露出小説




   お姉ちゃんのキッス

                              作;ベンジー

第六章 性教育でロストバージン



 悠人は、由衣がもっと抵抗すると思っていた。
 悠人が一番見たいと思っている部分は、由衣が一番見せたくない部分だとわかっていた。だからこそ、足を縛る必要があった。
 由衣の抵抗を封じて、じっくりと観察したい。
 できることなら、その先も……
 ――お姉ちゃんに、何もしちゃいけないんだからね
 繰り返す由衣の言葉も、悠人の中では、片隅に追いやられていた。
 由衣は、今、ベッドに腰掛ける格好で、前屈みになっている。肩を下げて、悠人の視線から、少しでもおっぱいを隠そうとしているのだろう。
(大した意味はないのに)
 悠人は、口元に冷たい笑みを浮かべた。いつまでも消えない由衣の恥じらいが、悠人の嗜虐性を煽っているのだから、皮肉なものだ。
「それじゃお姉ちゃん、こっちに来て」
 悠人はベッドに乗り、由衣の背中に回ると太ももの下に足を入れて持ち上げた。
「あっ」と声を出した由衣だが、それ以上の抵抗はなかった。
 由衣をベッドの真ん中に移動して体育館座りにする。もっとも、両手は後ろ手に縛ってあるので、由衣は膝を抱えることができない。
 由衣が、への字に折った両足に胸を押し付けるようにして、悠人を見上げた。
 悠人は、もう一本のロープをほどく。
 どんな思いで、悠人の手先を見ているのだろうと想像するだけで、股間に血液が熱くなった。
 M字開脚縛りの女の子が印字されたOA用紙を、由衣の足元に置く。
 その紙をちらっと見ただけで、目を背ける由衣。
 無惨にも両足を広げられた姿を、これから自分に強いられると思えば、落ち着いた気持ちで見ることもできないのだろう。
(ものすごく、恥ずかしいんだろうなあ)
 由衣の両足がM字開脚に縛り上げられた時、どんな表情を見せてくれるのか。
 悠人の期待は、膨らむばかりだった。
「お姉ちゃん、右足から……いいかなあ」
 悠人は、遠慮がちな言葉とは裏腹に、強引なやり方で、右足の膝の上にロープを巻き付けた。太ももの間にロープを通す際、由衣が「イヤっ」と小声を出したが、悠人は聞こえないふりをした。
 二つ折りにしたロープを二重に掛け、軽く縄留めをする。
 由衣の身体を右側に傾け、膝に二の腕を押し付けるようにロープを引っ張り、手首の上を通して左足の膝まで持っていく。
 ここに一つ目の難関があった。
 由衣の足を開かせなければならない。右に傾いていた由衣の身体を真っ直ぐに起こし、悠人は、由衣の左足の太ももに手を掛けた。
「ダメっ」
 反射的に、身体を丸める由衣。でもここで、くじけるわけにはいかない。
「足を開いてよ」
 少しだけ、言葉が荒くなった。
 効果があったのか、わからない。次に悠人が、由衣の左足を広げようとした時には、抵抗がなくなっていた。
 由衣の身体が、より前屈みになる。
 弛みが出ないように気を付けながら、悠人は、左足の膝上にロープを巻き付けていく。右足と同じように二巻きすると、軽く縄留めを済ませた。
 これでもう、足を閉じることはできない。
「お姉ちゃん、どう?」
 悠人にしてみれば、素朴な疑問だったのだが、
「お願い。そんなこと聞かないで」
 由衣は、自分の取らされた格好を認めたくないらしい。
 両足は大きく開いているが、由衣の後ろにいる悠人には、女の子の秘密が見えていない。まだ、これからが本番なのだ。
 悠人は、由衣の前に回り込んだ。
 目が合ったのは一瞬だった。由衣は、すぐに「見ないで」と顔を捻った。
 悠人の心臓がバクバクと高鳴っていた。
 由衣の後ろには、十分なスペースがある。後は、仰向けに転がすだけだ。悠人は、身体を近づけた。
「えっ、悠人……えっ?」
 由衣が戸惑いの声を上げる。こうなることは、わかっていたはずだ。
 悠人は、右手で由衣の左膝を持ち上げた。
「あっ、イヤっ! ちょ、ちょっと待って……」
 待つことはできない。悠人は、左手で由衣の頭を庇いつつ、由衣の身体を後ろに倒していく。正面から、由衣の身体にのしかかるような形になり、悠人の硬直した肉塊が、由衣の下腹部に触れた。
「いやぁああああああーー」
 由衣が、とうとう悲鳴をあげた。悠人にも、その理由がわかる気がした。
「ご、ゴメンよ。お姉ちゃん」
 悠人は、慌てて由衣の身体から離れた。
 由衣は、仰向けになっていた。悠人のおちんちんを股間に感じたショックからか、胸を大きく上下させていた。
 それにしても、何という光景だろう。
 由衣の太ももは、思っていた以上に、大きく開いている。その頂点に位置する部分が、惜しげもなく晒されている。
 今まで、見たいと思っていた秘密の花園が、悠人の目の前に広がっていた。
 悠人から見たそれは、まるで桜の花びらだ。淡いピンク色に濡れそぼるヒダが幾重にも取り巻き、無垢な少女の証しを見せつけていた。
 いやらしさなど微塵もない。
 これまで若草のような繊毛の下に、こんなにもきれいな皮肉を隠していたなんて。
 感動に浸る悠人の前で、肉ヒダをヒクヒクと震わせる由衣。
 もちろん意識しているわけはないだろう。
 他人の目に晒すのは初めての体験だ。自分のその部分がどうなっているかなど、由衣にも、わからないに違いない。
「ゆ、悠人……」
 由衣が、悠人の名を呼んだ。
「お姉ちゃん」と答えたものの、悠人には、その先に続く言葉か見つからない。
「見てるのね、悠人。お姉ちゃんのアソコ、見てるのよね」
 由衣は顔を背けたままだ。両目も堅く閉じ合わせていた。
「うん、きれいだよ。とってもきれいだ」
「あーん、やっぱり……」
 由衣の首が、さらに捻られていくようだ。
 内股に力が加わったのか、お尻を中心に腰がもじもじと動く。つま先を内側に向けているようだが、何の効果もない。
「ああー」と息を吐く由衣。白い肌をピンクに染め、肩まで震わせた。
 肉ヒダの滑りも増していくようだ。
 花びらの上端に、わずかに膨らむ突起。ネットの図解でしかみたことはないが、多分、あの下がクリトリスだろう。
 悠人は、包皮を剥がしてみたい衝動に駆られた。
 女の子の一番敏感な肉の芽を舐めたら、どれだけ甘い蜜を出してくれるのか。悠人の嗅覚には、すでに芳醇な香織が届いていた。
 悠人の視線は、さらにその下へと導かれた。
 花びらの中心。
 女の子の羞恥の源泉、その最深部へと続く秘孔から、悠人の目が釘付けになる。
(アソコにおちんちんを入れるのかな)
 そう思った途端に、悠人の肉塊が暴れ出した。
 今まで感じた経験のない欲望が全身に湧き上がり、それらが一気に股間へと集まってきた。皮を被ったままのおちんちんが、内側から膨れあがって、はち切れそうだ。
「お姉ちゃん、ボク……」
 悠人は、身動きのならない由衣に、身体を寄せていった。



 女の子の最も恥ずかしい部分を晒し者にされて、これ以上ないというほどの羞恥地獄に落とされた由衣。
 覚悟はしていたはずなのに、いざ両足を開かされてみると、気も狂わんばかりの恥ずかしさに、意識が遠のく。
 いっそこのまま気を失ってしまいたいと思うほどだ。
 手足の自由は赤い綿ロープに奪われ、わずかに動かせるのは、首から上と足首から先だけ。由衣の羞恥を救う役目は果たさない。
 後どれくらい、こうしていなければならないのかしら。
 由衣を辛くしているのは、悠人に羞恥の源泉を覗き込まれているからばかりではない。
 その部分に甘い痺れを感じていた。
 由衣の意志とは無関係に、身体は悠人を迎え入れようとしていた。その事実を知られてしまうことが、何よりも恥ずかしかった。
「お願い、見ないで」
 その言葉は、すでに手遅れだったのかもしれない。
 悠人の目つきが変わっていた。
 由衣は、恥ずかしさですり減らした神経に、さらなる恐怖を擦り込む。悠人の上体が、身動きのできない由衣にのしかかって来た。
「お姉ちゃん、ボク……」
 いつもの悠人ではない。恐怖が本物になっていく。
「ダメよ、悠人。正気に戻って」
 言葉がどれほど通じるだろう。両手が自由なら、平手を悠人の頬を打っていたかもしれない。それくらい近くまで、接近を許していた。
 今の由衣に、逃げる術はない。何とかしなくてはと、頭の中が空回りする。
 悠人の硬直した肉の凶器が、再び、由衣の股間に届いた。
「ひぃいいいーー。ダメよ、悠人。他に! そう。他にすることがあるでしょ」
 由衣は必死だった。
 由衣と悠人は血を分けた姉弟。このまま結ばれて良いわけがない。悠人を説得する言葉はないかと必死で考えた。
「そうだ、写真よ。悠人、写真を撮るって言ってたでしょ。デジカメまで用意していたじゃない。姉ちゃんのアソコ、撮るんでしょ」
 言い終わった後で、由衣のほうが顔を熱くした。
 それがどういう結果を招くか。すぐに思い付いてしまう自分が恨めしい。最悪の事態を避けるためには、他に方法がなかった。
 悠人の接近が止まり、目と目が合った。
「ねっ」と首を傾げ、甘えるような目遣いで悠人を見る。気持ちが通じて欲しいと、心から祈った。
「うん。じゃあ、こっちはまた後で」
 悠人がベッドから飛び降りた。
 とりあえず、危機を脱したようだが、
(後でって、どういうこと?)
 それでは何にもならないじゃないと、首を上げて悠人を追いかける。
 悠人は、デジカメを拾い上げると、すぐに戻った来た。「撮るよ」と声を出した時には、ストロボが瞬いていた。
 悠人が、由衣の股間でシャッターを押したのだ。
(ああー、撮られた)
 いつかのヌードスナップとは、ぜんぜん違う感覚だった。
 ポーズを取ることもできない不自由な姿態を、女の子が最も隠しておきたい身体の秘部を、余すところなく、悠人のデジカメに収められているのだ。
 恐らく、肛門まで晒しているのだろう。
 ストロボの瞬きは続いていた。一度光る度に、由衣の心臓が締め付けられる。羞恥は、ますます募るばかりだ。
(何枚、撮るつもりなのかしら)
 ファインダー越しに秘苑を覗かれる感覚が、こんなにも刺激的で恥ずかしいものだとは、思ってもみなかった。
「もういいでしょ。ロープをほどいてよ」
 由衣は、思わず口に出していた。
 悠人は返事をしない。デジカメの液晶パネルに目を向けていた。今撮ったばかりの画像を再生させているのだろう。
 どんなふうに写っているのか、想像するのも恐ろしかったのだが、
「ほら、良く撮れてるよ」
 悠人は、M字開脚縛りにされた由衣の画像を、目の前に持って来た。
 突然のことだった。
 目を閉じる間もなく、視界に飛び込んで来る画像。由衣の脳裏に、無修正のおぞましい光景が、しっかりと刻み込まれた。
「イヤっ、もう。そんな写真、見せないでよ」
 悠人は、訳がわからないという様子だ。
「そんなって、お姉ちゃんの写真だよ」
「だからなのよ。自分のそんな姿、見たくないの」
 悠人には、女の子の気持ちなんかわからないのだろう。後でこっそり、一人の部屋で見るのならアリなのだが。
「ふーん、それじゃ、鏡ならいいの」
 悠人が、由衣の姿見をベッドの脇に持って来た。
「それもダメっ!」
 赤い綿ロープに縛られた裸身が大写しになり、由衣は焦った。悠人は、わざとやっているのかしらと、そんな気さえしてくる。
「お願い。もうほどいて」
 泣き声に近くなっていた。
「ダメだよ。まだ……」
 悠人が口ごもる。「まだ」何だと言うつもりなのだろう。由衣は、また、身の危険を感じ始めた。
「せっかくだから、女の子のここ、教えてよ」
 悠人が、由衣の股間を指さしている。
 由衣の秘所を見本に、性教育をして欲しいというのか。「教えてくれなきゃ、ほどいてあげないよ」と、駄々っ子のように口を尖らせた。
「約束だからね。何が訊きたいの?」
 由衣は、もう、そうするしかないと思った。
「うん、わかった。こっちが肛門でしょ。お姉ちゃんもウンチするんだね」
 悪気はないのだろうが、言われた側の由衣は、羞恥の傷口をえぐられる思いだ。
「ねえ、おしっこはどこからするの?」
 悠人の声が弾んでいた。実物を見ながらの講義が、余程、嬉しいらしい。由衣の顔と股間を交互に見比べている。
「にょ……尿道口よ」
 由衣は、口に出すのも憚られた。
 クラスの男子が相手だったら、決して口に出来ない単語なのだ。弟に性教育をする姉という立場だからこそ言えるのだが、
「それじゃ、わからないよ。どの辺か言ってくれなきゃ」
 小陰唇の内側で、陰核と膣の間にいる小さな穴。
 言葉で説明したところで、伝わるとも思えない。だいいち、悠人が相手でも口にできない単語ばかりだ。
「そんなこと言ったって……ああ、もう。何て言えばいいのよ」
 由衣は、どうしたら良いのか、わからなかった。
「それじゃあ、クリトリスは?」
 悠人の質問が、より露骨になっていく。図鑑でも見ているような気分なのか、遠慮も躊躇もない。純粋に素朴な疑問だけに始末が悪かった。
「あーん、言えないよ、そんな……」
 由衣は、泣きつくしかなかった。
「言ってよ。ここにはボクとお姉ちゃんしかいないんだ。恥ずかしがることはないよ」
 どうしても言わないと、ならないらしい。悠人が隠語フェチだとは思いたくないが、由衣は絞り出すように言葉を発した。
「ア、アソコの上のほうに、尖った肉の……膨らみがあるでしょ。クリ……は、その中に隠れているの」
 精一杯の説明だった。
 悠人の視線が、由衣のクリトリスを探して、秘部を舐め回している。大股開きの由衣は、為すがまま。むしろ、その位置を教えてさえいた。
「もう、これで勘弁して」と、喉まで出かかった、ちょうどその瞬間だった。
「わかった。これがクリトリスだね」
 悠人の指先が、尖った肉の膨らみ――クリトリスの包皮を摘んだ。
「はひぃいいいいいいいいいーーーー」
 由衣の悲鳴が、全身を駆け抜ける。背筋に走った緊張が、ビクビクと上体を痙攣させ、口の中で泡になる。
 悠人が、手を引っ込めた。
「お姉ちゃん、どうしたの? お姉ちゃん」
 耳には届いていたが、反応はできない。由衣はまだ、頭の半分が真っ白な闇に包まれていた。
「お姉ちゃん!」
 幾度目かの呼びかけに、ようやく由衣は覚醒した。
「何もしちゃいけないって、あれほど言ったのに……」
 息も絶え絶えだった。
 秘孔の奥からは、お漏らしのように、熱い滾りがこぼれていく。
「お姉ちゃんのここ、てかてかに光っているよ」
 悠人の素直な感想なのだろうが、由衣を辱める言葉だとは気づいていないようだ。
「い、言わないで」
「でも、なんかいい匂いだ。ボクがクリトリスに触ったから、こんなになったんだね」
「あーん、もう。そんなことまで……」
 由衣は、今日の講義を終わりにしたかったのだが、
「女の子って、クリトリスが一番感じるってホント?」
 新しいオモチャを見つけた子供の、好奇心は尽きないらしい。悠人の目が、ギラギラと輝いていた。
「知らない。お姉ちゃんは、もう、知らないんだから」
「教えてくれないと、ここの皮、剥いちゃうよ」
 包皮を剥いて、クリトリスを丸出しにしようと言うのか。ついさっき泡を噴いたばかりの由衣だ。恐怖が頬に貼り付いた。
「ダメよ。ダメ。そんなことしたら、絶対ダメなんだからね」
 由衣は、首を横に振り続けた。
「だったら教えてよ。ここが一番感じるんでしょ」
「そ、そうよ。女の子の一番敏感なところなの。だから、そっと扱わなければいけないのよ。ああ、もう許して……」
「ふーん」と頷く悠人。納得してくれたと思ったのだが、
「でも、オナニーの時は、自分で弄ぶんだよね」
 火照っていた頬の熱さが、顔中に広がる。まるで沸騰したヤカンのようだ。
「ばかっ。女の子に、そんなこと聞かないの」
 由衣は、心のどこかで怖れていた。
 忘れようとしていた。
 悠人に包皮を摘まれる前から、クリトリスが指先の刺激を求めて止まなかった。両手を縛られていなかったら、とっくの昔に嬲りだしていたかもしれない。
 悠人に見られながら、オナニーなんて絶対にできない。
 だから、意識の奥に押し込めていた。悠人の一言で表面に出て来てしまった欲求は、抑えようもない。股間の疼きが暴走を始め、全身に広がって由衣を苦しめた。
(オナニーがしたい!)
 つい先日、オナニーに狂った一夜があった。こんなことではいけないと、恥を忍んで瑞穂にも相談した。
 今、由衣の身体から湧き上がる欲求は、あの時よりも確実に激しい。
「悠人、助けて。お姉ちゃん、もう、気が変になりそうなの」
 由衣は、視線を宙にさまよわせながら、声を絞った。「オナニーがしたいから、ローブをほどいて」と、告げるわけにはいかない。
 悠人に、微妙な心理が伝わるべくもなかった。それどころか、
「お姉ちゃん、感じてるの?」
(ばれちゃった! どうしよう……)
 由衣は口を結んだ。何かを言えば、ウソになってしまいそうだ。
「やっぱり感じているんだ。ボクにクリトリスを摘まれたからだね。下の穴がヌレヌレになっているよ。こっちが……何て言うんだっけ?」
 悠人の興味が、いよいよ最後の砦に向けられた。
 砦と言っても、全くの無防備だった。両足をMの字に広げた姿は、むしろ招き入れているようにも見えるだろう。
 事実、その通りなのかもしれない。
「ねえ、お姉ちゃんってばあ」
 悠人が催促する。由衣に、その部分の名称を言わせようというのか。
「言えないよ、悠人。勘弁して」
「どうしても?」
「ゴメンね。どうしてもソコだけは……」
 悠人の目線が動かない。由衣の羞恥の源泉を、瞬きもせずに観察しているのだろう。恥ずかしさには上限がないのだと、由衣は思い知らされた。
「じゃいいや。何に使うかだけ教えて」
 悠人は、事も無げに言ってのけた。「膣」という単語を口にするより、何倍も辛い仕打ちだと言うのに。
「悠人だって、わかっているんでしょ」
 そうでなければ聞いて来ないはずだと、由衣は思った。
「何となくは……でも、お姉ちゃんの口から聞きたいんだ」
「もう、それでいいじゃない」
 由衣が恥ずかしがるから、悠人は余計、言わせようとしているのか。
「お願いだよ。これで最後にするからさあ」
 悠人の声には、凄みが出ていた。恥ずかしい言葉を口にしなければ、また、クリトリスを摘むと脅すつもりなのか。
 今の由衣は、何をされても抵抗できない。
「ホントに最後だよ」
 由衣は、決意するしかなかった。
「教えてくれるの? 嬉しいなあ」
 無邪気に喜ぶ様は、幼かった弟の頃そのままだ。由衣は、これも姉の努めなのだと、自分に言い聞かせた。
「そこは、ち、膣と言って、子宮に繋がっているの。セッ……セックスの時に、男の子を受け入れる場所なの」
 由衣は目を閉じ、喉から絞り出すように告げた。
「男の子って、おちんちんのこと?」
 ベッドが揺れた。由衣が目を開くと、悠人が立て膝になっていた。悠人の股間には、いきり立った肉塊が凶悪な面構え見せ、今にも食いついて来そうだった。
「ひゃあっ」
 由衣は、小さな悲鳴をあげ、顔を背けたが、
「そ、そうよ。おち……んを入れるの。ああ、もういいでしょう」
 目を閉じても、悠人の分身が脳裏から離れない。
 一刻も早くロープをほどいて欲しかった。取り返しの付かないことになる前に、自由の身になりたかった。
 一人になって自分を慰めたかった……

 気が付くと、時間が止まってように静かだった。



 悠人は、怖くなった。
 とにかく、うまく行き過ぎている。由衣が、こんなにも簡単に縛らせてくれたり、性教育に付き合ってくれたり……
 途中で何度、言い過ぎたと思ったか知れない。
 由衣がマジで怒り出すのではないか、二度と口を利いてくれなくなるのではないかと、ヒヤヒヤしていた。
 でも、由衣はちゃんと応えてくれた。
 丸裸のまま足を開かされて、どんなに恥ずかしかったことか。それでも、弟のわがままを聞き入れてくれた。
(お姉ちゃんは、何でも言うことを聞いてくれるんだ)
 悠人は、段々とその気になっていった。
 クリトリスを覆う皮に触れた時、由衣は今までにない反応を見せた。
 女の子の中心が匂い立ち、秘密の園が滑りを帯びていく。由衣は感じているのだ。
 恥ずかしい姿に縛り上げられ、最も恥ずかしい部分を視姦され、敏感な肉の芽をいじられて、女の本性を現し始めている。
 由衣は、苦しそうだった。
 縛られているから。
 悠人にハダカを見られているから。
 どれも間違いないだろう。でも、もしかしたら……
 ――おち……んを入れるの
 由衣の言葉に、悠人の身体が硬直した。
 他には何も聞こえない。
 この部分だけが、悠人の耳元で何度も繰り返された。
 硬直したのは、股間にいきり立った肉塊だけではない。全身が由衣の一点に向かって進もうとしていた。
(お姉ちゃんとセックスしたい)
 悠人は、それを今、はっきりと意識した。
「お姉ちゃん、ボク……」
 その後は、言葉にできなくても、由衣には十分に伝わっていたようだ。恐ろしい物を見るような目で、悠人を見ていた。
「ダメよ、悠人。わかっているでしょ」
 今まで何度も聞いて来たセリフだが、悠人は、今になってようやく、その意味に気づいた。姉弟が男女になってはならないと、それが言いたかったのだ。
 由衣とのセックスを、まるで考えなかったと言えばウソになる。
 でも、悠人の場合、あまり現実的なものとは捉えていなかった。ハダカで抱きあって寝たとしても、ただ、それだけのこと過ぎない……はずだった。
 由衣のほうが、ずっと前から意識していた。
 警戒していた。
 それなのに、M字開脚縛りまで許し、無防備な姿態をさらけ出してくれた。
 ヌレヌレになった秘孔。匂い立つ花園。無防備な手足。本当は、由衣もそれを望んでいるのではないか。
「何でだよ。どうしてダメなんだよ」
「だって、私たちは……」
「姉弟だから? でも、お姉ちゃんだって、そうしたいと思っているんでしょ」
 返事はなかった。
 口とは裏腹に、悠人を誘う桜色の肉ヒダ。蛍光灯の明かりの下で、何一つ覆い隠そうとせず、その時が来るのを待ち焦がれているようだ。
 悠人のおちんちんは、包皮からパンパンに張り詰めた亀頭を覗かせていた。
 もう、待ったの利かない上体だった。
 悠人は、由衣の股の間に身体を寄せると、右手を肉塊に添え、由衣の秘肉にあてがった。
「だっ、ダメよ、悠人。そこまでにして」
 由衣が不自由な身体を揺する。気持ちはわかるが、ここまで縛られていたのでは、大した抵抗にはならない。
 亀頭に、肉ヒダの滑りを感じた。悠人の心臓は、破裂しそうだった。
「ひゃあぅ」
 由衣の悲鳴にも、力がなくっていた。
「ダメなのにぃ……」
 由衣は、自由の利く足先を少しだけバタバタさせて見せたが、それも間もなく治まった。
 悠人は、秘肉に擦りつける肉塊に、力を込めていく。
「あっ、ダメ。そのまま入れたら」
 OKとも取れる、由衣の言葉だった。
 悠人にもわかっていた。このままでは、お互いに痛い思いをする。女の子の発する蜜で、亀頭を潤わさなければならない。
 秘孔の入り口に擦りつけている内に、ビチャビチャと音を立て始めた。
 こんなにもなるものかと、悠人は驚いた。でもそれは、進行OKの青信号でもあった。悠人は胸の高鳴りを抑え、由衣に顔を向けた。
「もう大丈夫だよね。入れるよ、お姉ちゃん」
「ダメって、言ってるのにぃ」
 由衣の抵抗も、甘え声になっていた。
 悠人は腰を前に押し出した。「イヤっ!」と口にする由衣だが、言葉通りの意味を持っていたのかどうか。
「悠人、お願い。やさしく……あうっ」
 まだ、包皮の半分も埋っていない。フェラチオとか違う粘膜の感触に、悠人はためらう。ここまで来て、初めての体験に怖さを覚えたのだ。
「ああーん、悠人……」
 怖じ気づいた腰を、由衣の喘ぎが引き戻す。鼻に掛かった甘い吐息は、ついさっきまでと全く別の物になっていた。
 悠人は、再び奮い立った肉塊を、秘苑の奥へと押し込んでいく。
「うっ、ううう……」
 由衣が息を詰まらせた。
 周囲を粘膜で覆った肉穴を、悠人の怒張がこじ開けていく。真っ暗な洞窟を進むように、怖々と、手探りの歩を進める。
 悠人の分身は、秘苑の変化を感じ取っていた。
「お姉ちゃんの中……熱くなってる」
「ダメっ。言わないで」
 そうしている間にも、肉穴の温度は、ますます上がっていくようだ。あふれ出す蜜の量も増えて来た。
(入っていく。お姉ちゃんのオマンコに、おちんちんを入れたんだ)
 悠人が感激したのもつかの間だった。
 受入の準備はできていると思ったのだが、由衣の秘孔は、カリの部分まで飲み込んだところで、それ以上の侵入を拒んだ。
 熱くなった肉穴の先で、堅い扉に出くわしたようだ。
「はぁあひぃ……」
 由衣は、奥歯を噛みしめるように、口を横に引っ張っている。
「お姉ちゃん、痛いの?」
 悠人は、少しだけ腰を引いた。
「ううん、まだ……で、でも、怖いよ」
 由衣は、涙目を開いて、悠人を見つめた。「もうやめて」とも「いいのよ」とも言っているように思えた。
「ボクも怖い」
 悠人が、正直な思いを告げた。一拍の間をおいて、由衣が口元に笑みを浮かべた。
「一緒だね」
 頬を真っ赤に染めた由衣に、拒絶の色はなかった。むしろ、やさしく迎え入れてくれようとしていた。悠人を、堅い扉を叩く気にさせてくれた。
 肉塊が肉穴を進む。
 行く手を阻む隘路を、悠人は決意を持って押し進めた。



 由衣は、自分の置かれた状況が信じられなかった。
 全裸の身にロープを掛けられ、両手両足の自由を奪われるという屈辱を許せたのも、相手が血を分けた弟だったからだ。
 思春期の男の子が、女の子の身体に興味を持つのは仕方がない。
 姉である由衣が、きちんと教えてやらなければならないのだと、自分自身に言い聞かせて来た。肌を晒す恥ずかしさに耐え、フェラチオの奉仕もした。
 クラスの男の子だったら、考えられないことだ。
 悠人も、わかっていると思っていた。
 危険は感じていた。
 悠人のいきり立った肉塊は、今にも食いついて来そうで怖かった。
 それでも尚、由衣は、まさかと思っていた。悠人が最後の一線を越えようとする願いは、現実味のあるものと考えられなかった。
 悠人は、今、由衣の股間に腰を押し付けている。
 直立した悠人のシンボルで、由衣の秘密が暴かれようとしている。それはもう避けることのできない事実として、由衣の目の前に迫っていた。
 こんな格好になってしまったのが、いけなかったのか。
 両足を大きく広げたままの裸身。女の子のすべてをさらけ出し、身動きもならない囚われの身。悠人が望めば、何をされても抵抗ができない。
 由比自身、セックスに興味がなかったわけではない。
 悠人とお風呂に入るのは、恥ずかしくてもイヤではなかった。悠人の部屋にあったM字開脚縛りの女の子は、由衣に何かを訴えていた。
(あんなふうにされたら、どうなるのかしら?)
 その答が、ここにあった。
 おちんちんの先端が、由衣の秘肉に埋め込まれている。
 処女膜を、まさに今、破ろうとしていた。
「お姉ちゃん、きついよ」
 悠人も気づいたらしい。「ここまでにして」と言うなら、今だった。
 まだ、最後までしていない。
 今ならまだ、姉と弟に戻れる。
 由衣にとっても、身を斬られるような英断ではあったが、一線を越えてしまうのは怖かった。悠人とは、いつまでも姉と弟でいたかった。
「悠人、もう……」終わりにしようと、言い出した言葉が喉で支えた。
 悠人が、泣き顔になっていた。
「入らない。これ以上、入らないよ」
 怒張は保っているものの、やはりまだ怖さが残っているのだろう。初めての体験なのは、由衣ばかりではなかった。
「どうしたの?」
 由衣には、そんな悠人もかわいかった。
「だって、こんなにきついのに……お姉ちゃんだって、痛いんだろう?」
 悠人が進めなくなったのは、由衣を気遣ってのことなのか。
 悠人なりに、破瓜の知識はあったのだろう。自分が、処女喪失の痛みを与えてしまうことを、この場になって怖くなるなんて。
「そうよ。とっても痛いことなの」
 両手が自由なら、由衣は悠人の頭を撫でていただろう。
「お姉ちゃん……」
「だから、やさしくしてね」
 由衣は、精一杯の微笑みを悠人の向けた。
 見る見るうちに顔をほころばす悠人。秘孔に入り口で停滞していた肉の塊が膨れ上がり、一回り大きく、逞しくなったような気がした。
「うん!」
 今日、一番の笑顔だったかもしれない。由衣は、後悔の文字を胸の奥に押し込めた。
(これでいいの。悠人がこんなに喜んでいるんだもの)
 由衣の決意は、すぐに激痛とすり替わった。
「あぐぅっ」
 肉を裂いて押し込まれる感覚は、これまでに感じたことのない痛みだ。奥歯を噛みしめる力が強くなる。
(こんなに痛いなんて……)
 話に聞いていた以上だ。
 悠人に経験がないせいもあるのだろう。やさしくなんて、できるわけがない。由衣の承諾も得て、元気いっぱいの肉塊を、根本まで押し込むことで必死なのだ。
(ダメよ、痛がっては。悠人が気にするじゃない)
 由衣は耐えた。
 この痛みが、きっと二人を幸せにしてくれるのだと、自分に言い聞かせて。
 肉塊の侵略は続いていた。
「入っていく。おちんちんが、お姉ちゃんの中に……入っていってる」
 悠人は、興奮していた。
 男女が初めて結ばれる感動的にシーンとは、かなり違うものになっていただろう。ビジュアル的には、むしろレイプだ。
 由衣は、痛みを噛みしめた。
「お願い、悠人。そ、そっと……ねっ。お願い……」
「お姉ちゃん、もう少し、もう少しだよ」
 ジーンとした痛みが、深く身体に下りていく。すっかり興奮してしまった悠人には、もはや由衣の苦しみを気遣う余裕もなくなっているのだろう。
 まもなく、悠人の分身は肉穴の最深部に達した。
 恥毛同士が押し付けられ、悠人の動きが止まった。破瓜の痛みは治まらない。由衣の歯茎には、未だ、かなりの圧力が掛かっていた。
「全部、入ったよ」
 悠人が、勝ち誇ったように見下ろす。
 着衣も、手足の自由も奪われ、今またバージンまで奪われた。ある意味、悠人は完璧な征服者だった。
「お姉ちゃんに、包まれているみたいだ」
 悠人は、心の底から嬉しそうな笑みを浮かべた。
 肉穴の奥まで潤した粘液が、悠人の肉塊を由衣の身体に馴染ませる。激しかった痛みが、少しずつ引いていく。引いた分だけ、喜びに変化していく。
「ああ、悠人。私たち、一つになっちゃったのね」
「そうだよ。お姉ちゃんはボクの物だ」
 悠人のモノ……
 そうだ。自分は悠人のモノになったのだ。
 感動が、破瓜の痛みを上回った。
 もう何も考えまい。私は悠人のモノ。それでいいじゃないか。
「悠人。お姉ちゃんを大事にしてね」
 自分でも、何を言っているのか、わからなくなっていた。今はただ、悠人と繋がっているという事実に、酔っていたかった。
 重なり合った肉体は、お互いに、じっと動かない。
 肉の交わりは、一体感そのものだった。
 由衣のオマンコは、悠人のおちんちんで埋め尽くされていた。肉塊の内部で脈打つ音まで伝わってくるようだ。
 いや、それ以上かもしれない。由衣は、血管同士が繋がり合い、二人の身体の中を、同じ血液が流れているような錯覚に陥っていた。
 悠人の身体にとけ込み、融合して別の命に生まれ変わる、そんな感覚だった。
「お姉ちゃん……」
 沈黙を破ったのは、悠人だった。
「どうしたの? 悠人」
 由衣は、姉の微笑みで応えた。
 言いたいことはわかっていた。男の子は、これで満足できないことも。
「動いても、いいかなあ」
 悠人の照れくさそうな表情が、かわいかった。
「いいわよ。お姉ちゃんは、もう悠人のモノなんだから、好きにして」
 由衣の本心だった。
 まだ痛みは残っている。動かれたら、きっとまた痛みが増すと思う。それでも、悠人の好きにさせてやりたかった。
 悠人は、まだ、満足していない。由衣は、勤めを果たしていないのだ。
 肉塊が、滑りの中を動き出す。
 ゆっくりと、周りの粘膜に自らを押し付けるように、肉穴の中を行き来する。ようやく治まっていた痛みがぶり返した。
「あひぃいいいっ……」
 さっきのような、肉を裂かれるような痛みではなくなっていた。ズキズキと鈍く疼くように続いてはいたが、耐えられないというほどでもない。
 痛みとは違う感覚も混ざっていた。
「いいよ、お姉ちゃん。すごくいい」
 大して動いていないと言うのに、悠人のほうが、先に盛り上がっているようだ。腰を前後する動きも、速くなって来た。
「お姉ちゃんのここ、最高だよ」
 無意識の賛美が、由衣を辱める。
「ああ、ダメっ。そんなこと、言わないの」
「だって、こんなに気持ちいいの、初めてだ」
 悠人の突き上げが一段と激しくなった。額から汗を落とし、腰を大きく叩きつける。その数の分だけ、由衣は、子宮を突き上げられる。
「ふぁあーん、いやっ、あぅ、ああーん」
 痛みよりも、もう一つの感覚が勝り出した。由衣の中で、何かが変わっていく。オナニーでは感じ得ない新しい刺激が、女の子の秘苑に沁みていく。
「悠人、ダメっ。お、お姉ちゃん、変なの」
 悠人の腰が止まらない。音を立てて突き上げる度に、汗と愛液が混ざり合ってシーツの上に飛び散った。
 初めてのセックスなのだ。この気持ちが何なのか、はっきりとはわからない。わからないから「変」と表現するしかなかった。
「ああーん、あん、あん、おかしくなっちゃうう……」
 刺激がますます大きくなっていく。
(これが快感なんだ。私、恥ずかしいくらい、感じているんだ)
 由衣は、不自由な肩を揺すった。
 後ろ手のロープがなければ、悠人に抱きついていたところだろう。何もできずに、ひたすら突きまくられる感覚が、由衣の被虐性を刺激した。
「ダメぇえええ。こんなの……、ああ、ああああ、ああああああああーー」
 由衣の喘ぎが、お腹のそこから絞り出された。
「お姉ちゃん、いいの? 感じているの?」
「ち、違う。そんなこと……ああ、いっ、ひぃいいいいいいーー」
 途中から、言葉にならなくなっていた。
「いいんだね、お姉ちゃん。ボクも、もう少しで……」
 これがセックスと呼べるのか。
 愛の囁きも、甘い口づけも、おっぱいへの愛撫もない。悠人はただ、腰のモノを突き上げるだけ。由衣は無抵抗のまま、受け入れるだけ。
 それでも、二人の性感は、確実に充たされ始めていた。
「あぁああああーー。悠人、ダメっ。も、もう、お姉ちゃん、ダメ……かも」
 由衣の中で、湧き上がる感覚が、限界に迫っていることを知らせていた。
 未知の世界へと飛び込んでいく。自分がどうなってしまうのか、怖かった。意識が飛んでしまいそうだった。
「ボク……ボクもだよ。で、出ちゃう」
 悠人は、由衣の肩の上に両手を着き、前に倒した上体を支えていた。顔中が汗にまみれて、クシャクシャになっていた。
 いつの間にか、こんなにも近づいていたなんて。
 上気した顔面に、苦しそうな気配を窺わせながらも、肉穴を出し入れする腰の動きは、止めようとしない。
「悠人もなの」
 由衣の快感が何倍にも膨れあがった。悠人が、今の自分と同じ気持ちを共有している、それがわかって嬉しかった。
 身体だけではなく、心まで繋がった。いや、悠人の征服されたのだと。
「あひぃいいいいいいーー。うううっ、あん、イヤっ。ああああーー、あーん、あっ、ああああ、ダメぇええ。もうダメっ。ダメになっちゃううう」
 由衣が興奮して喘げば喘ぐほど、悠人の分身が凶暴さを剥き出しにしていく。いつ暴発しても、おかしくないのだろう。悠人の表情が、それを物語っていた。
「ううっ、お姉ちゃん、ボク……お姉ちゃん」
「あああ、悠人。悠人。ああっ、ああああああああーー」
 もはや、人間の言葉ではなくなっていた。ひたすら性欲だけを貪る獣。由衣は、自分たちの姿を、ふと、そんなふうに感じたが、長くは続かなかった。
 視界から景色が消え去る。
 全身の感覚が、意識が、一方向に向かって収束していく。
(これがイク? イクってことなんだ)
 由衣の中で、女の本能が目覚めていく。
 時を同じくして、悠人の腰使いが、一際、大きく変化した。全身を使って、結合部分を起点として由衣を責めあげる。
 肉塊も、肉穴も、汗と愛液にまみれた。
「あーん、ダメっ、そんなっ、あっ、あっ、イクっ、ああああああああーー。はふぅん。ああ、ああああ……ダメぇえええーー、イクっ、イッちゃう。イッちゃうよおーー」
 肉穴の奥深く、放出された熱い滾りにとどめを刺された。
 脱力した悠人が、覆い被さる。
 由衣の意識は、真っ白な闇に包まれた。
(つづく)



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