずよね。
閲覧数は僅かだけれど、ブログでは旅館名も明記してくれているし
多少なりとも集客に繋がるなら、当分は盗撮の方も黙認してあげるわ」
胡桃は従業員室にポスターを取りに戻った。



5.非公認ブログ その2

「最初はドキッとさせられたけれど、意外と女性客にも好評なんですよね」
観光案内所ではそんな会話が何度もされていた。
もちろん胡桃の観光大使ポスターの感想だ。
温泉協会が働きかけてくれたおかげで
観光案内所はもちろん、駅や町役場にも掲示してもらえた。

ネットでも徐々に話題となり
「本物の若女将が混浴温泉に自ら入浴!集客上々、リピーター続出!」
「マジで?AV企画を実行する若女将が現れた」
「掟破りの若女将は元ミスコンテスト優勝者」
など誹謗中傷もあったが
乳首や性器を隠していたおかげで支持・支援の方が上回り
地元の温泉全体の集客率も順調に伸びていた。

***** ***** ***** ***** *****

「さて、真くんのブログは更新されているかしら」
自分の部屋に戻った胡桃は、真のサイトを開いた。
「やっぱり更新されているわ。あのポスターを使ってくれたのね」
パソコンの画面には、胡桃が渡したポスターが写し出されていた。
掲載された写真にはコメントが添えられていた。

『某月某日。若女将のヌードポスターを入手した。なんと本人からもらえたのだ。
約束どおり、写真を提供できて嬉しい。ぜひ彼女の美しさを再確認して欲しい。
若女将はミスコンテストに何度も優勝したことがあるそうだが
このポスターを見ればそれも納得してもらえるだろう。
だが問題はそこじゃない。
上森旅館ではポスターと同じ姿の若女将と、実際に混浴出来るという事なんだ。
未来永劫続いて欲しい至福のサービスだよな。
マジ生まれてきて良かったー!生きてて良かったー!』
「真くんはこのフレーズ好きなのね」
胡桃はコメントを読んで微笑ましい気持ちになった。

『もう一つ報告がある。
ポスターを受け取った翌日、若女将の前で勃起した股間を露わにしてみた。
連続で混浴タイムに通ったのは初めてだが、俺なりの感謝を伝えたかったのだ。
もちろん俺のチンポを見せたところで若女将が喜ぶという訳ではないが
彼女は一瞬驚いた顔をした後「元気があってよろしい」と言って微笑んでくれた。
感謝が伝わったかどうかは定かでないが
受け入れられた感じがして嬉しかった』
「フフフ。その通りよ、真くん。
あなたもやっと『お互いに裸を隠さない』という関係を、
『おおらかな混浴温泉』を楽しんでいるのが伝わってきたわ。
でも驚いた顔をしたのは、真くんのアレが思っていたよりも大きくて
射精しそうなくらいピクピクしていたからなのよ?
もし本当に射精していたら、とても微笑んでなんかいられなかったハズだもの」
胡桃はその時の真の表情と勃起した男根を思い出していた。

「若女将、そろそろミーティングの時間です」
番頭が部屋まで迎えに来たので、胡桃はパソコンを閉じた。



6.若女将の提案

「お待たせ。ではミーティングを始めましょう」
あの日の夜と同じく、ミーティングが行われる広間には
従業員全員が集まっていた。
浴衣姿の胡桃は広間の奥に立つとすぐに帯を解き、素っ裸になった。
あの日以来、胡桃は2週毎に一度、業績報告ミーティングを開き
従業員の前で全裸になる機会を作っていた。
「何度目になっても、自分だけが裸になるのは恥ずかしいわね」
胡桃は苦笑いしながら帳簿を手に取った。

「でも若女将が言い出したことですよ?
自信をつけるには経験を積むしかないから
ミーティングは裸でやりたいんだって」
「おかげでサボりがちだった人も、ちゃんと出席するようになったけどね」
仲居の一人が笑いながら厨房の若い板前を肘でつついた。
「若女将の裸が近くから拝めるんだから
毎日ミーティングだって構わないくらいさ」
「こら、調子に乗るな。従業員はお客様じゃないんだからな」
番頭に叱られても、場の雰囲気は良好だった。

「みんなも知っての通り、ウチの旅館の経営は順調です。
混浴タイムが好評なのはもちろんですが
お客様にウチの旅館の料理やサービスを知っていただく機会が増えたおかげで
日帰り入浴をきっかけに宿泊してくれるようになったお客様も増えています。
この成果は混浴だけではなく
皆さんの努力が実を結んでいるおかげだと思います。
あらためて感謝したいと思います」
胡桃が頭を下げると、従業員たちも満足そうにうなずいた。

「混浴タイムを始めた頃、この旅館を守るためには自らを犠牲にしてでも
若女将として役目を果たさなければならない。
そういう気持ちで裸になっていました。
でも私がお客様を満足させる姿を、一糸纏わぬ姿を晒すことで
『おおらかな混浴温泉』を楽しむ仲間が増やせるなら
もっと多くの人に私の裸を見られても構わない。
今ではそう思えるようになったんです。
これからも混浴タイムは続けますので、引き続きよろしくお願いします」
「若女将の決意が今の好循環を作り出したのですから
我々はこれからも若女将を支えていきますよ」
「そう言う番頭さんが若女将の姿をちゃんと見るようになったのは
最近ようやく、ですからねぇ。」
「ワシは年齢的にも女将と同じ親世代だからな。
娘のような若女将の裸を興味本位では見れない分、戸惑って当然だろう?」
番頭はそう言いながら若女将の方を振り返った。

「だがワシが目を逸らしてしまえば
若女将は年配者からの視線を経験出来ないまま混浴の場に行くことになる。
自ら裸になって旅館を建て直そうとしている若女将に自信をつける機会を
支えるはずのワシが無にしている。そう気付いたのだ」
「考え直したんですね?」
「だから先日も、同性の私たちにも目を背けないようにと言っていたのか」
女性従業員たちは顔を見合わせながらうなづいた。

「とは言え、警護役でない者まで
若女将の様子を見に行っているのも知っている。
従業員はお客様じゃないんだから、ほどほどにしておけよ」
「でも私が物怖じすることなく混浴出来るほど短期間で自信をつけたのは
彼ら(=男性従業員)の視線に晒されたおかげでもあるのよ?
宿泊客対象の混浴タイムはお酒を飲んでいる人もいたから
彼らがいて心強かった時もあったし
これからも多少は大目に見てあげましょう?」
番頭は男性従業員たちに釘を刺すことも忘れなかったが
若女将が擁護してくれたので、彼らも安堵した。

「さて、来週の月曜日は久しぶりのお休みです。
買い物に出掛けたりお友達と会う人もいると思うので無理強いはしませんが
従業員同士の『混浴交流会』を開きたいと思います」
「従業員同士って、今ここにいる人と一緒にお風呂へ入るってことですか?」
「ええ。お客様に『おおらかな混浴温泉』を楽しんでもらうために
私は自らその手本となるべく裸になっています。
でも従業員のみんなにも混浴温泉の楽しさを知って欲しいんです。
いきなりお客様の前で裸になるのには抵抗があるでしょうけれど
業績回復に努力した仲間同士の混浴なら
お互いの絆をより強くする機会になると思いませんか?」
若女将の問い掛けに難色を示したのは、仲居たち女性従業員だったが
仲居頭が手を挙げた。
「分かりました。先約がある者は次の機会としましょう。
どうしても嫌ならば欠席しても不問としましょう。
でも私は参加します。私も若女将のいう『楽しさ』を知りたくなりましたから」
仲居頭はそう言って微笑んだ。



7.混浴交流会

「実際に何人が『混浴交流会』に参加してくれるかしら?」
自ら提案したものの、約束の時間が近付くにつれて
胡桃はだんだん不安になっていた。
「若女将が経営者の立場で裸になるのは勝手だけれど
自分たちまで混浴に巻き込まれたくはない。
そう考えたとしても不思議ではないもの。
仲居頭さんの参加表明も、その場を取り繕う方便だったかも知れないし
男性従業員だって業務命令だったから従っていたんだとしたら・・・」
胡桃は混浴風呂を提案した時のように緊張していた。

「若女将、そろそろ『混浴交流会』の時間です」
番頭が部屋まで迎えに来たので、胡桃が扉を開けると
すでに腰にバスタオルを巻いただけの姿になった番頭が立っていた。
「番頭さん!その姿は?」
「お客様も出入りの業者もいないから
思い切って最初から裸に、と思ったのですが
若女将をお迎えに上がるとなると
コイツ(=バスタオル)だけはどうしても手放せなくて」
番頭は気恥ずかしそうに目を逸らした。

「ううん。十分すぎるくらいよ。
番頭さんが最初からそこまでしてくれるなんて思ってもみなかったわ。
身内だけの交流会なんだもの。
番頭さんがそこまでするなら、私は最初から最後まで素っ裸じゃなくっちゃね」
まだ着衣のままだった胡桃は
番頭の目の前で次々と服を脱ぎ落とし全裸になると
手拭いを手にし、そのまま浴室へ向かった。

「お待たせ。では交流会を始めましょう」
胡桃が男湯の脱衣室に現れると、歓喜のどよめきが上がった。
「ほら、言った通りだろう?若女将はきっと素っ裸で来ると思っていたよ」
「残念だわ。ミーティングと同じように、最初は浴衣だと思ったのに」
「どうしたの?」
「賭けをしていたんです。若女将がどんな姿で現れるかって」
「で、交流会の間、負けた方は手拭いなど何も持たないことになったんです。
まあ手で隠すのはアリですけどね」
その場の雰囲気から、どうやら仲居たち女性従業員が負けたようだった。
「じゃあ私も手拭いは使わないわ。
隠すためじゃなく、身体を洗うために持って来ただけだしね。
準備が出来た人から浴室に来てちょうだい」
胡桃は面白い展開になったと思った。

「本当に嬉しいわ。まさか全員が参加してくれるなんて」
胡桃は素直に喜んだ。
しかし、胡桃と何度か混浴を経験している男性従業員には余裕があったが
手拭いを使えず、両手で乳房と股間を隠す仲居たちは必死だった。
「ちょっと、あんまりジロジロ見ないでよ」
「いやぁ、そりゃ無理だよ。こんな機会滅多にないからね」
「いつも堂々としている若女将と違って、初々しい感じがたまんないよな」
イヤらしい感じではなく、小学生が同級生をからかうような口調だったが
「混浴交流会なんだから堂々と見せ合っても良いんじゃない?」
という男性従業員の一言を聞いて、仲居頭はハッとした。

「そうよね。恥ずかしがって身体を隠していては
若女将のいう『混浴温泉の楽しさ』を知らないまま交流会が終わってしまうわ。
裸になった姿で積極的に話し掛ける。
そういう一歩踏み込んだ行動が
若女将の魅力としてお客様に伝わっているのなら
私も同じように振舞わないと」
仲居頭は身体を隠すのをやめて両手を下ろすと
熟女と呼ぶに相応しい豊満な体を露わにした。
「あっ!」「ええっ?」
若女将の抜群なスタイルにはもちろん及ばないが
年相応の魅力が備わっていたし
大きな乳輪や濃い目の陰毛が男性従業員の目を釘付けにした。

「番頭さん。日頃から『若女将を支えるのは我々だ』って言い続けたあなたなら
私の行動を理解してくれますよね?」
「もちろんだ。むしろ仲居頭の君に先を越されて後悔しているところだよ」
番頭はそう答えながら、腰に巻いたバスタオルを外した。
「あっ!」「ええっ?」
露わになった番頭の股間は勃起していた。
仲居頭や若女将の裸を見ているからとは言え
普段は従業員たちを叱る側の番頭が勃起した男根を露わにするなど
若い従業員には信じられなかった。

「さすがは番頭さんね。堂々としていて素敵だわ」
「まさか裸を見せ合うことになるとは思いもしなかったが
仲居頭の裸は若女将とは違う魅力で溢れているよ」
「お世辞でも嬉しいわ」
仲居頭は照れくさそうに目を伏せた。
「ウソじゃない。事実、おまえさんの裸を見たせいでこうなっているんだからな」
番頭は自分の勃起した男根を指差して笑った。
「わ、私も隠しません」「私も」「俺だって」
仲居頭と番頭に刺激され、若い従業員たちも次々と身体を隠すのをやめた。

「素敵。まさか全員が『混浴温泉の楽しさ』に気付いてくれるなんて」
胡桃は素直に喜んだ。
「混浴温泉は言葉通り『裸のお付き合い』の場なの。
そうは言っても、乳房や股間を見られれば恥ずかしい気持ちになるけれど
ありのままの姿を全てをさらけ出せる『おおらかな関係』を体験した今なら
お互いの絆がより強くなったと感じているんじゃないですか?」
胡桃の問いかけに全員がうなづいた。

「だからと言って、スキンシップを取り入れるつもりはありません。
見せる・見られるという一線を越えてしまうと
『おおらかな関係』を守れなくなると思うんです。
もし背中を流すといったサービスを始めてしまえば
自制し切れないお客様もいるでしょうし、
過剰なサービスを要求するお客様も出てくるでしょう。
それは私が推奨する『混浴温泉の楽しさ』とは異質なモノですし
少なくとも上森旅館の役目ではありません」
「ええ、若女将の言う通りです。混浴温泉は風俗店ではないんですから」
仲居頭も相槌を打った。

「明日からも混浴タイムを実施します。
もし私と一緒に入浴しても良いと思う人がいたら
男女を問わず、ありのままの姿をお客様にさらけ出して下さい。
お客様は私たちの姿を見ることで混浴温泉の楽しさに気付くでしょうし
同じように振舞えるお客様も増えるでしょう。
実際、そういったお客様がリピーターとなり好意的な評判を伝えてくれています。
よろしくお願いします」
「もちろんです。我々は若女将を喜んで支えます。ただ心配なのは・・・」
「?」
「若女将と一緒に入浴したがる従業員ばかりになり
通常の業務が滞るかも知れません」
番頭は本気で言ったのだが、従業員たちには番頭の冗談として受け取られ
浴室は笑いに包まれた。



8.エピローグ

「拝啓 △▽様
私が実家の旅館を継いで、はや半年が過ぎました。
慣れない女将業に翻弄されながらも、従業員の協力を得て
何とか軌道に乗り始めたと感じられるようになりました。
つきましては、ほんの気持ちですが、宿泊招待券を同封します。
事前に予約が必要なので、ご希望の日をご連絡下さい。
再びお会い出来る日を楽しみにしています。 敬具」
胡桃はいずれも似たような文面で
ゼミの恩師・同級生や昔の上司・同僚に案内状を送った。

「すでに私が裸で混浴している噂を聞いている人だっているかも知れないけれど
以前の私を知っている人との混浴は、お互いの絆をもっと深めてくれるはずよ。
今までと同じように一糸纏わぬ姿を晒すことで
私の親しい人にも『混浴温泉の楽しさ』に気付いてもらえるなら
私は喜んで裸になるわ」
最近は本気でそう思えるほど、胡桃は裸を見られることに積極的だった。

手紙にヌードポスターと同じ図案の絵葉書を同封しようかとも思ったが
「事前の情報がないまま、もしくは噂だけの状態で
旧知の人と再会し混浴したらどうなるだろう?」
と思い直し、宿泊招待券と旅館の案内パンフレットのみを同封することにした。
ちなみに胡桃のヌードポスター絵葉書は上森旅館で一番人気のお土産で
真のブログには全種類の図案が高画質で掲載されていた。

「本当は画像の転載は営業妨害だけれど
真くんのブログを見て来てくれるお客様もいるみたいだし
購入したお土産の紹介までしてくれるから、もうしばらくは黙認してあげるわ」
実際、上森旅館の正式ホームページよりも詳しい紹介もあり
読者の感想も本音なので参考になることもあった。

「若女将、そろそろ混浴タイムの時間です」
番頭が部屋まで迎えに来たので、胡桃は素肌に浴衣を羽織り浴室へ向かった。
【おわり】





【あとがき】
今回の主人公の名前は、全裸AV初期の名作『全裸若女将』の
主演女優:森下くるみ嬢から頂きました。
といっても、私は実際にこの作品を見たことはなく
作品自体が古過ぎるのか、私の検索スキルが低いのか
DVDパッケージを見つけることしか出来ませんでした。
パッケージの文字も判別出来ませんでしたが
裸の女性が複数写っているので、女性従業員も裸になるようです。
内容を知らないとはいえ、なるべくストーリーが被らないように
情報を集めず作品を書き上げました。

最初は旅館の経営を立て直す手段として自分の裸を見せる決意をし
それが若女将としての役目だと割り切ることにした胡桃ですが、
「混浴温泉の楽しさを知ってもらえるなら、自分の裸を見られても構わない」
そう思えるようになった時点で、胡桃は若女将の役目だから裸になるのではなく
裸を見られることを楽しめる『露出っこ』になったのです。

胡桃にとって、混浴温泉は『おおらかな場、おおらかな関係』なので
裸を見られても欲情しませんし、浴室でオナニーもしませんでしたから
小説としては過激さに欠けるかも知れませんが
そういう作風ということでご容赦下さい。

読者の皆さんには、混浴温泉に行って頂き
若女将になりきって『おおらかな混浴温泉』を楽しむ手本となって下さい。
いいえ、難しく考えなくて構いません。
一糸纏わぬ姿を隠さずに晒し
目が合った人がいたらニコッと微笑んで下さい。
さらに話し掛けることが出来たなら、アナタも胡桃と同じ『露出っこ』です。

ちなみに具体的にイメージした温泉はありません。
「あの温泉のことだと思った」という場所があれば、せひ教えて下さい(笑)



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