露出小説




   『露出っこクラブ〜佳織』

                              作;ベンジー

第2章 全裸徘徊

 佳織は、まだ、五階の男子トイレにいた。
 もう一度、外の様子を窺う。今なら誰もいない。いや、今しかない。そうやって気持ちを奮い立たせ、足を踏み出した。
(ハダカで、スーパーの階段を下りることになるなんて)
 素足で一段ずつ降りて行く。服を残して来た女子トイレから離れて行く。
 不安も心細さも、距離に比例して、大きくなって行った。
 吸い込んだ息が、胸の奥で固まっていくようだ。一段降りる度に振り返る。耳をそばだてる。全身がセンサーにでもなっているかのように、周囲の気配を探索した。どんな小さな物音にも体で反応した。
 もし神経が物理的にすり減るものなら、どれだけ細くなっていたことだろう。
 今、誰かが上がって来たら隠れるところもない。
 中段の踊り場で、四階の様子を窺う。
 映画館のあるフロアだ。今はちょうど上映中なのか、人の姿は見受けられない。一段降りては様子を窺い、二段降りては三段戻り、三段降りては一段戻り、そんなことを繰り返しながら、やっとの思いで四階のフロアに着いた。
 男子トイレが、階段のすぐ近くであることが、せめてもの救いだった。
(お願い、ここに鍵が有って)
 佳織は、そう祈りながら、四階の男子トイレをのぞき込んだ。
 誰かが入っていたらどうしよう。ここで出るのを待っているわけにはいかない。階段を駆け上がっていたのでは、見つかってしまうだろう。
 女子トイレに、逃げ込むしかないのか。
 でも、そっちにも人がいたら……
 考えをまとめられないまま、佳織は、四階の男子トイレに入った。幸いなことに、ここにも人はいなかった。
 トイレの造りは同じだった。五階でそうしたように、同じ手順で鍵を探す。やはり簡単に見つかるような場所には置いていないらしい。
 洗面台の鏡に自分の姿が映った。
 涙がこぼれそうになったが、ここで泣いている時間はない。頭を振って次に進む。個室の便器の裏まで確認した。ようやく用具入れの中までたどり着いたが、そこでも鍵を見つけることはできなかった。
(ここにもないの。だったら三階。それとも……)
 佳織は、気力が失せそうになっていた。
 こんなことを、いつまで続けなければならないのか。スーパーの男子トイレにハダカでいるだけでも、死にたくなるほど、異常な事態なのだ。
 服を着たくても着ることができない。
 今すぐに鍵が見つかったとしても、階段を五階まで上らなければならない。さっきの女子高生たちとすれ違う可能性だってあるのだ。
 緊張と、興奮と、焦燥と……佳織は、パニック寸前だった。
 いつまでもそうしていても事態は好転しない。佳織は、用具入れを元に戻し、扉を閉めた。
 ちょうどその時、人の気配を感じた。誰かがトイレに入って来たのだ。
 佳織は、個室に飛び込み、ドアを閉めた。奥にいたから良かったものの、洗面台の前にいたら大変なことになっているところだった。
 入って来たのが誰かはわからない。奥に先客がいることくらいは気づいても、まさか全裸の女性だとは思いもしないだろう。
 個室のドアの鍵を閉め、息を殺した。
 元々、誰が来てもおかしくないところばかり歩いて来たのだ。ここまで誰にも見られずにいたことが、むしろ奇跡なのかもしれない。
 小便器に水が流れる音がした。次いで、洗面台を使う音、手を乾かす機械の音……、やがて、人の気配がなくなった。
 佳織は、五階の女子トイレに置いてきた服が気になった。
 洗面台を使った人なら、どうしたって、佳織の衣服に気づく。その異常な状態を見た時、一体どう思い、どうするだろうか。
 そのままにしておいてくれれば良いが、サービスカウンターにでも持って行かれたら、佳織は、帰る衣服をなくしてしまう。
 あの男は、どのように考えているのか。
 佳織は、携帯電話を手に取った。もうそうするしかないと思った。
『助けてください』
 それだけ送信した。
『そんなことを言っていいのか。課題がきつくなるだけだぞ』
 少し迷った佳織だが、このまま、どこにあるかわからない鍵を探し回るよりは、マシだと思った。今より悪い状況など考えられない。とりあえず、この場から逃げ出すことが、先決に思えたのだ。
『はい』
『だったら、個室に入ってオナニーしろ。イクまでやること。それを個室の数だけ、続けること』
 考えてもいない命令だった。
(こんなところで、オナニーだなんて)
 佳織は、洋式の便座に腰を下ろし、片手がようやく入るだけ、足を広げた。
 この状況でオナニーしても、感じるわけがない。イクことができるものかと思った。
 ところが、秘密の園に触れてみると、そこはまるで、セックスした直後のように、グチョグチョになっていた。
(どうして、こんな……)
 指先が触れただけで全身に衝撃が走った。
 一度、動かし始めた指は止めることができず、佳織の意思とは無関係に暴れ続けた。
 息が乱れた。何がどうなっているのかわからない。
 佳織だって、もちろんオナニーの経験くらいはある。でもそれは、ベッドの上で下着に手を入れ、少しだけ気持ち良くなって終わる程度のものだった。
 それが今、指先が自分の意志を持ったように、動き続けている。花びらの奥から蜜があふれ出る。もう片方の手が乳房を揉み上げる。オナニーというものが、こんなに激しいものとは、思いも寄らなかった。
 これでは、愛し合い、求め合った男女のセックスと、変わりないのではないか。
(ああーん、あん、はぁあっ、あっ、ああぁ、あああぁああああ……)
 快感に次々と襲いかかられ、言葉にはならない。細かく繰り返すあえぎ声も、自分のものではないようだ。
 もういい、もう十分だと思っても、指先が、無視する。主の意志に反して、責め続ける。声が個室の外に漏れようとも、それを拒む術はない。
 佳織は、一気に上り詰めた。
 こんなにも、ひどい目に遭っていると言うのに、どうしてこんなにも、感じてしまうのか。頭で考えることなど、全身を支配する快楽の前では、無力だった。
 全裸徘徊の緊張に冷え切っていた肌から、汗が噴き出した。
(こんなに気持ちいいなんて)
 佳織が、今までしてきた自慰は、何だったのか。
 オナニーというものを、まるで理解していなかった。やりようによっては、こんなにも自分を高ぶらせ、性的な欲求を満足させることができるとは。
 声が枯れ始めていた。
 脱力感……だが、個室は、もう一つあった。
 佳織は、リモートコントロールされたロボットのように、便座から立ち上がった。
 個室を出て、隣の個室へと移動した。
 再び、激しいオナニーに狂う。
 めくるめく快感に、自分の置かれた状況を忘れ、指先の奴隷に落ちる。
 やがて、その日、二度目の絶頂を迎えた。

 息も整い始めると、佳織は、急に空しさを感じた。
 自分の置かれた状況を思い出したこともあるが、それだけではない。ひどく惨めな気持ちだった。どうして、こんなことになってしまったのか。一刻も早く、この状況から逃れたかった。
 ここにいたのでは、何の解決にもならない。
 だが、今の佳織にとって、この狭い空間が唯一の安全地帯だ。ここから一歩出れば、いつ他人の目に、恥ずかしい姿を晒すか、わからない。
 追い討ちをかけるようにメールが届いた。
『大きな声だったな。オナニーは終わったか』
 あの男は、すぐ外にいたらしい。
 いったいどういう人なのか。会ったこともなければ、声を聞いたこともない。それなのに、あの男は、佳織の何もかもを知っている。
 佳織は、耳を澄ませた。
 人の気配も、物音もない。すでに、近くにはいないようだ。
 佳織は、『はい』とだけ返信したが、オナニーでよがる声を聞かれたのかと思うと、恥ずかしさがこみ上げた。
『鍵は、一番奥の用具入れの中にある』
 外に出ることが怖くなっていた佳織だが、出ないわけには行かなかった。
 用具入れの中は、もちろん探していた。だが、見つからなかったのだ。個室から出て、もう一度探したが、やはり見つけることができない。
 佳織の落胆を見越したように、
『鍵は、排水パイプの裏側に、テープで止めてある』
 そこまでは見ていなかったと、佳織は、膝を付き、清掃用の流しの下に頭を突っ込んで、手を伸ばした。
 配水パイプに、ようやく手が届く。
 お尻を丸出しにして、トイレの床に這いつくばる自分の姿が、ひどく惨めだった。
 それでも、鍵が見つからない。
 男の言う場所には、ビニールテープだけが、剥がれかかっていた。
『ありません』
 佳織がメールすると、すぐに返信が来た。
『さっきまではそこにあった。お前が、また逆らったので、移動したんだ』
 何と言うことだろう。『助けてください』とメールしたことが、こういう仕打ちとなって帰って来るとは。
 トイレの床に這うようなマネまでしたのに、また、ふりだしに戻ってしまった。今度は、どこまで行けというのだろう。
『今日、最後の命令だ。用具入れの棚に手錠がある。それを後ろ手に掛けろ』
 あの男は待ってくれない。佳織をハダカにしただけでは物足りず、両手の自由まで奪おうというのだ。
 棚には、金属製の手錠が置いてあった。手に取ると重量感もあり、頑丈そうに見えた。
 が、やはり鍵が見当たらない。
 次のメール。
『手錠の鍵は、お前の服と一緒にしておいた。後は好きにしろ』
 あの男は、今、五階の女子トイレにいる。
 それは取りも直さず、佳織の服が、あの男の手元にあるという意味だ。手錠を掛けなければ、服はどうなっても知らないぞ、と言う脅しなのか。
 佳織は、洗面台の前に戻り、手を洗う。膝の汚れも軽くこする。鏡を見て髪の乱れを直す仕草も、この姿では滑稽に思えた。
 身だしなみを整えた上で、手錠を左手首に掛けた。
 金属の重みが手首に感じられた。その手を背中に回し、鉄の輪の中に右手を入れる。これを嵌めることがどういうことか、理解しているつもりだ。
 それでも佳織には、拒むという選択肢はない。
 ジリジリっと、手錠が締まる音がした。これでもう、どこも隠すことはできない。
(そうだ。服の鍵!)
 佳織は、服に付けたチェーンの鍵がどこに移動されたのか、聞かされていない。このまま、男とのメールが途絶えてしまったら、服を着ることができない。
 慌てて携帯を取り出したが、両手はすでに背中で固定されている。この状態では、メールを打つこともできなかった。
 佳織は、血の気が引いていった。
 ここに来るまでは、男子トイレというヒントがあったが、今は何もない。このスーパーの外までは持ち出さないだろうというくらいである。もしかしたら、それすらも希望的観測なのかもしれない。
(どうしよう……)
 何一つ、考えがまとまらない。そこへ、メールが届いた。
 不自由な手で携帯を開く。受信したメールを開く操作だけでも一苦労だったが、今まで不気味なだけだった『佳織へ』の件名が、待ち望んだものに思われた。
『鍵はエレベーターに投げ込んでおいた。誰かに拾われない内に、回収するんだな』
 鍵のありかはわかった。
 だが、それは、佳織を救ってはくれなかった。
 こんな姿でエレベーターに乗れというのか。
『本当にそれだけは……』
 もはや、メールを打つこともできない。
 佳織は、萎えそうになる気持ちを奮い立たせ、四階の男子トイレの入り口に立った。 そうしなければならない状況に追い込まれていた。あの男のメールにもあったように、鍵を誰かに拾われてしまったら、絶望しか残らない。
 トイレからエレベーターまでは五メートル程度だろうか。
 だが、この映画館のあるフロアでエレベーターを待つのは無謀過ぎた。五階のほうが、人が少ない。佳織は、先に五階の女子トイレへ行って、服と手錠の鍵だけでも確保しようと思った。
 トイレの入口から顔を覗かせた瞬間、複数の声が聞こえた。それは女子高生たちのおしゃべりで、階段の上から聞こえて来る。しかも、こちらに近づいてくるようだ。
 佳織は、男子トイレに戻るしかなかった。全裸で後ろ手に手錠を掛けた姿を、見つかるわけにはいかない。
 女子高生たちは、大きな声でしゃべりながら四階のフロアを通過し、そのまま階段を三階へと降りて行った。さっきゲームコーナーにいたグループの一つだろう。まだ他にも残っている可能性がある。
 佳織は、階段を登るのが怖くなったが、そこしか通る道はない。五階の女子トイレまで行かなければ着る服もなく、後ろ手の手錠からも開放されないのだ。
 女子高生たちの声が聞こえなくなるのを待って、男子トイレを出た。今、出なければ、永遠に出られないような気がした。
 一歩ずつ階段を登る。
 ついさっき降りてきた階段だが、後ろ手に手錠をしているだけで、全く違うものに思えた。両手の自由を奪われ、前屈みになって歩く。これでは、まるで罪人だ。この階段の上が、処刑場にでもなっているような妄想を抱かせた。
 処刑……
 あながちオーバーな表現ではないかもしれない。こんな姿を世間に公表されれば、露出狂のレッテルを貼られることは間違いないだろう。
 あの男に強制されたとは、口が裂けても言えなかった。全部、自分一人の趣味でやったと説明するしかない。想像もしたくない光景だった。
 中段の踊り場で折り返し、残りの半分を上る。
 足の裏にも汗を掻き、ぺたぺたと床に貼り付くようになった。つま先立ちで歩くしかないが、このまま五階の女子トイレまで行けば、とりあえず第一段階はクリアのはず……
 五階のフロアまで残り数段となったところで、灰皿の上に置いた佳織のサンダルが見えた。
(大丈夫、まだ残っていた。服だってきっと……)
 一安心も束の間だった。再び、女子高生たちの声が聞こえた。
「何、あれ」
 次いで、いくつもの足音が集まって来た。
 佳織は頭を下げた。
「サンダルじゃない。なんでこんなとこにあんのよ」
 下に降りて行ったグループではない。最悪なことに、それはプリクラの側で顔を合わせた女子高生四人組だった。
「これって、さっきの女のじゃないかなあ」
 サンダルを手にとっていた一人が気づいてしまった。あれだけ踵の高いサンダルは珍しい。全身プリクラに入る前に、あの男が脱いで行けと言った意味を、今になって理解した。女子高生たちに印象付けようとしていたのだ。
 それを、わざわざ目立つように、灰皿の上に置いて行かせた……のだろう。
「さっきの女って、プリクラにパンツ脱いでいった、あれのこと?」
「裸足で帰ったんだ」
「まさかでしょ」
「案外、まだ、この辺にいるんじゃないの」
「探してみようか」
「あんな変態女、見つけてどうするのよ」
「みんなで虐めちゃうのよ。スーパーの中をノーブラ・ノーパンで歩くような露出狂だもの。何したって平気だって」
「そうね。面白いかもね」
「で、どうするの」
「全部脱がして、プリクラに置いていっちゃうとか」
「エレベーターに乗せて、一階で放り出すってのは」
「屋上の柱に縛り付けちゃおうよ」
 佳織は、気が遠くなるような思いで、それらの会話を聞いていた。サンダルを置いて、早くどこかに行ってくれることを願ったのだが、事態は、さらに悪いほうへと向かった。
「この中でオナってたりして」
「あり得る。あり得る」
 女子高生の一人が、女子トイレに入って行った。
 佳織の鼓動が、どんどん早くなっていく。あの男が、佳織のサンダルを目立つ場所に置いた意図が、何かの目印だとしたら……
「やめて」と、心の中で叫ぶ声も届かず、
「ねえ、ねえ、これ見てよ」
 大きな声をあげながら、女子校生が飛び出して来た。
 その手には、自転車のチェーン鍵でロックされた、ショッキングピンクのTシャツが握られていた。

◆ メール調教

 露出の魅力に取り憑かれてしまうと、二度と逃れられなくなる。
 そんな話を、どこかで聞いた。
 始めの一歩が、どんなに敷居が高くとも、とにかく経験することが大切らしい。そうすれば、私の陳腐なノーパン体験でさえ一線を越えたものとなり、次からの露出が容易になるのだと、誰かが言っていた。
 管理人様に追試と言われた時も、すぐに実行できると思った。
 ところが、いざやろうとすると、前日の二の舞だった。
 スカートを膝上にしろと言われてことも手伝っていた。下半身が頼りなかった。夕べのスカートなら絶対にばれないのに、膝上のスカートでは、安全の保証はない。
 いや、保証があったら、露出に興味を持つものはいないだろう。銭湯の中でハダカになっているようなものなのだから。
 私は、自分なりに目標を決めた。
 とにかくノーパンになって、膝上のスカートで部屋を出る。階段を下りたら正面の道路を右に出て、このブロックを一周して帰って来る。距離にしたら二百メートルくらいだろうか。
(追試なんだから、しっかりとやらなくては)
 私は、深夜になるのを待った。
 風も殆ど吹いていなかった。これならできると自分に言い聞かせて、玄関のドアノブを回した。
 静まりかえった夜の気配を感じた。足を一歩踏み出す度に不安が大きくなった。それだけ、部屋のドアから離れることになるのだから。
 スカートの裾を気にしながら、足を進める。
 また、ここで携帯の着信音でも耳に入ったら、後戻りしていたかもしれない。幸か不幸か、物音一つしなかった。自分の足音だけが妙に響いた。階段を下りる時には手すりに捕まり、足を下ろすにも、音を立てないように、注意を払った。
 いよいよ道路に出る。ここからが本番だ。
 外灯に照らされた場所以外は、真っ暗な夜道。普通の格好でさえ、女の子が一人歩きをするにはふさわしい時間ではない。今の私にとって、人気のある怖さと、人気のない怖さと、どっちが大きかったのだろう。
 私は、誰もいない道を、歩き出した。
 ショーツを履いていないというだけで、他はいつもと変わらない。いつかはこの道を全裸で歩くのだ。今は絶対に無理でも、そのためにメール調教を受けているのだと、気持ちを奮い立たせた。
 最初の角を曲がる時、引き返そうかと思った。誰が見ているというわけではない。ここで戻ったところで、管理人様にはわからない。メールに『一周しました』と書けば良いだけだ。
 もう一人の私が、そんな私を叱りつける。あなたは、自分で決めたことも実行できないのか、と。
 くじけそうになる気持ちを何とか保ちながら、私は歩いた。ここまで来ると、正直なところ、少しだけ余裕ができてきたのかもしれない。もっとも、昨日と比べればという程度だが。
 ハプニングもなく、何とか予定のコースを歩くことができた。
 アパートの前まで戻ってきてしまうと、何だか物足りない感じがした。道路に出た時には、あんなにビクビクしていたのが、ウソのようだ。
 夜道の散歩は、この季節でこそ厳しいが、もう少し暖かくなれば、気持ちが良いかもしれないと、考えたりもした。

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管理人様、こんばんは。
K子です。

昨日の追試をやってきました。
スカートもちゃんと膝上のものにしました。
アパートのまわりを一周すると二百メートルくらいありましたが、
今夜は、きちんと歩くことができました。
ノーパンにも慣れてきたのか、最後は物足りなさを感じました。
私も少しは成長できたのでしょうか。

K子
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 私は、命令をきちんと実行できたことで、興奮していたのだと思う。メールを送信してしまってから、残念な気がしてならなかった。後期試験が終わるまで中断する気でいたのに、このままにしてしまうことが、我慢できなくなっていた。
 すぐに次の命令が欲しくなった。
 管理人様に『私の露出っこ』と言われたせいかもしれない。

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管理人様、度々すみません。
K子です。

今回は追試のご命令、ありがとうございました。
これからも頑張りますので、ご指導をよろしくお願いします。
次のご命令も頂けたらうれしいです。

K子
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 続けて二つメールするのは失礼だろうか。
 そうは思ったが指を止めることはできなかった。自分から恥ずかしいご命令を催促してしまうって、はしたないことなのだろうか。
 送信ボタンをクリックしてしまった後で、そう思った。

 翌朝になっても、管理人様からのメールは届いていなかった。
 メールを出したのが午前三時頃になっていたから、まだ読んでもいないと考えるのが普通だった。前回が、たまたま早かっただけと、頭ではわかっていたが、その日の授業も上の空だったのだろう。知美に、また言われてしまった。
「好きな人でもできたのかな」
 露出のことばかり考えて、惚けていただけでもない。二日、続けて夜更かしをしてしまったため、眠かったのだ。睡魔と戦っている姿も、知美には彼氏との甘い時を過ごした結果に映ったらしい。
「そんなんじゃないって」
「ホントに」
 何を好きこのんで、私のような子の世話を焼きたがるのかは、わからなかった
 一つだけ心当たりを上げるなら、アルバイトの件だろうか。
 知美は危ない面のある子で、キャバクラやメイド喫茶で働いているという噂があった。少なくとも、メイド喫茶は間違いない。人数が足りないから手伝って貰えないかと、頼まれたこともあった。童顔の私は、メイド向きらしい。
 単位が危なくなると、教授たちにも取り入るという噂もあったが、さすがに、それは眉唾だろう。
「ホントだってば」
 知美は納得しなかった。
 今から私のアパートまで来て、男っ気がないか確認すると言い出した。適当な口実も思いつかず、押し切られてしまう自分がイヤになった。
「あちこち勝手にいじらないでよ」
 部屋の中を見て回る知美に、釘を刺した。
 ピザを取って二人で食べ、テレビを見ながら二時間ほど雑談をして過ごした。
 女同士、恋バナに花を咲かせる。それはそれで、楽しい時間には違いなかった。 
 知美が返ると、早速、パソコンの電源を入れた。
 これはもう日課になっている作業だ。いつもなら、とっくに終了している時間だった。OSの起動する時間がもどかしい。とりあえず、メールが来ているかだけでも確認したかった。
 ようやくメールソフトを立ち上げる。無数の迷惑メールの中に、
「やったー」
 私は、一人でガッツポーズ。
 管理人様からのメールが、届いていた。

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K子へ

よく頑張ってきたね。追試は、これでクリアだ。
K子の場合、ノーパンができなかったというより、
露出に対する抵抗というか、罪悪感みたいなもののほうが、大きかったのだろうね。
今回のことで一気に成長できるはずだ。
期待しているよ。
次の命令は、ノーパンで人前に出ること。
道ですれ違うだけでも良いから、頑張っておいで。

管理人
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(褒められちゃった……で、いいのよねえ)
 誰が返事してくれるわけではないが、私は嬉しかった。命令を催促するようなことをして、嫌われたらどうしようと思っていたから。
「そうか、罪悪感か」と、ディスプレイに向かって頷いた。
 次のご命令は、人前でのノーパン……
 一気にレベルが高くなったような気もするが、管理人様が期待しているんだと思うと嬉しかった。
(どこでやろう)
 私は、もう実行することばかり考えていた。
 この時間なら人がいない、と思えばこそできたノーパン散歩である。
 それを今度は、人がいるところで、いや、ノーパン散歩をしている姿を人に見てもらうために出かけるのだ。
 逸る気持ちというのは、こういうことを言うのだろう。すぐにでも実行したかったが、管理人様のご命令は、昼間、実行することを意味しているように思えた。
 メールを読み直しても、そんなことは書いていない。
 それでも私は、昼間やろうと決めた。そのほうが、きっと管理人様は喜ぶ。また、私を褒めてくれるに違いない。
 私の興味は、どのスカートで実行するかに、移っていた。

 翌朝、登校前にノーパンで外に出た。
 さすがに、学校でノーパンになる勇気はない。土曜日までは待ち切れないとなれば、朝の、この時間しかなかった。
 スカートはデニムのタイトミニだ。膝上一〇センチくらいだろうか。私としては、これでも思い切ったつもりだ。
 玄関を出る時から緊張していた。外は明るい。それだけで、前に実行した時とは、比べモノにならないほどの緊張感だった。
(大丈夫。私は成長したんだから)
 階段を下りる時は、下から誰もあがって来ないことを確認した。相手に見上げられる角度では、挨拶すらまともにはできないに違いない。
 幸い、誰にも会わなかった。
 いや、それを「幸い」と言えるのかは疑問だった。私は誰かに会うまで、外を歩き続けなければならない。誰にも会わなければ、いつになっても、アパートに戻ることができないのだ。
 道路に出た。一昨日の晩、ノーパンで歩いた道だ。
 明るいと、こんなにも景色が違うのか。あの時は、暗かったから、周りを気にしていなかった。住宅街の路地である。家々の窓の下を通り過ぎる。あの時、誰かがカーテンの隙間から私を見ていたとしても、気づかなかっただろう。
 こんな時に限って、誰にも会わないものである。
 通勤時間には、少し早いこともあった。この寒い季節に、わざわざ散歩に出る人もいないのだろう。
 これならば、もっとすごい格好でも、歩けるのではないかと思った。

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管理人様、おはようございます。
K子です。

次のご命令をありがとうございます。
早速朝のお散歩に行ってきました。
とても寒かったのですが、ノーパンになって出かけました。
この前と同じアパートのまわりを一周するルートを歩いたのですが、
なかなか人に会いませんでした。
アパートの前まで戻って来てしまって、
これではダメだと思っていた時に「おはよう」って声を掛けられました。
同じアパートの女の子でした。
死ぬほど、びっくりしました。
そんな私を見て、その子もかなりびっくりしたようです。
「どうしたの」なんて言われましたけど、適当にごまかして、部屋に戻りました。
ご命令はクリアしたことになりますよね。

K子
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 あの時は本当に驚いた。誰ともすれ違うことなく、アパートのまわりを一周してしまった私は、そのまま部屋に戻るわけにもいかない。次は、どっちに行こうかと考えていたところだった。
 油断していたと言うのが正解だろう。あの子に声を掛けられた時には、本当に心臓が止まるかと思った。
 顔見知りではあるが、友だちではない。同じアパートの住民というだけで、名前もすぐには思い出せない。たまにすれ違えば挨拶くらいはする、という程度だった。
 自分の部屋に戻った後も、ドキドキが治まらなかった。
 あの子も、私がノーパンだったとは思っていないだろう。今日はそれで済んだが、もし管理人様のメール調教が進んで、私がもっと恥ずかしい格好でお散歩に出ていたら……
 それをあの子に見つかったとしたら……
(管理人様は、どこまでさせる気なのかしら)
 サイトでは、もっと過激な命令をされている子が大勢いる。怖いと思う反面で、いつかは、私もそういうことがしたいと思っていた。
 管理人様は、女の子からのメールをよく読んで、その子に合わせた命令を出している。決して無理はさせていないのだと思う。
 だから、もし私に「全裸でアパートのまわりを一周すること」なんてご命令が出るようなら、それは管理人様が、私にもそれくらいの露出ができると判断した証拠だ。
 次のメールが、気になってならない。
 ご命令を貰う度に、厳しいものになっていくだろう。管理人様を満足させられなくて、また、追試を貰うかもしれない。
 不安と期待と、どちらが大きかったのか。自分でもわからなかった。

 学校から戻るとメールチェック。これをしないと落ち着かない。
 管理人様からのメールが届いてないと、残念な反面、ホッとしたりもした。それでいて、また、何分もしない内に送受信のボタンをクリックしてしまう。
 結局、メールが届くまでは、何も手に付かなかった。

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K子へ

命令はクリアできたようだね。
ご苦労さん。
アパートの住民と鉢合わせしてしまったのには驚いたことだろう。
今回は、まだノーパンくらいだから、何てことはないが、
全裸散歩の帰りだったら、強制カミングアウトだったね。
K子は、露出のパートナーについては、どう考えているのかな。
女の子が外でハダカになるのは、危険の伴う行為だ。
一人でやるより、パートナーがいたほうが安全だよ。
一緒に露出してくれる子ならベストだが、
協力してくれるだけでも、今までよりずっと過激な露出に挑戦することかできるぞ。
一度考えてごらん。

管理人
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(露出のパートナーか。そんなこと、考えたことないなあ)
 それが第一の感想だった。
 私にとって露出というものは、一人でこそこそとやるものであり、絶対に誰にも知られてはならないものだった。
 普段は優しく、時には厳しく導いてくれる、お姉様みたいな人がいたらと思ったことはある。
 だが、現実的な問題として、どうやって探すのか。
 難しい問題だ。一人ずつ、「あなたは野外露出が好きですか」と、聞いて回るわけにはいかない。アパートの住民は、挨拶を交わす程度の付き合いだし、学校の友だちにしても、そんな話ができるのは知美くらいのものだろう。
 いろいろと噂の多い彼女のことだ。露出の話などしたら、面白がってノって来るかもしれないが、それこそ何をさせられるかわかったものではない。
 当分は、一人でがんばるしかないと思った。

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管理人様、こんばんは。
K子です。

露出のパートナーは無理みたいです。
いたら良いのに、とも思いますが、今は管理人様だけが頼りです。
よろしくお願い致します。
私を導いて頂けると嬉しいのですが。
良かったら、次のご命令を頂けないでしょうか。

K子
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 そう言えば露出っこクラブの投稿に、知人に露出のことがばれて共有奴隷にされてしまったという内容のものがあった。
 私の場合、この前会ったあの子がサディストだったら、アパートの住民を巻き込んで、私に露出を強要する、といったところか。
 管理人様は、そういうことの望んでいるのだろうか。
 現実にはあり得ないと思っていたけど、意外と身近なものなのかもしれない。

 後期試験が迫っていることも、どうしても落とせない単位があることも、その単位が非常に危ない状況にあることも、後回しになっていた。
 どうせ次のメールが届くまでは、することがないのだから、勉強するなら、今の内だったのだが。
 その日、知美は教室の隅でノートパソコンに携帯電話を繋いでいた。モバイル用の小さなモノだ。友だちの何人かが画面をのぞき込んでいた。
 特に珍しい光景でもない。
 知美のバッグには、この他にデジカメや携帯プリンタが入っていて、今撮った写真を、その場でプリントアウトして見せたこともあった。
「これでハッキングができたら、あなたの単位も楽勝なのにね」
 あながち冗談でもないのだ。知美は以前からそういうことに興味を持っていた。その気になればもしかして、みたいなことも言っていた。
 また、知美のお節介が始まった。
 どうしてそんなに私のことを気にしてくれるのか、思い切って聞いてみた。
「だって追試とかになったら、春休みにメイド喫茶のバイト頼めないじゃない」
 それが本音だったようだ。
 どうしても私に、彼女のアルバイトを手伝わせたいらしい。

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K子へ

パートナーの件はわかった。
一人での露出は制限も多いけど、無理はしないでね。
それでは、次の命令だよ。
今度は、ノーパンで買い物に行って貰おうか。
今までより短いスカートで行くこと。
最初は、コンビニが良いのではないかな。

管理人
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 その日の晩、管理人様から新しい命令が届いた。
 今度はコンビニ。すれ違うだけでなく、買い物もして来なければならない。
 スカートの丈も短くして。
 こうして私は、少しずつ恥ずかしい格好になっていくのだろう。
 もう、後戻りはできない。




 今月号はいかがでしたでしょうか。
 こちらにアンケートを設けさせて頂きました。ご回答、よろしくお願いします。

期待通りだった
期待していたほどではなかった
イマイチだが次回に期待する
もう読まない

その他 ご意見ご感想が頂ければ幸いです。