『地方大学に進学した新入生の憂鬱』
作;ベル
1.出会い
「本当にコレで良かったのかしら?」
入学式を迎えながら、小田 薫(おだ かおる)は
未だに納得仕切れていなかった。
大学受験の結果は思わしくなかったが
「今どき医学生でもないのに、浪人なんてみっともない」
と親に説得され、嫌々ながら地方都市の文系大学に入学させられた。
薫はすべり止めの大学に行く気はなかったが
交換条件として、軽自動車購入と高級賃貸マンションの一人暮らしを得て
最後は親の説得を受け入れた。
しかし、その判断が失敗だったと気付くのに、そう時間は掛からなかった。
「はぁ〜、今日の歓迎コンパも期待ハズレだったわ。
そりゃそうよね。地方都市に残っている学生が、魅力的なワケないもの」
薫は何とか新生活を楽しもうと、様々なサークルやグループに参加したが
都会育ちの彼女には誰もが物足りなく
付き合いたいと思える男には出会えないままだった。
そんなある日の夜、大きな手荷物を持って買い物から帰って来た薫は
マンションから少し離れた路上で、若い女性が立っているのに気が付いた。
夜なのにサングラスをした姿に違和感を感じつつも
さほど気にとめていなかったのだが
薫が10mほどの距離まで近付いた時
その女性は自分が着ていたコートを左右に広げた。
「私の姿を見て!私の裸を、イヤらしい身体を見てぇ!」
彼女は全裸コートにサングラスと靴だけという『典型的な露出狂』の姿を
余すところなく薫にさらけ出しながら、ゆっくりとコチラに近付いて来た。
背は高くないが胸が大きく、彼女が少し動くたびに乳房がユサユサ揺れた。
「えっ?なに、何なの?」
突然の出来事に戸惑う薫に対し、なおも露出狂の女はゆっくりと迫って来た。
「私の姿を見て!私の裸を、イヤらしい身体を見てぇ!」
薫がその場で立ちすくんでいると
彼女は同じセリフを繰り返しながら、露わになった自分の胸を揉み始めた。
「ええっ?何よ、何なのよ!」
どうして良いか分からず、ついその様子を見続けてしまったが
偶然通りかかった猫か何かがカタッと音を立てたのをきっかけに
薫は冷静さを取り戻した。
「あんたね、私が怖気(おじけ)づくとでも思ったら大間違いよ!
どうせならコートもサングラスも引ん剥いて、警察に突き出してやるわ」
「!」
薫は持っていた荷物を地面に置くと、今度はコチラから近付いた。
形勢が逆転したと悟った露出狂の女は一目散に逃げ出した。
「あ、こらっ!待ちなさい!」
薫もすぐに彼女の後を追い掛けたが
あいにくこの日は踵(かかと)の高いサンダル履きだった。
次第に距離が開いていき、結局、闇にまぎれた女を見失ってしまった。
「悔し〜いっ!憶えてらっしゃい」
薫は夜の町で悪態をつくしかなかった。
2.再会
あの日以来、薫は何度も露出狂の女を探して夜の町を捜索するが
露出行為自体をやめてしまったのか、彼女とは全く出会えないままだった。
「悔しいけれど、やっぱり諦めるしかないか。
もうすぐ試験があるのに、これ以上無駄に時間を割けないわ」
薫はため息をついた。
翌日、試験勉強のために薫が大学の図書室を訪れると
あの時の露出狂の女が、図書室のカウンター内に座っていた。
「間違いない、あの口元と首筋のホクロ。見つけたわ!
薫は彼女が一人だけになるタイミングを見計らって、カウンターに近付いた。
「ずいぶん探したわ。灯台下暗しってヤツかしら」
「え?」
「今日はサングラスをしていないのね。でも、私はすぐにピンッときたわよ」
「はぁ?」
初めは何を言われているか分からない様子だったが
やがて彼女の顔色がみるみる青ざめていった。
「私の事を覚えているのね?」
「い、いえ。・・・初めてお会いします」
「そんな事ないわよね?私は覚えているわよ、あなたの口元と首筋のホクロ。
夜だったけれど、ちゃんと見えていたんだから」
薫に対し、彼女は顔を上げることすら出来なくなっていた。
「・・・おねがいします。このことは誰にも言わないで下さい」
「それはあなた次第よ。昼休みにまた来るから、待っていてね」
うつむいたまま黙って頷く彼女を見ながら、薫はニッコリと微笑んだ。
3.喫茶店
昼休みになると、薫は彼女を校外の喫茶店に誘い出した。
彼女の名前は山本 奈津子(やまもと
なつこ)。26歳。
今年の4月に大学に採用されたばかりだった。
大学卒業後に就職した会社が2年で倒産し
それ以来、アルバイトや派遣社員を続けて暮らしていた。
奨学金返済のためにも、今の仕事は辞めたくないようだ。
「正規雇用での再就職先を探して、ようやく見つけた仕事なんです。
お願いします。何でもしますから、誰にも言わないで下さい」
奈津子は必死に頼み込んだ。
「それはあなた次第よ。まずはあなたのことをもっと教えてちょうだい。
放課後には仕事が終わるんでしょう?正門前で18時に待ち合わせでどう?」
「・・・分かりました」
何を言われようと奈津子は従うしかなかった。
「ようやく退屈だった学生生活が楽しくなりそうだわ。ウフフッ」
奈津子とは対照的に、薫はニッコリと微笑んだ。
4.ゲームの提案
奈津子が正門前で待っていると、時間通りに薫が軽自動車で現れた。
車に乗り込んだ後も二人に会話はなかった。
奈津子は何をされるのか不安で一杯だったせいだが、
退屈な生活を変え得る機会を得た薫の方も
不用意な会話で不意にしたくなかったのだ。
しばらく走った後、薫は車をコインパーキングに停め
初めて会った場所に歩いて移動した。
薫のマンションからも比較的近いのだが
この後のことを考え、より目的地に近いパーキングを選んだ。
もう日は落ちていたので、すでに辺りは暗くなっていたが
薫は奈津子と向かい合うと、こう告げた。
「じゃあ早速だけれど、私と初めて会った時と同じ姿になって」
「今ココで?誰が来るか分からないのに?
許して下さい。そんなこと急に出来ません」
突然の申し出に、奈津子は戸惑いながらも拒絶した。
「出来ないとは思えないわ。だってあなた、自分から私に裸を見せたのよ?」
「あの時は相手が女性一人だと確認してからだったし
事前に何度も下見をして、タイミングを計ってようやく・・・」
「・・・じゃあ別にいいわ。あなたが今の仕事を失うだけだから」
薫はそう言い残し、すぐに立ち去ろうとした。
「ま、待って下さい!・・・分かりましたから」
奈津子は少しでも目立たないよう、電柱の影に隠れて服を脱ぎだした。
薫は奈津子の衣服を受け取り、用意した紙袋に次々と押し込んでいった。
「本当に全部、脱がなきゃダメですか?」
下着姿になった奈津子は、顔を真っ赤にしながら言った。
「初めて会った時と同じ姿って言ったわよね?今の姿がそうなの?」
有無を言わさぬ雰囲気を感じ取った奈津子は
観念して下着を脱ぎ、薫に手渡した。
住宅地の路上で素っ裸になった奈津子は
両手で胸と股間を押さえながら周囲を見回した。
「コートは返して下さい。あの時と同じ姿で良いんでしょう?」
「露出狂のくせに、今さら恥ずかしがるの?
でもサングラスと靴だけは『お情け』で残してあげるわ。
それよりチャンスを棒に振りたくなければ、ついて来なさい」
「チャンス?」
「ほら。グズグズしていると、誰かに見つかってしまうわよ」
薫は奈津子の服が入った紙袋を、近くの家のフェンスに引っ掛けた。
奈津子も身体を両手で隠し周囲を伺いながら、全裸でその後に続いた。
「簡単なゲームをしましょう。
ココからさっき駐車場に停めた私の車にタッチして
再びこの紙袋がある場所まで戻ってくるの。
あなたが先に紙袋を取ったらあなたの勝ち。
今後、誰にも秘密を明かさないと約束するわ。
でも私が先に紙袋を取ったら私の勝ち。
あなたには次に私が命じた場所でも『今と同じ姿』になってもらうわ」
「命じたその場で?そんなの酷すぎます!」
「酷いとは思えないわ。露出狂が裸になるのは当たり前じゃない。
それに、仕事を失うリスクを考えれば、ゲームを受けた方が良いと思うけど?」
確かに薫の言うとおりだった。
秘密を知られた以上、何でも言うことを聞くしかない立場なのだ。
それがゲームで帳消しに出来るなら、絶対に受けた方が良い。
「もし私(奈津子)が勝ったら約束は守ってくれるんですね?」
「ええ。あなたが勝ったら、だけどね」
薫は路上の停止線をスタートラインに見立て
小学生が徒競走をするかように、走り出す前のスタートポーズを取った。
路上の真ん中とは言え、今さら躊躇してなどいられない奈津子も
同じく素っ裸でスタートポーズを取った。
5.ゲーム開始
「一発勝負よ。よーい、ドン!」
ここから駐車場までは約200m。
紙袋を置いた場所まで戻るには往復で約4〜500m。
前回は逃げ切った奈津子だったが
やはり周囲に気を取られた分、スタートが少し遅れた。
「脅して言うことを聞かせるより、負けを認めさせた方が従順になる。
リスクもあるけれど、それが私のやり方よ」
前半はゲームを提案した薫がリードを広げた。
駐車場の車にタッチして折り返し、必死な顔で全裸で走る奈津子とすれ違った。
「ほんの数秒の差だけれど、このまま行けそうだわ。
この前は逃げられたけれど、靴さえまともなら追いついてたのよ」
勝利を確信しつつ、全力で走る薫。
しかし十字路を曲がる際に足を滑らせ、薫は転倒してしまった。
すぐに立ち上がったが、その隙に奈津子がすぐ脇を走り去って大逆転。
そのまま勝負が決まるかに思えた。
「あと少しだったのに!悔しいけれど、この差ではもう・・・」
薫があきらめかけた瞬間
最後の十字路を曲がろうとした奈津子が、立ち止まって身を隠した。
「?」
薫が奈津子追い付くと、その理由が分かった。
紙袋に気付いたお年寄りが、まさにそれを取ろうとしていたのだ。
「すみません。それ私のです」
そのまま駆け寄って紙袋を受け取り、お年寄りを見送る薫と
その様子を物陰で見守る奈津子。
予想外の展開ではあったが、結果としてゲームに勝ったのは薫だった。
「今のは無効です。もう一度やらせて下さい」
「一発勝負だって言ったでしょう?私が転んでも同じ主張をすれば認めるの?」
「・・・」
こうして奈津子は、薫の命じたその場で再び素っ裸になる約束を交わした。
6.過去の告白
ゲームを終えた二人は再び軽自動車に乗り込み、薫のマンションへ向かった。
奈津子もコートだけは返してもらい、車内で羽織り直した。
「いつから露出をするようになったの?」
「1年前です。就職先が倒産してから再就職先がなかなか見つからず
奨学金の返済が初めて滞った時には精神的にも追いつめられていて
その頃、初めて露出行為をしました。
今思えばストレス発散の手段だったと思います」
奈津子は静かな口調で告白し始めた。
「ある日、たまたま深夜に寄ったコンビニで
『変態露出狂女』というタイトルのアダルト雑誌が目に留まり
私は初めてアダルト雑誌を買いました。
アパートに戻るとすぐ雑誌を読み始めました。その内容はどれも衝撃的でした。
だって明るい公園やお店で素っ裸になっている
女性の姿が掲載されていたんです。
それらの写真や文章を読むうちに興奮が高まって
私も部屋の中で服を脱ぎ、全裸になりました。
でもそれでは全然物足りなくて、玄関の扉を開いて廊下に出ました」
「深夜なので誰も居ないのに、恥ずかしくてドキドキして・・・。
でもしばらく経っても何も起きないので、やがて廊下から階段へ移動し
最後は階段を下りてアパートの外に出てみました。それが私の初露出です」
「ふーん。露出でストレス発散ねぇ。私には思い付かない方法だわ」
薫があまり興味を示さなかったのは
それを自分に置き換えて考えられなったからだろう。
しかし奈津子は初めて自分の過去を話せる機会を得て、さらに告白を続けた。
「恵まれた環境で育ったあなたには分からないかも知れませんが
就職先が見つからない時の心境は寂しいなんてものじゃありません。
自分の存在価値を認めてもらえなくなったように感じて
落ち込む日が続くんです。
雇うに値しない人間だからアルバイトでしか雇ってもらえない。
お金も少ししか稼げない。借金すら満足に返せない。
そんな自分を脱ぎ捨てて生まれ変わりたい、と思ったのかも知れません」
奈津子は薫と目を合わせないまま話し続けた。
「それから私は深夜にコンビニでアダルト雑誌、それも露出系の雑誌を買っては
自分のアパートで露出行為を繰り返しました。
月に2〜3回のペースでしたが、繰り返すうちに物足りなくなって
ついに全裸にコート1枚だけ羽織って夜の町を歩いてみました。
歩き回ると言っても、ずっと身体は隠していましたが
誰かに見つかりたいのではなく
気付かれるかも知れないスリルを楽しむだけで十分だったんです」
「しかし、やがてそれも物足りなくなりました。
最初は5〜6分程度、近所を散歩する程度でしたが
そのうち人の多い通りを行き来するようになり
やがて全裸コート姿でお店の中にまで出入りするようになりました。
でもある日、私の様子を不審に思った女性の店員に声を掛けられました。
露出行為に気付かれたというより『万引き』と勘違いされたのかも知れません」
薫が助手席の奈津子を見ると、明らかに彼女は話しながら興奮していた。
「私が逃げると、彼女は私を追い掛けてきました。
必死で逃げたので追い付かれることはありませんでしたが
それが私の中で『大きな転機』になりました。
人に見つかってしまうスリルを知ってしまったのです」
「それからは、もう普通に出歩くだけでは物足りなくなってしまったのね?」
「はい。さすがに追い掛けられた日は『もうしばらくはやめよう』と決め
数日は自粛し出来ていました。
それなのにコンビニに行けばアダルト雑誌に目が行くし
ネットでも海外のヌーディストビーチを検索してしまうんです。
お金があればすぐにでも行きたいと思い続けていました。
でも貧乏な私にそんなお金がある訳がないから・・・」
「・・・露出プレイをやめるのをやめて
再び全裸コートで町を歩き回り始めたってワケね。
コートの下が裸だと誰かに気付いてもらうために!そうでしょう?」
薫は口調を強めて言った。
「ええ、その通りです。今までに4人の方に裸を見せたことがあります。
でも見せる相手は一人で大きな手荷物を持っている女性と決めていました。
荷物があれば速く走れませんし
長い距離を追い掛け続けることもしないだろうと。
実際、私の予想通りでした。
もっともあなたは足も速くて、一番長く追い掛けられましたけれど」
「その代わり最高のスリルを体験出来たってワケね。
結局は逃げ切ってこれたんだから、あなたの思惑通りじゃない」
薫は不機嫌そうに言った。
「はい、そうです。・・・いや、そのハズでした。
場所も時間も同じにならないように配慮していましたし
実行前には周辺の道を下見して逃走ルートまで考えていたんです。
それなのに、まさか勤め先で再会するなんて・・・」
奈津子はそのまま黙り込んでしまった。
薫もそれからは一言も話さず、車をマンションの駐車場に入れた。
7.薫のマンション
「さあ、着いたわ」
薫は奈津子にそう言うと、車を降りてエントランスホールに向かった。
マンションはオートドア形式で、防犯カメラも設置されているのだが
管理人は定時で帰ってしまうので今はもう無人だった。
「早速だけど、またさっきと同じ姿になってもらうわ」
「えっ、ココで?」
「私がココから離れて5分経ったらコートを脱ぎ
全裸のままでココにあるカメラの方を向いて801号室を呼び出しなさい。
モニターで裸になっていることが確認出来たらオートドアを開けてあげるわ」
「無理です。エントランスは明るくてガラス張りだから
離れた場所からでも裸になっていると分かっちゃいますよ?」
「出来るかどうかは聞いていないわ。やるかやらないかなのよ。
もっとも、やらないで済ませるつもりはないから
グズグズしないでさっさと終わらせるのが賢い選択よ」
そう言い残して薫はその場を去り、奈津子だけがエントランスホールに残された。
「どうしよう。このまま帰る訳にもいかないし。
もし逃げだせば、やっと見つけた今の仕事を辞めるしかなくなっちゃう。
それなら誰にも見られないうちに、さっさと済ませられれば・・・」
ようやく決意した矢先、ちょうど入居者の一人が帰ってきた。
結果的にコートを脱ぐ前だったので事なきを得たが
その人が去った後、奈津子は指示通りコートを脱いで全裸になり
インターホンで801号室を呼び出した。
「遅かったじゃない。まさかこのまま帰るつもりだったの?」
「違います。ちょうど帰って来た方がいて脱げなかったんです」
「さっさと脱いでいたら目撃者になってもらえたのに、残念だったわね」
「そんな事より早くオートドアを開けて下さい。早く!」
何度も周囲を振り返る様子がモニター越しでも伝わったのか
薫は素直にドアを開けてくれた。しかしこれで終わった訳ではない。
奈津子はエレベーターを避け、コートを握り締めて階段で8階に向かった。
8.薫の部屋
「どうだった?エレベーターで誰かと鉢合わせしなかった?」
返事をしようとするも、階段を駆け上がったせいで息が切れ
奈津子は何も言葉に出来なかった。
「・・・ああ、人目を避けて階段で来たのね。
でも裸のままココまで来たみたいだから許してあげるわ。入りなさい」
奈津子が部屋に入ると、彼女の身体から汗の匂いが漂った。
「す、スミマセン。あまり持久力はない方で・・・」
「それが理由?息切れしているのは走ったせいだけなの?」
薫は、部屋に入れて安心した奈津子を背後から抱きしめると
奈津子の左右の乳首を同時に摘んだ。
「ひっ!イヤッ!」
「乳首をこんなに硬くさせておきながら、何を言ってるの?
正直に言いなさい。裸で移動したスリルに興奮したんでしょう?」
「ち、違います。これは・・・」
薫の指摘どおり、奈津子の乳首は突き出るほど硬くなっていた。
「エントランスからココまでだって全裸のまま来たんでしょう?
カメラがない場所ではコートを羽織り直すことだって出来たのに」
「だって、命令には逆らえないじゃないですか。
もし途中でズルをしているとあなたに知れたら・・・」
「違うわ。あなたの行動は全て『マゾ気質』がそうさせているのよ!」
薫が奈津子の乳首を摘まみながら引っ張り上げると
乳房全体が持ち上がった。
「い、痛い・・・で・・・す・・・」
「あなた、自分でマゾだと気付いてないの?
今だって、私の手を払いのけて逃げれば良いのに、成すがままじゃない。
本当は気持ちイイんでしょう?そういうのが好きなんでしょう?」
「・・・」
「露出狂で、しかもマゾ。とんだ変態女ね」
「・・・」
「ようやく就職先を見つけられた後も露出プレイの衝動が抑えられないのは
ストレスが原因じゃなく、あなたが自虐的な行為に魅せられた『マゾ』だからよ」
「・・・」
「そのうち別の誰かに見つかって、酷い目に遭うまで繰り返すわ。
いいえ。たとえ犯されたって露出プレイをやめられないかも知れない。
だってあなたは『マゾ』なんだもの」
薫は指先が食い込むほど奈津子の乳房を強く握った。
奈津子がマゾ気質なら、薫はサド気質と言えるだろう。
「・・・そう・・・なのかも」
奈津子はようやく言葉を発した。
薫の言葉責めによって、意識の変化が現れたのだ。
「自覚はしていませんでしたが、あなたの言うとおりかも知れません。
私はきっとマゾで、露出衝動を抑えられないんです。
そしてたぶん破滅するまで露出プレイを続ける気がします」
「・・・否定すると思ってたのに。あなた、やっぱり面白い人ね」
薫は奈津子の乳房から手を離し、彼女の正面に回り込んだ。
「いいわ。私があなたにスリルを与えてあげる。
ううん、スリルだけじゃない。見られるだけでは味わえない『快感』もよ」
薫はそう言うと、奈津子の左乳首を舐め始めた。
「ひっ!」
「ウフフ、意外と敏感なのね。やっぱりさっきの露出プレイで興奮したからなの?
それともこれから何をされるか期待しているからなのかしら?」
「き、期待なんかしてません!」
だが薫に舌先で乳首を転がされると、背筋がゾクゾクして
奈津子は身体を何度もピクッと硬直させてしまうのだった。
「ああ、こんな。こんなのって・・・」
気持ちイイのは乳首だけでなかった。
腰に添えた薫の手の僅かな動きですら心地良く感じるほど感度が上がり
奈津子は自分の身体が快楽を求めているのを自覚していた。
「このまま触られ続けたら、きっと引き返せなくなっちゃう。
でも、気持ちイイ。拒み切れない」
すでに、その場から逃げ出すことすら出来ず
愛撫を堪えれば堪えるほど、奈津子は徐々に追い込まれていった。
「ちゃんとイカせてあげれば、精神的にも堕とせそうね」
薫の方も、自分にサディスティックな感情が芽生えるのを意識しながら
奈津子の敏感な部分をあえて避けて愛撫を続けた。
「もっと触って欲しい。もっと気持ち良くなりたい。
本当はそう思っているんでしょう?
あなたの秘密を知っている私に、今さら取り繕う必要はないわ。
今だって私は服を着たままなのに、あなたは全裸なのよ?
あなたが今して欲しいことは何?」
奈津子はその言葉がどういう意図なのか、すぐに察した。
今日の出来事は全て、露出プレイを見られたことによる
薫からの『脅し』に屈したせいだと言えなくもない。
正門前で車に乗せられた後、裸でゲームに参加させられ
マンションの階段を裸で駆け上り、こうして身体を触られるまで
どれをとっても自分の意思でやったことではない。
でも、淫らな『おねだり』を自ら口にしてしまえば
それは奈津子が望んだ事になり、もう『脅し』に屈したとは言えなくなる。
とは言え、今の状況で奈津子に残された選択肢は事実上1つしかなかった。
「もっと触って下さい!もっと気持ち良くして下さい!
私のアソコを、濡れたオマンコをもてあそんで下さい!」
「そうよ。その言葉を待っていたの。
ご褒美に、あなたを私の『オモチャ』にして上げるわ」
薫は奈津子をリビングのカーペットに仰向けに寝かせると
両足の膝を抱えてM字開脚の姿勢を取らせた。
「フフフ、今のあなたの表情。とてもイヤらしいわよ?
恥ずかしい姿を見られるのが本当に好きなのね」
薫は中指と人差し指を突き立てて見せた後
奈津子のオマンコにゆっくりと挿入した。
「ああっ!入るっ、入ってるぅ〜っ。いい、気持ちイイ-〜っ!」
奈津子は薫の目を見つめながら喘ぎ声を漏らした。
どうやら性器を触られている事だけでなく
感じている姿を見られている事にも興奮しているようだった。
「まだこれからよ。次はGスポットを刺激して上げるわ」
薫は奈津子の膣壁を内側からゆっくりと指先で押し上げた。
「おっ、あふっ、あおぉ〜っ。それ、ソコいい!
感じる、ゾクゾクするほど感じちゃうっ!
誰かにこんな恥ずかしい事をされるなんて、夢みたい!
もっとして。私に恥ずかしい事をしてぇ!」
奈津子は薫の目を見つめながら何度も頷いた。
「露出狂のマゾ女らしい『淫らな姿』をさらけ出せた気分はどう?
私の『オモチャ』になるなら、これからもウチに遊びに来て良いのよ?」
「なります!あなたのオモチャに!
だからこれからも時々、裸の私を。イヤらしい身体をもてあそんで下さい!」
さんざん焦らされた後に快楽を得た奈津子は
完全にマゾ気質を開花させていた。
「商談成立ね」
薫はそう言って一呼吸おくと、奈津子のオマンコを指で激しく責め立てた。
「いっ、くひっ、ひいぃ〜っ。すごい、すごくイイ!
もっと激しく、もっとグチョグチョにして。ああ、すごい。気持ちイイのぉ-〜っ!」
仰向けの姿勢で両膝を抱えたままではほとんど身動きが取れないが
奈津子は薫の目を見つめながら、挿入された指先を膣穴で締め付けた。
「も、もう無理。これ以上は、ダメです。イッちゃう、イク、いく、イッくうぅ〜!」
奈津子はM字開脚の姿勢で両足の膝を抱えたまま仰け反り
全身を震わせながらアクメに達した。
***** ***** ***** ***** *****
「フフフ、同性がイッちゃうのを見たのは初めてだけれど
こんなに淫らでイヤらしいのね。まさに『メス』って感じだったわ。
でも安心して。あなたのことは大切にするわよ。
最高の『オモチャ』としてだけれどね」
薫は、ようやくココの大学に進学して良かったと思える日を迎えて
素直にワクワクしていた。
「やっぱり私、マゾなのかな?でももう見られるだけじゃ満足出来ないかも?」
奈津子は今までとは違う『破滅の道』を選んだのかも知れないと思いつつも
アクメの余韻に浸りながら、全裸のまま天井を見つめた。
【おわり】
【あとがき】
今回の作品の登場人物の名前は由来があります。
1983年に製作された日本映画「セーラー服 百合族」の
主演女優のお二人から頂きました。
ネットで「百合族」で検索するとすぐに見つかります。
もっとも実際には見ていないので、作品内容は全く違います。
「もし普通(ノーマル)の女性が、露出狂の女性と出会ったら?」
今回はそんな場面設定を思い付いて書きました。
地方都市が舞台ですが、具体的な場所は想定していません。
名前を借用したお二人も、作品が出来上がってから探した名前なので
イメージモデルですらありませんが
ネットで「小田かおる」「山本奈津子」で画像検索すると探せますよ。
でも当時20歳だったとしても今では50代半ばですから
昨今の熟女ブームに関わらず、すでに引退してされていると思います(笑)。
読者の皆さんには、ぜひご自分の知る地方都市と
自分を奈津子に置き換えて脳裏に描きながら読んで欲しいと思います。
【ベル】
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