小説『お隣に引っ越して来た若夫婦』

                              作;ベル

1.

「おやっ、マドレーヌか。珍しいな」
会社から帰った私は、箱に入った洋菓子の詰合せを見て
妻の方を振り向いた。
「昨日、若いご夫婦がお隣に引っ越してきて
『ご挨拶代わりに』って置いて行ったのよ。
こういう事がちゃんと出来るって、大切な事よね」
よほど丁寧な対応だったのだろう。妻はすっかり彼らを気に入ったようだった。

「姉さん女房なんだって。小柄だから年下に見えたけれど
奥さんの方が旦那さんに惚れているって感じだったわ」
「ほう、じゃあウチと同じだな(笑)」
私の冗談に対し、妻はワザと怪訝そうな顔をしてみせた。
実際、夫婦仲は悪くない。
しかし共に50代を過ぎた今では
夜の営みどころか、手を握ることさえもなくなっていた。

「まあ、こんな古い団地に若い夫婦が越して来たんだ。
不慣れなうちはいろいろ面倒見てやりなさい」
「ええ、そのつもりよ」
妻は娘夫婦が隣に引っ越して来たかのように張り切っていた。

しかしその後もしばらくは、私がその夫婦に会うことはなかった。
会社が人手不足なせいで、朝早くから夜遅くまで働き詰めだったからだ。
一度だけ、その夫婦がレジ袋を提げて帰って来るのを遠くから見掛けたが
今では顔すら思い出せない。
その夫婦の身長差が大きかった、という程度の印象しか残っていなかった。



2.

「今日はずいぶん遅くなっちまったな」
団地の階段を登りながら、私は小さくつぶやいた。

地元の飲食店を中心に、食材の卸売り業務を担う私の会社は
コロナ過の影響を大きく受けていた。
どうにか倒産こそ免れていたが、取引先の景気も悪化し
当社も従業員の3割を解雇しなければならなかった。
ようやく景気が回復する兆しが見えても、人手不足は解消せず
連日遅くまで残業せざるを得なかった。

「クビにはならずに済んだが、残ったら残ったでこれほどキツいとはなぁ。
先の見通しは立たないし、何か良いことでもないとやってられないよ」
しかし私がそんな愚痴をこぼせるのも、団地の3階ぐらいまで。
それ以上の階になると息が切れ始め、無駄口すら叩きたくなくなるのだ。

古い団地は5階建てでもエレベーターがない。
隣り合う2戸でひとつの共用階段を利用する『階段室型』の団地といえば
昭和では主流の集合住宅形式だったが
平成以降は高層化・耐震化が進んで、今では5階建て以上なら
エレベーターがない新築マンションは皆無だと、最近になって知った。

もっとも私が購入した時点で中古のリフォーム物件だったし
ベランダからの眺めが良く、価格も安かった。
だからこそ最上階だと承知で13年前にココへ引っ越してきたのだが
今ではなぜエレベーター付きの物件にしなかったのか、と後悔していた。

「引っ越して来た頃は手荷物があっても、全然平気だったのになぁ。
これが年を取るってヤツか。嫌だねぇ」
残業で遅くなった日の夜は特に、膝(ひざ)に堪えるのだが
弱音を吐いたところで状況が好転する訳でもなく
どんなにゆっくりになろうとも上り続けるしかなかった。
ところが、私が階段の最後の折り返し部分を曲がった時
玄関付近に人の気配がした。



3.

「・・・(誰だろう、こんな時間に?)」
私が無言のまま、なんとなく視線を上に向けると、
下着姿で目隠しをした女性が自宅の玄関前にいるのに気が付いた。
女性の方もコチラに気付いたようだが、その場から逃げようとはしなかった。
良く見ると女性は両手首を赤い縄で縛られ
それが屋上へ登るタラップに巻き付けられていた。

「・・・(いったいこれは、どういう状況なんだ?)」
女性の両足は床に接しているが、両手首を上から吊られているせいで
しゃがむことも出来ないようだ。
「・・・(なるほど。これじゃあ逃げようがないな)」
私は意外と冷静に女性を見つめたまま、この不自然な状況を分析していた。

「・・・(この年になると、驚いても叫んだり騒いだりしないんだなぁ。
いや、実際はすごく驚いているんだけれど
近くに彼女を縛った男が潜んでいるかも知れないし
たまたまこの場を離れているだけで、すぐに戻って来るかも知れない。
となると、急いで彼女を助けるべきか?
それとも警察か誰かに助けを求めるべきだろうか?)」
私が無言のまま思案していると、意外なことに女性の方から話し掛けてきた。

「あなた、ようやく戻って来たんですね?
お願いします。誰かに見つかる前に部屋へ戻して下さい。早くっ!」
どうやら女性は、私を誰かと勘違いしている様だった。

「せっかく新しい町でやり直そうって決めたんじゃないですか。
それなのにこんな姿を誰かに見られたら、言い訳のしようがありません」
「・・・(もしかしてこの人、お隣に引っ越してきた奥さんなのか?)」
どういう状況なのかは分からないままだったが
妻が言っていた小柄だという特徴とは一致していた。
それでも私が無言のままでいると、さらに女性はとんでもない事を告白した。

「あなたが露出プレイ好きなのは分かっています。
だけど以前も警察沙汰になってしまって
ココに引っ越すことになった事も忘れてないですよね?
どうしてもって言うなら、山奥とか人気のない場所に連れて行ってくだされば
昼間から全裸にされたって構わないんです。
だからお願い。誰かに気付かれる前に部屋に戻して下さい。今すぐにっ!」
目隠しをした女性は、私を自分の夫と勘違いしたまま必死に哀願した。

「・・・(おいおい、最近の若い夫婦ってそんなプレイまでしちゃうのか?)」
どうやら犯罪に巻き込まれたのではなく
マニアックな行為に及んでいた、というのが真相のようだった。
私は少しホッとすると同時に、いつの間にか勃起し始めているのに気が付いた。
「・・・(そりゃあ、こうなるよな。目隠しをしている下着姿の若い女性が
自分たち夫婦の性癖を告白してるんだから)」
私は無言のまま近付くと、女性の身体をまじまじと見つめた。

「・・・(年令でいえば30そこそこ。いや、まだ20代後半か?
肌に張り艶(つや)があって、つい触りたくなってしまうな。
若い女ってのはこんなにも魅力的だったかな?
いつ以来だろう、こんな気分になったのは)」
私はますます興奮してきたが
本当にお隣の奥さんだとしたら手を出す訳にはいかなかった。
すると女性の方から、まさかの提案があった。

「・・・何もせずに終わらせるなんて出来ないって言うんですよね?
だったらこのまま撮影しても構わないですから、早く済ませて下さい。
でも自宅の前での撮影は、本当にこれっきりにして下さいね?」
女性は目隠しをしたまま少しうつむくと、それっきり黙ってしまった。

「・・・(えっ、本当に良いのか?いいや、冷静になれ!
私を自分の夫だと思い込んでいるから言ってるんだぞ?)」
しかし、連日の残業で思考力まで衰えていたせいか
それとも千載一遇のチャンスを逃すまいという欲望のせいか。
私は胸ポケットから自分のスマホを取り出すと、女性の姿を撮り始めた。

「・・・(目隠ししていても分かるぞ。彼女が顔を真っ赤にさせているのが)」
私は笑みを浮かべながら、夢中でシャッターを切った。
自分のスマホなのに、シャッター音を消す手順すら知らなかったが
パシャッパシャッという音がしても、女性は文句を言わなかった。
しかし撮影を続けるうちに、私の心に邪(よこしま)な気持ちが湧き出て来た。

「・・・(どうせ両手首を吊られたままでは、何も出来やしないだろう?)」
私は一旦手を止めると、女性の前でしゃがみ込み
目の前のパンティーに指先を掛けると
左右に広げながら素早く引き摺り下ろした。

「い、いやぁ!やめて!!お願いします。許して下さい!」
女性は腰を引いて抵抗しようと試みるが
すでにパンティーは膝下まで下ろされた後だった。
「・・・(ほう。小柄なだけあって、アソコの毛も薄いんだな)」
陰毛が生えている範囲も狭く
細くちぢれた毛が貼り付くように恥丘を覆っていた。
私は再びスマホを構えると、女性の下半身を撮り始めた。

「あなた、早く済ませて。こんなところをお隣の人にでも見つかったら・・・」
女性は小声で訴え続けたが、やがてあきらめたのか再び黙ってしまった。
下半身を露わにされた女性が抵抗すらしないのを良いことに
私の心は邪(よこしま)な気持ちに染まっていった。

「・・・(妻の話だと、奥さんの方が旦那さんに惚れているって感じらしいが
どうやらかなり躾(しつ)けられているな)」
私は再び手を止めると、女性の前に立ち
ブラジャーのカップ部分を指先で摘まむと
少し手前に引き寄せながら強引に引き摺り上げた。
「ああ、そんな・・・」
ホックすら外さないままだったので、すんなりとは行かなかったが
布地がズレて解放された乳房はプルンッと揺れながら
隠れていた乳首とともに、私の目の前で露わになった。

「ひどすぎます。これじゃあほとんど全部見えちゃってるじゃないですか!」
女性は頭を左右に振って不満を口にしたが
すでにブラジャーは鎖骨近くまで捲り上げられた後だった。
「・・・(へえ。小振りだけれど、形の良いオッパイだな)」
乳輪の大きさは小さめだが、ピンク色の乳首はやや大きめで
上を向くようにツンと突き出ていた。
私は再びスマホを構えると、女性の上半身を近くから撮り始めた。

「もう終わりにして。こんな姿をお隣の人にでも見つかったら・・・」
女性は小声で訴え続けたが、私はそれを無視して無言のまま撮影を続けた。
ほぼ全裸になっている女性が哀願すればするほど
私の心は邪(よこしま)な気持ちで膨らんでいった。
「・・・(さっきの話だと、旦那さんは露出プレイが好きらしいが
どうやら奥さんもそれなりに経験を積んでいるな)」
私は興奮しながら女性の恥ずかしい姿を撮り終えると
あらためて正面に立ち、右手の中指を女性の股間に滑り込ませた。

「あ、あひっ!ダメっ!」
さっきまでずっと敬語で話し続けていた女性だったが
自分の性器に触れられた瞬間だけは大きな声を発してしまった。
「・・・(マズいな。奥さんの声に旦那さんが気付いてしまったかも?)」
しかしマズいと思ったのは女性の方も同じだったようで
腰を引いて抵抗しながらも、下唇を噛んでそれっきり黙ってしまった。
「・・・(さすがにやり過ぎたかな?)」
しかしココで異変が起きた。
女性の抵抗が急激に弱まったかと思うと、喘ぎ声を漏らし始めたのだ。
私はここぞとばかりに、股間に這わせていた中指を膣穴の奥にねじ込んだ。

「あっ・・・んんっ・・・い、い・・・や・・・あ・・・あ、あんっ!」
「・・・(すごいな。こんなに濡れていたのか!)」
女性の膣穴から溢れ出た愛液は
押し込まれた指から手のひらを伝って、私の手首で床に垂れ落ちた。
同時に女性の膣壁は私の中指を締め付けるようになり
自身も小刻みに身体を震わせながら吐息を漏らした。
「あなたに調教された身では、悔しいけれど逆らう事が出来ません」
女性は目隠しをしたまま私に向かって話し始めた。

「目隠しをしたら感度が上がるって言われた時は半信半疑でしたが
放置プレイで焦らされたあげく、全裸で拘束された姿を撮られたり
オマンコを荒々しく掻き回されてしまっては
これ以上、理性を保つなんて出来ません。
お願いします。もうお隣の人に見つかっても構いませんから
このままココで私をイカせて下さい!」
女性はハッキリそう言うと、自ら腰を突き出した。

「・・・(ええっ、本気で言ってるのか?もうどうなっても知らないぞ?
勝手に私を自分の夫だと思い込んだ奥さんと
自宅の前で放置プレイなんかする旦那さんのせいだからな?)」
たとえ私の妻が外の様子に気付いて、そこの玄関から出て来たとしても
私は女性をイカせるまで愛撫の手を休めなかっただろう。
そう思えるほど、私の心も邪(よこしま)な気持ちでいっぱいになっていた。

「・・・(ええい、ままよ。今さら引くのか?それこそあり得ないだろ。
この千載一遇のチャンスを逃すようなら、男に生まれた甲斐がない!)」
私は膣穴に指を押し込んだまま、女性の乳首にしゃぶり付いた。

「ああっ、凄い!どうして今夜はこんなに積極的なの?
でも、いい。すごくイイの。・・・あん、ああんっ!このままイッちゃいそう!」
私も左右の乳房を交互に舐め回し、乳輪ごと強く吸った。
特に乳首を甘噛みしながら、乳頭を舌でレロレロと責めてやると
女性は私の愛撫に合わせて自ら腰を振り始め
全身を震わせて嗚咽に近い喘ぎ声を漏らした。

「くふっ・・・あんっ・・・ん、くうぅ・・・んんん・・・あん・・・ああ〜んっ!」
「・・・(本当にいつ以来だろう、こんなに興奮するのは?
若い女を愛撫で悶えさせるのが楽しくて仕方がないよ。
しかも相手が隣の奥さんっていうのが、余計にドキドキさせられる。
だが、いつ旦那さんが戻って来てもおかしくないからな。
そろそろイカせてやろう)」
私はあらためて、中指と薬指を同時挿入して膣穴の奥まで掻き回し
さらに親指でクリトリスをグリグリと刺激した。

「ああ〜っ、凄過ぎる!どうして今夜はこんなに激しいの?
でも、感じる。目隠しのせい?すごく感じちゃうの。
恥ずかし過ぎて声が漏れちゃうほどなのに
お外でこんなに激しい責めを受け続けたら・・・。
だ、ダメっ!壊れちゃいそう!」
女性は髪を振り乱しながら悲鳴に近い喘ぎ声を漏らした。

「・・・(そりゃ、そうさ。この愛撫責めは、私が得意とする
ボーリングで鍛えた指を駆使した特技だからな)」
膝に限らず、全身いたる所で年令に伴う衰えを意識する私だが
ボーリングのおかげで右手の握力だけは衰え知らずだった。

「ああっ・・・こ、こんなに・・・激しいの・・・すごい・・・ああっ・・・もっと。
ん、くっ・・・はぁうん・・・でも、イイ!・・・いいです、もっとっ!・・・もっと。
あっ・・・そこ、そこです!・・・もっと・・・壊れるくらい・・・もっとイジメて!
ん、いやっ・・・だ、ダメ・・・ひっ・・・ああーっ、イク!イッちゃう〜ッ!」
女性は何度も悶えながら絶頂を迎え
両手首を上から吊られていたままグッタリとうなだれた。



4.

「・・・(それにしても最後はすごかったな。こんなに乱れるなんて予想外だよ)」
私はコトが済んでからも、操り人形のように吊られた女性を見つめていた。
切れた息を整えながらも、未だに無防備な姿を晒す女性は
ずっとうつむいたまま黙っていた。
「・・・(さて、どうしたものか)」
私はこれからどうすべきか悩んでいた。
さいわい私の正体には気付かれていないようだったが
だからこそ、このまま自宅の玄関を開けて帰宅する訳にはいかなかった。

「・・・(意識が朦朧としているのか?だったらこのまま会社に戻ってしまえば)」
おそらくそれがベストだったハズなのに
乳房や恥丘をさらけ出した女性の裸を見ているうちに
最後に欲をかいた私は、あらためて彼女に近付くと
両手で乳房を寄せて顔をうずめた。
「・・・(名残惜しいな。こんなチャンスはもう二度とないだろうに)」
だが、これが悪かった。

「えっ、あなた誰なの?」
冷静さを取り戻しつつあった女性は
自分の夫が付けないヘアリキッドの匂いに気付いてしまったのだ。
さっきは愛撫のせいで匂いまでは気が回らなかったのだろう。

「!!(バレたっ)」
私は女性からサッと離れると、後ろを振り返ることなく
黙ったまま一目散に階段を駆け下りた。
「嘘でしょう?待って、どうなってるの?ねえ、あなたは誰なの?」
戸惑う女性が問い掛ける声は聞こえていたが
もちろん私が返事をするハズもなく
そのまま階段を下りると、駅に向かって走り続けた。



5.

翌朝、会社で一晩明かした私は、朝帰りを装って帰宅した。
当然だが、あの女性の姿はすでになかった。
私自身も自分のスマホに彼女の画像が残っていなければ
夢でも見たのかと思ったかも知れない。
そんな稀有(けう)な出来事だった。

しかしその後もしばらくは、私がその夫婦に会うことはなかった。
会社の人手不足は変わらないが、翌週からリモートワークが本格導入され
会社に出勤するのは月・木だけになったからだ。
もちろん業務が減らない以上、朝早くから夜遅くまで働くことには変わりないが
私はほとんど自宅の書斎から出ないで過ごすようになった。

一度だけ妻が外出中に、隣の奥さんが回覧板を持って来たことがある。
目隠しをしていない彼女は、私に回覧板を手渡しながらニッコリ微笑んだ。
日頃からウチの妻にはお世話になっているとお礼を述べ
丁寧にお辞儀をして帰って行った。

「あんなに上品で若い奥さんが
露出プレイ好きの旦那さんに調教されているだもんなぁ。
人は見掛けに寄らないって言うけれど、分からんもんだよなぁ」
私は彼女の後ろ姿を見ながら
両手首を上から吊られていた姿を思い出して苦笑した。
(おわり)





【あとがき】
今回の舞台となった古い団地に似たような建物は
今でも皆さんの近所にあると思います。
長い共用廊下から各住戸に行く『外廊下型』ではなく
隣り合う2戸でひとつの共用階段を利用する『階段室型』は
最上階は行き止まりなので、その階の人しか利用しません。
本作の場合だと、主人公の家族と若夫婦しか行かないという事です。

もし皆さんの近所に古い団地があれば、実際に行ってみて下さい。
屋上(正確には屋根の上)に登るタラップが見つかると思います。
アンテナ設置や防水工事のための昇降路なので
不用意に登れないよう、一番下のタラップでも2m以上の高さに
取り付けられているはずです。
直接、手錠を掛けるには不向きですが
手首に巻いた縄をタラップに結び付けられると
作中にあるように、しゃがむことも出来なくなるのが分かります。

パートナーのいる露出っ子には、作中の奥さんのように
古い団地の最上階で『放置プレイ』を体験して欲しいです。
さらに「目隠しをしたら感度が上がる」という話が本当かどうか
検証してもらえると嬉しいですね。
実行したら、その体験告白をベンジーさんに送って下さい。
きっと快く掲載してくれると思いますよ(笑)
【ベル】