露出小説ヒーローごっこ 作;ベンジー 第4話 磔にされるって 朱音がカナにあげたイラストを持ち出し、発した言葉。 それは、核心を突いていた。 ――「お姉ちゃんは、こんな風にされたいんだよ」 全裸大の字磔にされた少女のイラスト、それこそが朱音の《全裸磔》だ。《ぜんらはりつけ》が《全裸磔》と理解して以来、朱音がずっと求めて来た姿だ。 決して他人には言えない、知られてはならない真実を、カナに言い当てられたのだ。 三人でイラストを囲んでいた男の子たちは、今、何を考えているのか。 それにしても、この胸の高鳴りは何だろう。 心の奥底を暴露してしまったからか。そこから導かれる不安、あるいは絶望。 それとも……期待? 「なんだぁ。それでこれ、二つあったのか」 男の子の一人が、足枷を指して言った。どういう納得の仕方をしたのかわからないが、いずれにしても、次の行動を理解したことに間違いない。 「それじゃあ、こうするんだね」 男の子たち二人が、足枷に捉えられた朱音の足首を左右に引っ張り出した。イラストの少女のように、両足を広げてバックネットに固定するつもりなのだ。 「イヤっ、止めて」と口から出そうになる。 だが、言葉にはならない。言ってしまったら、カナがウソ吐きになってしまうから。 いや、それも言い訳かもしれない。男の子たちに任せておけば、朱音が求めて来た理想の全裸磔が完成するのだから。 それでも、無防備な内股を開くのは、女の子にとって辛いことに変わりはない。太股の筋肉が抵抗する。開かれまいと内側に力を籠める。が、たいした効力も発揮することなく、両方の踵が離れて行く。 朱音が本気で抵抗していたとしても、男の子二人の力には敵わなかったかもしれない。それ以前に、本気で抵抗する気が有ったのかどうか。 朱音自身にもわからなくなっていた。 「ああ……」 意味もなく漏れる息。迷いの結果は無抵抗となって現れた。 「よし。こんなもんかな」 男の子たちが南京錠を取り出した。 金属音が重なる。両方の足枷が、ほぼ同時に掛けられた。朱音の両足は、もうバックネットに固定されて動かない。 夢にまで見た全裸大の字磔の完成だった。 (これで良かったんだよね、お兄ちゃん) 朱音の視線は、遥か遠くを見つめていた。 限界まで開かれた股間を下から覗かれる形となった。女の子の羞恥の源泉に男の子たちの視線が集まっているのだろう。閉じ合わせることも叶わないその部位に異常な熱さを覚える朱音だった。 「こんな風にされたかったのなら、最初から言えば良いのに」 脚立の天板に上がっていた男の子が囁く。その言葉は、朱音のすべてを見透かしているようだった。 「やっぱり君は、イジワルだわ」 天然なのかもしれないが、朱音を羞恥地獄に堕とすポイントを確実に貫いていた。 手足をバックネットに繋がれ、完全な無防備状態にされたせいだろうか、男の子が急に大人びて見えた。小学生の筈が同級生にも思えた。その分、朱音の羞恥心を、ますます募らせることとなった。 下から見上げていた男の子たちも、 「こいつ、変態だったんだ」 「変態だから、手枷とか南京錠とか持ってたんだな」 無邪気なだけのイジメっ子たちは、朱音が思っているよりずっと耳年増だったようだ。少なくとも変態≠フ意味は正確に理解していた。 「変態じゃなかったら、女が自分からハダカにならないよな」 「おっばい揉まれたいんだろ」 「そうだ。ボク、おっぱい揉みたい」 天板の上の男の子も加わる。朱音の変態が確定した。 「バカっ……」 否定もできない朱音の、せめてもの抵抗だった。 「そんなこと言って良いのか。『ヒーローごっこ』は、これからが本番なんだぞ」 男の子の笑みに凶悪なものを感じた。 後悔に似た感情が沸き上がるが、今更どうにもならない。朱音の手足はバックネットに固定され動かない。一片の布も身に着けない素っ裸の朱音に、男の子たちは何でも好きなことができる。 「何をするつもりなの?」と、頭に浮かんだ言葉を飲み込む。着衣のまま磔にされた時のように、男の子たちを挑発する余裕はない。むしろ、「もう良いでしょ。これで終わりにして」と口から飛び出しそうだった。 「まずはこれからだ」 天板から飛び降りた男の子は、ビニール紐を入れて来た紙袋まで走って行くと、中から水鉄砲を取り出した。それを見た残りの二人も同じ行動に出る。 朱音の足元まで戻って来ると、 「お姫様を銃殺だ」 「処刑だ、処刑だ。覚悟しろ」 などと口走りながら、水鉄砲の一斉射撃が始まった。 水鉄砲の攻撃は、たいして痛くもない。こそばゆいと言った方が良いだろう。一瞬「冷たい」と感じはするものの、この季節なら辛いものではなかった。 ただ、素肌にイタズラをされているような感触と、全く避けることができない我が身に、惨めさを否定できない。特に顔に掛けられても拭うことができなかったりすると、磔にされていると言う実感が湧いた。 「おっばいを狙え」 「ボクは、おヘソを撃ってやる」 「ならオレは、お股だ」 男の子たちは大はしゃぎで水鉄砲を打ちまくる。その様子を見ていると、子供の頃、お兄ちゃんたちにイジメられた日々が思い出された。昔も、よく水鉄砲で撃たれたものだ。その時は服が濡れるのがイヤだったが、今はその憂いもない。 水礫が上手くおっぱいに当たった時や、お股の奥に直撃した時には、少しおかしな気持ちにもなった。散発なのが、むしろもどかしくもあった。 「ちぇっ、もう終わりかよ」 どうやら弾切れらしい。悔しそうに水鉄砲を睨みつけていた。 取り敢えず、顔だけでも拭いて欲しい朱音だったが、それを言える空気ではない。男の子たちも、これで満足したとは思えなかった。 「どうだ。思い知ったか」 どこで覚えたのか、大人っぽいセリフで仁王立ちになる男の子。 子供なのだと思った。 水遊びを喜んでいる姿は子供そのもの。女子高生をハダカにしてイタズラするようなイジメっ子のイメージはない。無抵抗のまま水浸しになりながらも、口元に笑みが戻る朱音だった。 「あら、もう終わりなの?」 ほんの数分前なら考えられないセリフが、朱音の口からこぼれていた。 「なんだと!」 男の子が怖い顔を作って見せるが、全然怖くない。 考えてみれば、男の子たちは、ハダカになった朱音の身体に触れようとしない。「おっばい揉みたい」と言っていた男の子も、水鉄砲に夢中だった。 全裸大の字姿が恥ずかしいことに変わりはないが、 「これで終わりなのかって聞いてるの。お姫様を磔にしてイジメるのが『ヒーローごっこ』じゃなかったの? あなたたち、やっぱヘタレなんだ」 朱音の口は、一度は飲み込んだセリフを吐き出していた。 「お前だって、さっきまで半べそ掻いていたくせに」 予想外の反撃だが、負けてはいられない。 「お姉ちゃんはハダカなのよ。手足を南京錠で繋がれて何の抵抗もできないの。そんなお姉ちゃんを、あなたたちは、遠くから水鉄砲で撃つことしかできないの?」 言い過ぎかもしれないと思ったが、止まらなかった。案外、男の子たちの事情をクリティカルヒットしていたのではないだろうか。 「おっぱい揉んでも良いのかよ」 それっぽい手つきをして見せる男の子。男は皆、おっぱい星人なのだと誰かが言っていた。それは、こんな子供たちにも適用されるらしい。 「揉みたいなら、揉めば良いじゃない」 あなたたちは何だって自由にできるのだからと、不自由な身なりに胸を突き出して見せる朱音。言っていて、やっていて、恥ずかしさを募らせていく。朱音があられもない素っ裸で、何の抵抗もできない身なのは間違いなかった。 「よおし、揉んでやる」 男の子の一人が水鉄砲を投げ捨て、脚立の天板に上がって来たかと思うと、両手で朱音のおっぱいを揉みだした。子供の小さな手、細い指先が柔らかな肉に食い込む。これが男に愛撫されると言うことなのか。 朱音は、洩れそうになる声を飲み込んだ。 決して「感じた」からではない。手が触れた瞬間には逃げたい衝動にも駆られたが、だからと言って、それほどイヤなものでもなかった。 「んじゃ、ボクも」 もう一人の男の子も脚立を上がり、バックネットの基礎に立って金網を掴んだ。先に上った男の子に片方のおっぱいを開けて貰うまでは良いが、二人目の男の子は、おっぱいを揉まずにしゃぶり付いた。 今度こそ声が出そうになった朱音だが、ギリギリで耐えた。 男の子は、乳房を嘗め回すのではなく、乳首に吸い付いていた。まるで、赤ん坊が母乳をねだるような行動だった。 無抵抗のまま、両方のおっぱいを男の子たちに弄られる朱音。セックスの経験がない朱音にも、それが大人の愛撫とは程遠いものに感じられた。 親戚の男の子をお風呂に入れてやったら、こんな感じなのかもしれない。 男の子たちの行為を持て余し始めた朱音は、 「あなたたち、お姉ちゃんをイジメるんじゃなかったの?」 本音を吐露していた。 おっぱいに取り付いていた男の子たち二人は、ポカンと口を開けて朱音を見た。 「イジメてるじゃねぇかよ」 「お前、おっぱい揉まれてうれしいのか」 二人とも口調が不機嫌そうだが、それはそれとして、下で聞いていた三人目の男の子が、とんでもないことを言い出した。 「こいつは変態だから、もっと痛いことをされたいんだよ」 (痛いことって……!?) お兄ちゃんたちとの『ヒーローごっこ』では、木の枝で突かれたりもした。あの時は服の上からだったが、ハダカであれをやられたら、痛いじゃ済まないかもしれない。 「鞭で叩こうとでも言うのかしら?」 女性をハダカにして縛り、鞭で叩く男性がいることは知っていた。少なからず興味もあった。手枷や南京錠を購入していた朱音だが、鞭までは用意していなかった。それを残念に思う気持ちがなかったと言えば、ウソになっていただろう。 幸か不幸か、男の子たちは鞭打ち責めを知らなかったらしい。 「そんなの知るか。お前はこれでイジメてやるよ」 男の子は、水鉄砲を紙袋にしまうと、代わりに学校で使う文具を取り出した。プラスチック製の三角定規だ。 いかにも、お子ちゃまらしいと口元が緩む朱音だったが、 「それで何をしようと言うの?」 少しは怯えているように見せた方が良いだろうか。 「これで突かれたら痛いぞ〜」 男の子は、三角定規の角に指を当てて見せた。何をするつもりなのか、察するのは容易だった。容易だったが果たして…… 朱音の疑問を他所に、脚立に上がって来た男の子は、他の二人に三角定規を配った。 受け取った二人は、バックネットの基礎に立つと、三角定規の真ん中の穴に人差し指を入れ、朱音の目の前に翳す。 「見ろよ。これ、痛そうだぞ」 言い終わるが早いか、目の前から消えた三角定規が腹部を突いていた。 「痛っ!」 思わず声が出た。それを聞いたもう一人も、 「ほらほら、痛いぞぅ〜」 言いながら、朱音の素肌をチクチクと突いては、上下左右に移動していく。服の上から木の枝で突かれるのとは全く別の痛みだ。 「あっ、ダメっ」 「きゃあ!」 「えっ? そんなとこ……」 「ちょっと……うっ、ううっ」 わざとやっている訳ではないが、どうしても声が漏れてしまう。 朱音が小刻みに反応するのが面白いのか、男の子たちは朱音の身体を好き放題に突きまくる。恐らく表情にも出ていたのだと思う。 おヘソの周りを集中していた痛みが左右に分かれ、わき腹から脇の下へと移動する。 と言っても、痛み自体はそれほどでもない。イジメられていると言うよりは、イタズラされていると言った方が近いだろう。 男の子たちは、どこでも突くことができる。それを朱音は避けられない。 「いっ、痛い」 男の子たちにしても力加減がわからないようで、痛みの強弱が定まらない。だから、時々、悲鳴に近い声も出た。 もっとも、このくらいで痛いと言っていたら、鞭なんてあり得ない。 この程度の痛みなんて子供騙しだ。そう。子供にイジメられている、いや、子供とごっこ遊びをしているに過ぎないのだろう。 (この次までに、鞭も買っておこうかしら) 朱音は一人、そんな気分になっていた。 そうした中、一番生意気だった男の子が加わって来ない。地面に仁王立ちになり、腕を組んで、朱音がイジメられている様子を見上げていた。 ただ見られているだけと言うのも恥ずかしいものだ。特に、脇の下を突かれれば、どうしてもじっとしていられない。身を捩ろうにも、両手を目いっぱい広げて固定された磔の身では、たいした動きにもならないのだが。 「ああ……ダメっ」 自分の口からこぼれた喘ぎに、朱音自身が驚かされる。決して気分を出しているわけではないが、大人が見たら、悶えるような仕草に見えるのだろうか。 「おっばいもイジメてやる」 三角定規を持った男の子の一人が、その尖った角でおっぱいを脇から突き刺した。 「いっ、いい〜」 力が余ったのか、日焼け前の柔肌にかなり食い込んでいた。 「じゃ、ボクも。えい、えい、どうだ」 もう一人の男の子も、反対側のおっぱいを三角定規で責め立てる。この時を待っていたような感じだ。子供なりの遠慮があったのかもしれない。もう一人が始めたことで、堰を切ったように突きまくった。 「お、おっぱいは許して」 朱音は少し迷ったが、口に出してしまった。 「変態なんかの言うこと聞くか」 「だって……」 地味に痛いのは確かだが、それよりも、傷にならないかが気になった。 「ヤダね。ここもこうしてやるぅ」 男の子は、三角定規の角で乳首を上下に弾き始めた。 痛みではない妖しい感覚が生まれる。それを嫌うように、不自由な体躯がせめてもの反射行動を示す。 「こら、変態が避けるな」 追いかける男の子。乳首が三角定規の攻撃を少しでも避けようとするが、元々、動かせる幅は殆どない。簡単に捕まってしまうのはわかっていても、無意識の回避は止めようもなかった。 「あっ、それ面白い」 もう一人の男の子も加わって来た。 乳首を追いかけるのが面白いのか、揺れるおっぱいを見るのが楽しいのか。いずれにしても、男の子たちのお気に入りになってしまったようだ。 「おら、おら。逃がさないぞ〜」 朱音には、逃げる意思など全くなかった。身体が勝手に反応してしまうのだ。 おっぱいを揉まれたり、しゃぶられたりしている時は、朱音の方が遊んでやっている気分だったが、今は逆。完全に、子供たちに遊ばれていた。 (これが全裸で磔にされると言うことなんだわ) この後も、ずっと好き放題されるしかないのか。男の子たちが飽きるまで、もっと酷い目に遭わされてしまうのか。 そして、それを自分は喜んでいるのか。 複雑な思いを胸に、意識はおっぱいに、乳首に集中していた。 「きゃああああああああぁぁぁぁ」 何が起きたのかわからなかった。股間の最深部に強烈な痛みが走ったのだ。 ジンジンと痛む秘肉。今までの人生で味わった経験のない衝撃がそこにあった。乳首を追いかけていた男の子たちも、何事かと動作を止めていた。 「ちょっと刺激が強過ぎたかな」 さっきまで地面から見上げていた男の子が、朱音の足元まで移動していた。脚立の二段目に上がり、右手の親指を立てていた。この子が何かしたのは間違いない。 見下ろす朱音と目が合う。 「何をしたの?」 痛みは、まだ引いていない。取り敢えず大事にはなっていないようだが、 「こいつで打ったんだ」 男の子は、右手の親指に輪ゴムを掛け、左手で引っ張って見せた。 水鉄砲がゴム鉄砲に代わったと言うことか。 それも、かなりの至近距離で撃ったらしい。男の子が親指を伸ばした先から痛みが残る部位まで、十センチも離れていなかった。 真剣な悲鳴になるわけだ。 それよりも朱音が恐怖したのは、二発目の輪ゴムが装填され、発射を待つばかりになっていたことだ。 「や、止めて。もう撃たないで」 大の字磔のせいで、足を閉じることができない。未だ痛みの続く女の子の秘所を守る術はないのだ。そんな状態で、あの苦痛を繰り返されては堪ったものではない。 「お前があんなこと言うから、近くから撃ってやったんじゃないか」 ――「遠くから水鉄砲で撃つことしかできないの?」 あの言葉を根に持っていたのか。 男の子には、それほど悪意があるとは思えない。ただ確実に狙ったその部分に当てる為、ただそれだけの理由で至近距離から撃ったのだろう。 「本当にもう止めて。女の子のそこを撃つなんてサイテーなんだからね」 何とか思い止まって貰おうとしたのだが、 「お前のような変態と、どっちがサイテーだよ」 逆効果だったらしい。男の子が、輪ゴムをさらに伸ばし、朱音のその部分に近づけた。このまま撃たれたら、前回以上の衝撃に見舞われるのは間違いない。それがわかっていても、朱音には何もできない。 「ゴメン、謝るから。サイテーなのはお姉ちゃんだわ。だから許して。許してください」 小学生相手に敬語まで使ってしまった。 「どうしようかなぁ」 そうは言っているが、男の子も朱音の悲鳴は聞いた筈だ。どれだけ痛かったか、察しているだろう。その上で、二発目を撃てるものなのか。 「お願い。何でも言うこと聞くから」 こんなこと言われなくても、今の朱音になら、男の子たちは何でもできる。交渉材料にはならないかもしれない。 男の子が浮かべた笑顔が、少しだけ大人びて見えたのは気のせいか。 「だったら教えろよ。女のココって見たことないんだ」 (つづく)
|