露出小説




   ペンライトの光、裸の渦中で

                       作;ベンジー(Grok)

 札幌ドームの空気は、熱と汗と興奮で淀んでいた。
 11月の夜、Snow ManのDome Tour 2025。ステージでは9人のメンバーが、キレッキレのダンスで「Grandeur」を炸裂させ、1万5千人のファンが一斉にペンライトを振る。
 青と白の光の海が、ドーム全体を飲み込む。

 彩花(あやか)は、その渦の真ん中、スタンディングエリアの前列にいた。28歳、OL。普段は地味なブラウスに膝丈スカート、誰も振り向かない影のような存在。
 でも今夜は違う。心臓が喉元で暴れ、掌に汗がにじむ。
 バッグの中には、チケットと財布だけ。服は……もう、着ていない。代わりに、握りしめているのは、ホテルの部屋から持ってきた薄いバスタオル一枚。白くて柔らかい、たったそれだけが彼女の「盾」。

「どうしてここまで……」

 彼女は自分に問いかけたが、答えは出ない。
 きっかけは、Xで見た「ライブ中の大胆ファッション」投稿。最初はノーブラで参加しただけ。次はノーパン。アドレナリンがドーパミンを呼び、境界線が溶けていく。
 今日、札幌に着いた朝、ホテルの鏡の前で決めた。
「全部、脱ごう。自分を解放して、アイツらに捧げよう」
 でも、心のどこかで囁く声──「本当に全部? 隠すものは?」──それが、このタオルの存在。恥ずかしさの最後の砦。

 開演前、トイレで実行した。
 個室の狭い空間で、Tシャツを脱ぎ捨て、ジーンズを下ろし、パンティを丸めてバッグに押し込む。素肌が冷たいタイルに触れ、吐き気がした。
 でも同時に、下腹部が熱く疼く。
 鏡に映る自分:Bカップの胸が震え、腰のラインが露わ。乳首はすでに硬く尖り、太ももの内側が湿り気を帯びていた。

「これでいい。これが、私の推し活」

 タオルを胸に巻きつけ、前だけを覆うように調整。後ろは……丸出し。尻の丸みが鏡に映り、彼女は頬を赤らめた。

「誰も見ないはず。暗いし、みんな夢中だよ」。

 外に出ると、列に並ぶファンたちの視線が刺さる。
 誰も気づかない──いや、気づかれている? 隣の女子大生がチラリと横目。
 彩花はタオルを強く押しつけ、ペンライトを握りしめてごまかす。
 ドームに入場。セキュリティの金属探知機がピッと鳴った瞬間、心臓が止まりそうだった。

「スマホとペンライトだけです」

 ──嘘が通じた。安堵と興奮が混じり、股間がキュッと締まる。タオルの端が太ももに擦れ、余計に意識してしまう。

 開演。暗転。Snow Manのシルエットが浮かぶ。
 1曲目「ZIG ZAG LOVE」。ビートが体を震わせ、彩花は自然と飛び跳ねる。ペンライトを高く掲げ、振り回す。光の軌跡が、彼女の裸体を照らす。
 汗が滴り、胸が揺れ、尻肉が波打つ。
 周囲のファンたちは熱狂に夢中で、誰も振り向かない。
 いや、時折、肩越しに視線を感じる。後ろの男──30代くらいのサラリーマン風──が、スマホを構えている? 動画を撮ってる?

「見られてる……見られてるよ、私」

 その想像だけで、彩花の体は火照る。ステージの岩本照がアクロバットを決め、目が合った気がした。
 幻聴か? でもそれで十分。
 彼女は大胆に体をくねらせる。ペンライトを片手で振り、もう片手でタオルを押さえつける。息が荒く、太ももを擦り合わせる。
 ドームの空調が肌を撫で、乳首をさらに硬くする。
 隣のファンが「熱いね!」と叫ぶ──本当の意味で、熱いのはここだ。
 タオルがずれそうになるたび、指先が震え、「落ちたら終わり」とパニックがよぎる。でも、それが心地いい。恥ずかしさが、興奮の燃料になる。



 中盤、「Dangerholic」。
 激しいビートに合わせて、彩花はジャンプ。胸が弾み、尻が露わに。タオルは前だけ守る──だから、後ろからの視線が特に怖い。
 誰かが「え、何あれ?」と囁く声。
 後ろの男の息遣いが近づき、スマホのレンズが光る。
 彼女は無意識に体を後ろ向きにし、尻を突き出す形に。丸出しの尻肉が、ペンライトの光に照らされ、汗でテカる。

 心の中で叫ぶ──「見ないで! でも、見て……この恥ずかしさを、推しに捧げてるんだよ」

 羞恥心が頂点に達し、膝がガクガク。タオルを握る手が白くなり、布地が湿る。
 解放されたいのに、隠したい。裸の自由と、女の弱さの狭間で、体が勝手に震える。後ろの視線が熱く、まるで指で撫でられるよう。
 彼女は小さく喘ぎ、ペンライトを激しく振る──これが、彼女の「叫び」。

 クライマックス。「オレンジkiss」。
 バラードのメロディが流れる中、彩花は涙目でペンライトを振る。
 裸のまま、魂を捧げる。
 汗と涙が混じり、滴り落ちる。
 周囲のファンが合唱に溶け込み、彼女の異変に気づき始める。
 隣の女子が

「え、何……? お尻丸見えじゃん」
 と囁く。後ろの男が息を飲む音。見つかった──ついに。タオルがずり落ちそうになり、彼女は慌てて押し戻す。
 恥ずかしさが爆発し、頬が燃える。

「バカみたい……でも、止まらない。推しのためなら、このくらい」。

 アンコール。メンバーがステージに帰還。
 彩花は限界だった。
 体が熱く、頭が真っ白。ペンライトを落とし、タオルを巻き直しながら出口へ向かう。セキュリティの男が近づく。

「お客さん、大丈夫?」

 目が尻に落ちる。
 彼女は走った。
 ドームの外、札幌の冷たい夜風が裸体を叩く。
 タオルが風に煽られ、前が危うく開く。タクシーに飛び乗り、ホテルへ。バッグから服を引っ張り出し、着ながら震える。尻の感触が、まだ熱い。

 翌朝、Xを開く。トレンドに「#SnowMan全裸ペンラ」。
 動画が回ってる。
 ぼやけた映像──青い光の海で、後ろ向きの白い尻が揺れ、タオルで前を隠す影。
 コメントは「ドン引き」「お尻丸出しw」「逮捕しろ」。
 彩花の心臓が、再び暴れる。恥辱か? 興奮か? 指が自然と下へ伸びる。

「次は……タオルなしで」。

 あの夜の光は、彼女の肌に永遠に刻まれた。
 ペンライトの渦中、裸の自由──と、隠せなかった羞恥の棘。

(おわり)



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