小説『山あいの村営浴場』


                              作;ベル

1.

私は幼い頃から、TV番組で温泉レポートを見るのが好きだった。
おそらくリアルタイムではなく、祖父が録画していたのを見ていたのだと思う。
「ねえ、おじいちゃん。男の人のアソコに丸いマークがあるのは
本当はオチンチンが見えちゃっているってことでしょう?
そんな場所でレポートするなんて、あの女の人すごくない?」
「そうだね。きっとあの人はお風呂が大好きだから出来るのさ」
女性レポーターがバスタオル1枚の姿で
男性と一緒のお風呂にいるのをテレビで見ながら
元々お風呂好きだった私は
いつか自分も温泉レポートをやってみたい、と思っていた。

私が中学生になる頃には
セクシーなグラビアアイドルや女優にも憧れるようになっていた。
「こんな小さな水着しか着ていないのに、どうして笑顔でいられるのよ?
周りには男性のカメラマンやスタッフだっているんでしょう?」
私は惹かれていたのは、アイドルたちの容姿ではなく
仕事だと割り切れる、普通の学生にはない『行動力』だった。

そんな私が大学生になったある日、旅番組をTVで見ながら
レポーターとしてではなく、入浴客として一緒に入ることを思い付いた。
「どうしてずっと気付かなかったんだろう?
なんでレポーターにならなければ、混浴出来ないと思い込んでいたんだろう?」
私は困惑すると同時に、ある考えが浮かんだ。
「でも気付いちゃったんだから、もう行くしかないじゃない?」
私は地元に近い混浴浴場をネットで検索し
母の軽自動車を借りて一人で出掛けた。



2.

そこは町から外れた、のどかな山あいにある村営施設の小さな浴場。
元々は平屋建ての倉庫だったようで、天井は高いが壁は3mくらいまでしかなく
脱衣室こそ別々だったが、浴室は1つしかなかった。
脱衣室も土間に木製の棚とスノコを並べただけ。
浴室もコンクリートの土間に大きな浴槽を置き
壁沿いに配管を取付けただけの簡易な作りだった。
料金も入口の箱に入れるだけになっていて、従業員はいないようだった。
お湯は天然源泉のようで温泉ならではの香りが漂っていたが
場所が不便なせいか、平日の昼過ぎに私が着いた時には誰もいなかった。

「ちょっと拍子抜けしちゃったわ。
今日のために、大きなバスタオルまで用意して来たのに」
私は身体に巻き付けたバスタオルを外した。
モデル体型には程遠いが、バストの大きさには自分でも自信があった。
大人になってもレポーターの事が脳裏に残っているのは
幼い頃に見た女性レポーターが
私と似たようなポッチャリ系だったからかも知れない。
「自分だけしかいないなら、身体を隠す必要もないわよね」
私は一旦脱衣室に戻ると、手拭いだけを持って浴室に戻った。
一通り身体を洗い終えると湯船に浸かった。
湯船には壁を貫通した配管から源泉が直接注がれていた。
昼夜問わず流れているのか、湯量は少ないのに湯船は満杯だった。、
浴槽の広さは並んで入っても4人まで、といった大きさだったが
一人きりなのでゆったりと浸かることが出来た。

「ふう、温まるぅ〜。やっぱり家のお風呂と違うってだけで気持ちが良いわね。
お湯が白い濁り湯って言うのも、温泉ぽくってイイ感じだし」
そろそろ上がろうかという時、女性が2人やって来た。
「おや、見掛けない顔だね。観光客かい?」
「まあそんなところです。そちらは地元の方ですか?」
話を聞かせてもらうと、地元で農業をしている人たちだった。

「でももう少ししたら、今度は夫や別の男たちが来ちゃうから
早めに上がったが良いわよ」
「ありがとうございます。もう少し浸かったら私も上がります」
私は2人を見送りながら考えた。

「これは有力情報だわ。温泉レポーターを疑似体験出来るチャンスじゃない!」
私の頭の中には、幼い頃に見たTV番組の映像が浮かんでいた。
当時の私は、レポーターがバスタオル1枚で一緒に入浴していると思っていたが
大人になった今なら、水着ぐらいは着けていただろうと思っている。
しかし、私が憧れていたのは
『男性と一緒でも躊躇せず入浴するレポーター』なのだ。

「バスタオル1枚で混浴。それがついに実現するんだわ」
私は脱衣室に戻って素肌の上にバタオルを身体に巻き直すと
男性たちがやってくるのを待った。
間もなく、隣の脱衣室に何人か入って来たのを壁越しに感じた。
「慌てちゃダメ。温泉レポーターだって、男性が入っている所に行ってたじゃない」
全員が脱衣室から浴室に移動したタイミングを見計らって
私は再び浴室の扉を開けた。

「おっ?」
3人の男性は私が入ってくるのを見て戸惑っていた。
ずっと静かに息を潜めていたから、誰もいないと思っていたのだろう。
「こんにちは。地元の方ですか?」
「ああ。お嬢ちゃんは観光客かい?」
やはり、さっきの女性たちが言っていた農家の男性たちだった。
「ご一緒しても良いですか?」
私はレポーターになった気分で浴室に入った。
3人のうち、1人は洗い場に。あとの2人はお湯に浸かっていた。

「何を話した方が良いかしら?湯加減はどうですか、とか・・・」
私がそんなことを考えながら立ちすくんでいると
お湯に浸かっていた年配の男性が立ち上がった。
彼は股間を隠すことなく、男根を露わにしたままコチラに近付いた。
「きゃあ!」
私は顔を手で覆いながらも、指の隙間からしっかり見ていた。

「そんなに驚くことはねぇだろう?ここは混浴なんだから」
「はい、でも・・・」
戸惑う私の横を通り抜けながら、彼はもう一言付け加えた。
「それより突っ立ったままじゃココに来た意味がないだろう。
湯に浸かるなり、身体を洗うなりしたらどうだ?」
「は、はい。そうします」
だが私が湯船に向かおうとすると
今度はお湯に浸かっていた男性に声を掛けられた。

「こんな田舎の施設で細かいことは言いたくないんだが
せめて『かけ湯』ぐらいしてから入りなよ」
「し、失礼しました。ごめんなさい」
しかし私が洗い場に座ってシャワーに手を伸ばすと
次は洗い場で髪を洗っていた男性に声を掛けられた。

「おいおい。バスタオルを巻いたままかけ湯をするつもりかい?」
「えっ?でも・・・」
「しょうがねえなぁ。俺たちは向こうを向いているから
ちゃんと汗を流してから入りなさい」
私はやむなくバスタオルを外し、座ったままシャワーを浴びた。
髪を洗っていた男性の方も私に気を使ったのか
その場を離れて湯船に浸かった。

「予定外の展開ばかり続いているわ。
私は温泉レポーターみたいに、お風呂で男女仲良く
ゆったりのんびり出来たらと思っていただけなのに。
オチンチンを見ちゃっただけじゃなく、私までバスタオルを外すことになるなんて」
だがこれで終わりではなかった。
私がバスタオルを巻き直して湯船に入ろうとすると
前から湯船に浸かっていた方の男性に、また声を掛けられた。

「まさかバスタオルを巻いたままお湯に浸かるつもりかい?」
「えっ?でも・・・」
「濁り湯なんだから、ちゃんと肩まで浸かれば見えやしないよ」
確かに入浴マナーを考えれば、タオルはお湯に入れるべきではないし
湯船に入れば身体もほとんど見えなくなるだろう。
だがそうするには、彼らの見ている前でバスタオルを外さなければならなかった。

「俺たちが邪魔だって言うなら先に上がるさ。ゆっくりして行きな」
「いいえ、邪魔なんかじゃありません。私も混浴だと知ってて来たんですから」
私は巻いていたバスタオルを外し、自分の姿を露わにした。
相手を不快にさせてしまったことで決断したとは言え
一切隠さなかったのが良かったのか、男性たちは満足そうな笑みを浮かべた。

「やっと踏ん切りがついたみたいだな」
「まあ、それが混浴ってもんだ」
私は照れくさそうにしながら黙ってうなづき
彼らが入っている湯船に足を踏み入れた。
一瞬、男性が2人とも目を丸くしたので
浴槽を跨ぐ際にアソコが見えたのかも知れなかったが
すでに裸を見せ合っているんだと思うことにした。

「ふう、温まるぅ〜。男の人と一緒だから緊張したけれど
こうしてお湯に浸かると緊張が解れていくのが分かります」
私は裸になってしまった自分へ言い聞かせるように話した。
「そりゃあ良かった。お風呂はリラックスするために入るんだからな。
さて、お嬢ちゃんの裸も見れたことだし、俺たちはそろそろ上がるよ」
「先に上がったオヤジは損したな。後で悔しがらせてやろう」
湯船に浸かっていた2人の男性は
先に上がった男性と同じく、股間を隠すことなく立ち上がった。
彼らの後姿を見ていた私には
お尻の下から伸びきった陰嚢が見えていた。

「あの!」「ん、何だい?」
私が後ろから声を掛けると、彼らは揃って振り向いた。
ぶら下がった男根に戸惑いながらも、私はこう続けた。
「マナー違反を続けた私に、いろいろ気を使わせてしまってすみません。
また寄らせてもらっても良いですか?」
「好きにすりゃあいいさ。これでもココは公共施設なんだから」
「村営の浴場とは言っても来るヤツなんて限られているんだ。
利用者が増えて文句をいうヤツはいないから、またおいで」
「あ、ありがとうございます」
私は湯船から立ち上がってお辞儀をした。
だがこれで終わりかと思いきや
しばらくすると脱衣室に戻った2人の話し声が聞こえてきた。

「いやぁ、驚いたな。あんなに若い女の子がこんな浴場にいるなんてな」
「しかもオッパイもお尻も丸出しのスッポンポンだ。
こんな事もう二度とないぞ。ラッキーだったな」
「何言ってんだい。かけ湯ぐらいしろだの、お湯にタオルを入れるなだの
あの子が脱ぐように仕向けたくせに」
「お前だって洗い場で、かけ湯するならタオルを取るように言っただろう?
『ちゃんと汗を流してから入りなさい』とか渋い口調で言うから
こっちは吹き出しそうだったよ」
「それを言うならお前だって
『俺たちが邪魔だって言うなら先に上がるさ』とか言っちゃって
カッコ良く決めたつもりかよ?」
「だがあの一言で、あの子も踏ん切りがついたんだぜ?
本当にイヤなら帰っても良かったのに、何だかんだでタオルを外したってことは
あの子も裸を見られたかったんじゃねえの?」
「そういや『また寄らせてもらっても良いですか?』とか言ってたし
最後は湯船から立ち上がって、自分の裸を見せていたもんな。
もし見られたかったんだったら、もっとじっくり眺めれば良かったな」

きっと彼らは、自分たちの声が浴室に筒抜けだとは気付いていないのだろう。
だが彼らの本音を聞きながら、私は自分に問い掛けていた。
「私は温泉レポーターに憧れていたんじゃなくて
本当は男の人に自分の裸を見られたかっただけなのかな?
だけど、混浴と知って来ているんだから、裸を見られるのは当然だし
せっかく温泉に来たんだから、積極的にコミュニケーションをとるべきじゃない?」
私は戸惑いながらも、裸を見せたことは後悔していなかった。



3.

翌週。同じ日の同じ時間に、私は再びあの村営浴場を訪れた。
私が憧れていたのは、混浴にも躊躇しない明るく元気な温泉レポーターなのか。
それとも自分の裸を見られたい露出狂なのか。
何度も悩んだ結果、はっきりさせるには再び行くしかないと思い至った。

「あの時、『来るヤツなんて限られている』って言っていたわよね。
つまり時間をズラしてしまうと、あの農家の人たちだけでなく
誰にも会えないかも知れないってことよね?」
どうせなら違う人とも混浴してみたかったが
遠くまで足を伸ばしているので、空振りだけはしたくなかった。

私が着いた時には、あの時と同じ女性2人が入っていた。
「おや、先週も来ていた子だね。そんなに気に行ったかい?」
「ココのお湯は私の肌と合うみたいなんです」
話を聞かせてもらうと、彼女の夫たちは私の話題で盛り上がっていたらしい。

「若い子が来ていただの、オッパイが見えただのと、そりゃ大騒ぎでね。
もともと雨の日以外は毎日来ていたんだけれど
また来るかも知れないって、ずいぶん遅くまで長湯していたわよ」
「それは気の毒なことをしましたね。でもどうして雨の日は来ないんですか?」
「雨の日は農作業をしないからよ。
しないと言っても畑に出ないだけで、家でやることはいくらでもあるから
休みって訳じゃじゃないけれどね」
「別にウチの人たちを待ってやらなくて良いんだよ?
ハッキリ言うけれど、あんたみたいな若い子の裸が見たいだけなんだから」
「でもせっかく来たんだから、ちょっとだけ会ってから帰ります」
私はしばらく話をした後、2人を見送った。

「話題になっただけじゃなく、私に会うために長湯していたなんて。
そんな情報を聞いたら会わずには帰れないじゃない?」
私は脱衣室に戻ってバスタオルを巻き、男性たちがやってくるのを待った。
間もなく、隣の脱衣室に入って来た人が浴室の扉を開けた音がした。
「何だよ、帰っちゃってるよ。ちょっとだけ会うって言ってたんじゃなかったのかよ」
「バカだな。女房にからかわれたんだよ。最初から来てやしないのさ」
私は男性たちを驚かせようと、笑いをこらえながら静かに息を潜めていた。
別の人がいる可能性もあるので
彼らも女性用の脱衣室までは確認しなかった。
そして男性たちが全員、浴室に移動したタイミングを見計らって
私は再び浴室の扉を開けた。

「おっ?」
3人の男性は私が入ってくるのを見て驚いていた。
一度は諦めていたせいか
その後の喜びようは私の方が苦笑してしまうほどだった。
「何だよ、帰ってなかったんだ。女房の言ってた通りだったよ」
「まさか本当に来ているとはな。だが、またバスタオルを巻いているのかい?」
「これは脱衣室で待っている間、身体を冷やさないためですよ。
かけ湯をする時はちゃんと外します。っていうか、もう外しちゃいますね」
私はそう言うと、彼らに背を向け
お尻が丸見えになるのを承知で、巻いていたバスタオルを外した。

「おお〜っ!」
男性たちが歓喜する声を聞き、私は自分がアイドルになったような気がした。
「温泉レポートのお姉さんもこんな気持ちだったのかな?
恥ずかしいけれど、でもこんなに喜んでくれるなら悪い気はしないわね」
そんなことを思いながら、私は外したバスタオルを脱衣室の篭に入れ
手拭いだけを持って浴室に入った。
一応、手拭いで胸元を押さえ乳房は隠したが
陰毛や恥丘は完全に丸見えだった。

「な?オヤジ、言ってた通りだろう?」
「こりゃあ驚いた。若いのに大した脱ぎっぷりだな」
湯船に浸かったまま、男性たちは私の裸を見上げた。
私はまず洗い場に座ってシャワーを浴びた。
そして一通り汗を流し終えると、手拭いに石鹸を泡立てて身体をこすり始めた。

「何かこう、『若い女が身体を洗っている後ろ姿』を見るっていうのは
イイもんだな」
「そうですか?でも褒めたって何も出やしませんよ?」
私は男性たちに背中を向けたままだったが
彼らはそれでも満足しているようだった。
むしろ物足りなくなったのは私の方で、もうちょっと見てもらいたくなっていた。

「背中を向けたまま話すのも何ですから、ソチラを向いても良いですか?」
私は椅子に腰掛けたまま、石?の泡を全身にたっぷりと塗り付けた後
クルッと向きを変えて男性たちの方を向いた。
「今の季節って何が採れるんですか?」
私は再び何事もなかったかのように、身体を洗いながら彼らに話し掛けた。
膝を閉じているとはいえ、手拭いを動かすたびに少しずつ泡が落ち
身体の色んな箇所が少しずつ彼らにも見えていってるハズだが
私はそれに気付いていないフリを続けた。
「そ、そうだな。ウチだと春菊・小松菜・大根・白菜・カブ・里芋ってとこかな」
まともに見てはいけないという気持ちと、それでも見たいという気持ちが混在し
湯船に浸かっていた男性たちは目を泳がせながら答えた。
一方、裸で男性たちと会話するという状況に、私の気分はますます高揚した。

「ああ、どれもお鍋に合いますよね。私、お鍋が大好きなんですよ」
私は手拭いで脇の下をこすりながら、少しだけ膝を開くと
男性の一人が「あっ」と短く声を上げた。
「どうしたんです?」
「い、いや。何でもない。大したことじゃないんだ」
「ウフフ、誤魔化さなくても良いんですよ。
見えちゃったんでしょう、私のアソコ?」
私は持っていた手拭いから泡を集めると、股間にたっぷり塗り付けた。

「これでまた見えなくなっちゃいましたね。残念でした」
しかしちゃんと隠せたのはホンの一時で
身体を動かせば泡が伝い落ち、またすぐに陰毛が露わになった。
私はその度に手拭いから泡を集め、恥丘が隠れるように塗り直したが
彼らは何度塗り直されても、一瞬でも見えるなら十分なようだった。
むしろ物足りなくなったのは私の方で、もっと見てもらいたくなってしまった。

「泡でも隠せている事になるなら・・・」
私はあらためて石鹸を泡立て、身体の前面だけに泡をたっぷりと塗り付けた。
「またまた見えなくなっちゃいましたね。残念でした」
私はそう言いながら椅子から立ち上がると、手拭いを背中側に回し
右肩から左の腰に貼り付いた手拭いの両端を持ったまま、背中をこすり始めた。

「おおっ、揺れている。お嬢ちゃんのオッパイがブルブル揺れているぞ」
当然、身体を動かせば再び泡は伝い落ち始め
全身に塗り付けた泡は下へ下へと移動した。
量が多くなった分、重みで泡が思った以上に早く落ちたのは誤算だったが
それでも私は背中をこすり、乳房を揺らし続けた。
やがて、両足を肩幅ぐらいに広げて立っている私の姿は
股間付近に僅かな泡を残して露わになった。

「丸見えだ。乳輪も陰毛も丸見えだぜ!」
「お嬢ちゃん、すごいな。ストリッパーも顔負けだ!」
「どんなに泡を塗ったって、動けばそうなるのは明らかだもんな!」
彼らはニヤニヤしながら、私の身体を堪能したが
私の方も戸惑いや躊躇(ちゅうちょ)がなくなり
自ら男性たちが入っている浴槽に近付いた。

「飛沫(しぶき)が飛んだらゴメンナサイね」
私は手拭いを置いて湯船の近くでしゃがみ、
すぐ側にあった手桶でお湯をすくうと、身体に残った泡を洗い流した。
私がシャワーを使わず、目の前でかけ湯を繰り返すと
彼らは遠慮ない視線を私の乳房に向け続けた。

「お風呂に入る前に、まだ泡が残っていないか確認してもらえます?
私、もうどこも隠しませんから!」
私は湯船の近くで立ち上がり、陰唇まで見えるのを承知のうえで
その場でゆっくりと回ってみせた。
見上げるような形で私の裸を堪能した彼らは
イヤらしい言葉を次々と投げかけた。

「お嬢ちゃん。泡がなくなったら、表情も一段と艶(つや)っぽくなってきたな」
「俺もそう思っていた。乳首もツンと突き出しているしよぉ。
これじゃあアソコもすっかり濡れているんだろう?」
「そりゃあ、こんだけ裸を見られりゃ興奮すんだろ。
いや、興奮したから堂々と見せてんのか?」
彼らに指摘される度に私のアソコはキュッと締まり、愛液が溢れ出した。

「私は自分の裸を見られるのが楽しいんだ!
裸を見せられた人に喜んでもらえるのが嬉しいんだ!」
私は彼らが入っている湯船に足を踏み入れた後
浴槽の縁に腰を降ろして、ゆっくりと膝を開いた。
今までは隠さないから見えてしまうという建前だったが
今度は意図的に見せようとしているんだと思うと、一気に鼓動が跳ね上がった。
コチラの意図を図りかねたのか
ニヤニヤしていた男性たちは言葉を失い、息を呑んで私の顔を見上げた。
「私、今日は何だか変なんです。裸を見られるのが嬉しいんです!
女の子の一番恥ずかしい所まで、全て見られたいんです!」
そう言いながら陰唇までも露わにさせた時、私の頭の中で何かが弾けた。

「おおっ!マジか?アソコまで丸見えだぞ?」
「ピンクのワレメまでご開帳とは驚いたね」
私の方から見られたいとはっきり言ったことで、彼らは歓喜した。
「やっぱりお嬢ちゃんは露出狂だったんだな」
私は照れくさそうにしながら黙ってうなづいた。
露出狂と呼ばれることに抵抗がない訳ではなかったが
裸を見られたいという気持ちの方が上回っていた。

「それにしても大した度胸だよ。恥ずかしくないのかい?」
「最近の子はみんなそうって訳でもないんだろう?」
男性たちの視線は、私のアソコに集中した。
私はフワフワした感覚に酔いしれながら、今の気持ちを正直に言った。
「もちろん恥ずかしいですよ。今もすごくドキドキしています。
でも前回、皆さん誰もアレを隠そうとせず私に見せたでしょう?
それが混浴では当たり前なんだなって思ったので
今日はなるべく隠さないようにしようって決めていたんです」
本当はそこまで決めておいた訳ではなかったが
何かが吹っ切れた私は、そう答えていた。
お互い裸のままで男性たちと話すのは不思議な感じだったが
温泉レポーターに憧れていた私は、こういう場面を求めていたような気がした。

「そろそろ私も、お湯に浸かっても良いですか?」
「ああっ、もちろんだとも。ゆっくり入りなさい」
そう言いながら、私に場所を譲ろうと立ち上がった年配の男性は
男根をそそり立たせていた。
「きゃあっ!おじさん、それ・・・」
私は動揺しながらも、大きくなった男根から目が離せなくなっていた。

「年甲斐もなく、お嬢ちゃんの姿を見て興奮しちまったよ。
でもお嬢ちゃんが隠さないのに、男の方がコソコソするなんて不自然だろう?」
「そうだな。今さら隠すつもりはないし
お嬢ちゃんになら見られたって構わないよ」
「こっちはもう、お嬢ちゃんのアソコまで見せてもらったんだもんな」
そう言いながら、残りの男性も湯船の中で立ち上がると
やはり男根を勃起させていた。
濁り湯なので全く気付かなかったが
全員、私の知っているアレより格段に立派だった。

「お、大きい・・・」
そうつぶやいてしまうほど立派な男根を見せられた私は
思わず口元を手で押さえていた。
若い女性の裸を見ていた彼らにすれば当然の『反応』だが
私が戸惑っているのに気付いた彼らはニヤリと笑った。
「遠慮しないで近付いて見たっていいんだぜ?
混浴ではお互い隠さないのが当たり前だって言ってたじゃないか」
「その通り。俺たちの方が恥ずかしがってちゃみっともないからな。
何なら触ったって構わないぜ?」
一番若い男性は勃起した男根を私の方に突き出した。

「みんな、この前とは全然違う。こんなに大きくなるものなの?」
「おいおい、お嬢ちゃんのせいでこうなったんだぞ?」
「今さら女房の裸を見ても、これほど勃起はしないからな。
やっぱり若い子の裸は別格なんだよ」
一人がそう言いながら手を伸ばし、私の身体に触ろうとしたが
私はピシャッと平手で払った。

「お触りはダメですよ。裸を見られるのが好きなのはもう否定しませんが
サービスし過ぎたとも思っているんですから」
「お前はいつも調子に乗ってヘマするんだから、自重しろよ」
年配の男性にも叱られ、彼は苦笑いするしかなかった。
だが、こうして話している間もお互い裸を隠すことはなく
こんな状況を受け入れてくれた彼らに親しみすら感じていた。

「じゃあ、俺たちはそろそろ上がるよ。お嬢ちゃんはゆっくり温まっていくと良い」
「ありがとうございます。またご一緒する時はよろしくお願いしますね」
私は彼らを見送ってから、湯船に浸かった。
たとえ別の混浴浴場に行くことがあっても
同じような事が出来るとは思えなかったし、またココに来たいとも思っていた。
だがこれで終わりかと思いきや
しばらくすると彼らが脱衣室で話す声が聞こえてきた。

「いやぁ、驚いたな。まさかお嬢ちゃんがあんな事までやってくれるなんてな」
「オッパイを揺らして背中を擦っている時なんて、すごく嬉しそうな顔してたしな。
こんな事もう二度とないぞ。ラッキーだったな」
「しかし浴場で裸になるのは当たり前だとしても
あれだけ全く隠さないのは、見せ慣れているからなんじゃないか?」
「お嬢ちゃんが見られたくて見せているなら、何も気にする必要はないさ。
お互いの利害が一致しているんだから」
「だが裸を見られたいってことは、あの子はやっぱり露出狂ってことだろう?」
「まあ、そうだろうな。調子に乗って警察沙汰にならないと良いんだが・・・」

きっと彼らは、自分たちの声が筒抜けだとは気付いていないのだろう。
だが彼らの本音を聞きながら、私は自分に問い掛けていた。
「私は裸を見られたがっている露出狂なんだ。
自分でどう思っているかは別にしても、傍から見れば露出狂なんだわ」
私は露出狂と呼ばれたことに戸惑いながらも、後悔はしていなかった。
「憧れていた温泉レポーターとは少し違ったかも知れないけれど
それでも自分の新しい一面に、裸を見せる楽しさに気付けたんだから」
実際、裸を見られている時のドキドキする高揚感は
混浴でしか味わえない感覚だろう。

「ココなら今後も、裸になった私を見てもらえる。そんな場所として使えそう。
欲を言えば、もっと違う人にも見られたいかなぁ」
私は帰ったら地元に近い混浴浴場をネットで再検索し
別の場所も開拓したいなどと考えながら、湯船の中でクリトリスを撫でていた。
【おわり】





【あとがき】
日本人が愛する癒しの場所:温泉。
中でも『混浴浴場』は、大らかな日本文化の象徴的な存在だと思います。
欧米の一部にもヌーディストビーチや混浴サウナがありますが
男女が同時に裸になれる場所がある国は、そうそうありませんよね。
治安が良くなければ成り立たないのですから。

そうは言っても、日本でも混浴浴場の数は減る一方らしいですが
もし『見られても良い』と女性側が割り切れるなら
お互いに裸を隠すことのない混浴が成立するんじゃないか?
今回は、そういう思い付きから書き始めました。
実際、裸を隠そうとしない女性の入浴を拒絶するような男性は
まずいないと思います(男性側も性器を晒すかどうかは別ですが)

もし『裸を見られるのが楽しいから見せちゃおう!』という女性がいるなら
「今の季節って何が採れるんですか?」
みたいな普通の会話が入浴しながら出来たら、きっと楽しいだろうと思います。

作品の終盤は、ややエスカレート気味な主人公ですが
本誌を愛読している露出っ子ならば
主人公と似たような事も出来ると思います。
とりあえず、地元に近い混浴浴場をネットで検索してみませんか?
【ベル】



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