投稿小説

 執筆の自由を促進するための契約(後編)
                             原案 ベンジー  作 TEKE・TEKE


 千尋がオレのサインしたペット契約書を、そのままカバンにしまおうとするのを見て、
「おい、千尋もサインするんじゃないのか?」
「え、え、で、でも、私今印鑑持ってないし……」
「なに、マジになってんだよ。 アイデア出すためのお遊びだろ。それにさっき、お前言ったよな? 私が先にサインして、他の誰かが乙にサインしたら、私はその人のペットに
なっちゃうんですよ、って」
「はい」
「……と言うことは、もし誰か違う人間が、甲の欄に署名捺印したら、その人間がオレのペットってことになるぞ!」
「あ、は、はい、そうですね……」
「じゃあ、いま、ここでサインしろ! オレも何処の誰ともわからんやつをペットにするつもりは無い。どうせなら、千尋、お前をペットにしたい!」
「ほ、本当ですか? 本当に、私を先生のペットのしてくれるんですか?」
「ああ」
 オレはいつのまにか、手を取り合って、うるうる、きらきらの瞳をした千尋と見つめ合っていた。なんだか妖しい気分になってきた。
 千尋は、もともとオレのファンだったのが高じて、強引に担当になった経緯がある。
 オレに好意を持っているのは、わかっていた。
 まだまだ子供だと思っていたのに、いつの間にこんなに色っぽくなりやがった。 
 上気したほほ、ピンクの唇。千尋が、すっと目を閉じる。
「手をだすなよ」編集長の言葉が頭をよぎる。
 そのとき、千尋が、
「先生、千尋をペットにして、一生飼ってください」
 もう、我慢ができなかった。そのまま押し倒し、キスをする。 
 舌を絡めあうディープキス。
 キスをしながら、右手を胸に持ってゆき、そこで違和感を覚える。
「おまえ……本気なのか?」
「えへへ、今日はノーブラです。 ついでに下も履いていません」
「確信犯だな、おしおきしようか」
「はい、悪いことをしたペットに、おしおきしてください」
 オレは覚悟を決めた。一旦離れると、千尋を立たせて、服を全て脱がせた。
 脚を少し開かせて、手を後ろに組ませる。恥毛は薄く、上のほうにしかない。縦すじ1本の隙間から、わずかにピンクの肉ひだが見える。
 そして、そこは、濡れてきらきらと輝いていた。
「こうしてみると、ほんと、千尋のカラダって犯罪的だよな。もしかしてはじめて?」
「はい、最初は先生って決めていましたから。それに幼く見えても、ちゃんと20歳は超えてますから、児童福祉法違反にはなりませんよ」
「お前が言うな」
 オレは千尋の周りをぐるぐる回りながら、前から、後ろから、かがんで見あげながら、
あらゆる角度から、そのカラダを鑑賞した。
「あの、そんなにじろじろ見られると、恥ずかしいんですけど……」
「ペットは鑑賞されるものだろう? それに感じてるんじゃないのか?」
 千尋の割れ目から、すでに粘っこい液体が滴って、床に染みをつくっている。恥ずかしさを隠すため、千尋は声を張り上げた。
「ま、まだ、完全に先生のペットになった訳じゃありませんよ!」
「でも、ペットを飼う前にしっかり検分するのは当たり前じゃないのか?」
「……そうですね。わかりました。千尋を存分に検分してくだい。どうか、気に入ってください」
「ふむふむ、毛並みよし、肌艶よし、ここの反応も良好っと……」
 オレは千尋の股間を間近で鑑賞しがらつぶやいた。
 しばらくすると千尋がもじもじし始めた。
 たぶん原因はわかっているが、あえて無視して検分を続ける。
「あ、あの」
「どうした?」
「そ、その、ここへ来る前に、ちょっとコーヒー飲みすぎちゃって……」
「だから?」
「お、お、おトイレにいきたいんです! わかってるくせに、先生のいじわる!」
 予想通りだったので、オレはたぶん千尋が予想しているであろう、答えを言ってやる。
「ペットの排泄の処理をするのも、飼い主の大切な義務だな? 洗面器を持ってきてやるから、ここでしてみろ!」
「やっぱりー、だから言いたくなかったんです。あーん、漏れちゃう!」
「じゃあ、そのまま床にお漏らしするか? お漏らししたら、お仕置きだぞ。それにペットになったら、どうせ毎回オレに見られるんだ。練習だと思ってやってみろ」
「ぐ、ぐすっ、じゃあお願いします」
 オレは風呂場から洗面器をもってくると、千尋の足元に置いた。初めてのときから牡犬のように、片足を上げてさせるのは、あまりに酷だろう。
「しゃがんでいつも通りにやっていいぞ。 こぼすなよ」
「は、はい」
 意外そうな顔、残念そうな複雑な表情をしたあと、ほっとため息をついて洗面器の上にかがむ。
 もしかして、内心、牡犬ポーズを強要されることを期待していたのか?
 程無く、じょぼじょぼと、おしっこを始めた。 周りに飛ばないように気を使っているのか、オレが用をたす時より、はるかに時間がかかった。
「お、終わりました〜」
 千尋が情けない声を出したが、洗面器の上にしゃがんだまま、立ち上がろうとしない。
「おい、何してるんだ、ほら、ちんちんのポーズをしろ! 後始末してやるから」
「だ、だめっ、そんな、恥ずかしいです!」
「何を言っている。 ペットの排泄の後始末も飼い主の義務だろうが! いま社会問題にもなっているし、これが原因で、傷害事件もおきているんだぞ!」
「は、はい」
 とうとう諦めた千尋は、素直にちんちんのポーズをとった。
「ちょっと、そのまま待っていろ。 先にこっち始末してくる」
 そういうと、オレは洗面器をとりあげた。千尋が真っ赤になる。どうやら、ちんちんのポーズをとることより、出したおしっこを見られることのほうが恥ずかしかったようだ。
 オレがトイレにおしっこを流してくるまで、千尋はちんちんのポーズのまま、待っていた。オレはティッシュを数枚とると、千尋の股間を拭き始める。やさしくぬぐってやると、千尋は気持ちよさそうに、にへらっと笑った。
「なんか、その、後始末してもらうのって、恥ずかしいけど、結構気持ちいいですね」
「やみつきになるかもしれないぞ」
「やだー」

 オレは、ペット契約書を机の上に並べると、千尋にいった。
「すっきりしたことだし、そろそろ契約書にサインするか?」
「はい!」
 勢いよく返事をしてペット契約書の前に座りペンを持ったが、いざ、サインという
段階になって、千尋は固まった。
「どうした?」
「……」
 オレは千尋の後ろから、覆いかぶさるようにを座ると、耳元で囁いた。
「よーく考えて、サインしろよ。 条文を1つ1つ読みあげて、自分がどうなるのか想像して。最後まで読んで、それで納得がいったら、サインするんだ」
「……」
「ほら、読んで!」
 千尋はゆっくりと、条文をよみあげる。



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ペット契約書
 本契約は契約の自由を促進するための法律≠ノ則り、著しく公平性に欠け、且つ、
公序良俗に反する条文を含むものであることを当事者間で確認・熟慮した上で、
異議無く合意したものである。
第一条 ペット
@宮田千尋(以下、「甲」と称す)は、富山化香二(以下、「乙」と称す)のペットとなることを
申し出、乙はこれを了承した。以後、甲は、「人」でありながら、人に飼育・管理された犬猫等の
愛玩動物と同等の扱いを受け、乙の所有物(動産)とみなす。
Aペットは、衣食住のすべてにおいて、人と同じ物を使用してはならない。

第二条 資産の譲渡
 甲は、乙のペットとなるに際し、甲の所有する動産・不動産・無体財産権・知的財産権等
すべての資産を乙に譲渡し、以後、所有権の一切を放棄する。

第三条 基本的人権の放棄
@甲は、乙のペットとなるに際し、人間として最低限度の生活を営む権利等、憲法で定められた
基本的人権を放棄する。
A前項に伴い、甲は、ペットとなる日以前に取得した知識・技能・学歴・資格・人脈・身分・地位等の
既得権を、併せて放棄する。

第四条 着衣権の放棄
 甲は、乙のペットとなるに際し、自らの意思で衣類を身につける権利を永久に放棄する。
以後、甲は、乙の指示なしに一片の布も纏うことができない。また、乙より着衣の許可を得て
衣類を身につけた場合であっても、乙より別段の指示があれば、いついかなる場所であっても、
着衣の一部または全部を脱がなければならない。

第五条 ペットの義務
@甲は、乙のペットとして、従順且つ、乙を楽しませる存在であるよう努めなければならない。
A甲は、乙の命令に絶対服従する義務を負う。
B前項による乙の命令が甲をいかに辱め、肉体的・精神的苦痛を与えるものであっても、
甲は一切の異議を唱えてはならない。
C前三項の目的を果たすため、甲は乙より調教を受ける義務を負う。
D甲は、ペットの証として、常時、首輪を着ける義務を負う。

第六条 飼育者の義務
 乙は、甲を愛さなければならない。

第七条 禁則事項
 甲は、乙の許可なく、次に掲げる行為を行ってはならない。
@性交・自慰・その他、性的な快楽を得る行為
A飲食
B排尿・排便
C人の施設への立ち入り
D乙に対し、甲への調教を促し、または意見を述べる行為
E乙、及び、乙が認めた者以外との交流
F乙、及び、乙が認めた者が指示した場所以外への移動

第八条 ペットの保護
@甲は動物の愛護及び管理に関する法律≠フ適用を受ける。
A前項により、乙は特段の事由なく、甲の生命を脅かし、また、身体を傷つける行為を
行ってはならない。
B前項に関わらず、甲が本契約に違反した場合は、この限りではない。

第九条 契約の改変
@乙は、本契約を随時、任意に改変することができ、甲はそれに従わなければならない。
また、甲から改変を申し出ることはできない。
A前項により乙の成した改変は事前の通告を要せず、即日、施行される。

第十条 譲渡・貸与
 乙は、甲をペットとして他人に譲渡または貸与することができる。その際、甲乙間の権利関係は、
譲受人または借受人に引き継がれる。甲は、譲渡または貸与を拒むことができない。

第十一条 契約の破棄
 甲は、自らの意志で本契約の破棄を申し出ることができない。
 乙は、いついかなる時も、本契約を破棄することができる。

第十二条 復権の禁止
 本契約に基づき譲渡、または、放棄した権利は、いかなる理由においても回復することができない。
前条により乙が本契約を破棄した場合、及び、乙が死亡、若しくは飼育不能となった場合も
同様とする。

第十三条 施行
 本契約は、締結と同時に施行され、無期限とする。

 平成  年  月  日

甲              印

乙  富山 香二       印

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 千尋は、途中つっかえながらも、ペット契約書を読み上げて「はぁっ」と大きなため息をついた。
「ほら、後は千尋がサインするだけだよ」
「これにサインしたら、私は人間じゃなくなっちゃうんですね」
「そうだよ、千尋はオレのペット、所有物になるんだ」
「私、どうしたらいいんでしょうか?」
「難しいことはないよ。千尋はオレの望むペットになって、オレを楽しませることと、オレに愛されることだけを、考えたらいいんだ」
「先生の、いえ、ご主人様の望むペットでどんなものですか?」
「オレは、千尋を牝犬に調教したい。 24時間常に発情し、いつでも、どこでも交尾をねだる様な淫乱な牝犬にして、皆に見せびらかしたい」
「……淫乱な牝犬……」
「そうだ、だから千尋には、まず犬そのものの生活をしてもらう。歩き方、吼え方、餌の食べ方、排泄の仕方、芸とか、犬の動作を徹底的に刷り込む。もちろん、全て4つ足で行うんだ。
 2本足で立つ犬なんていないからな。それから指を使うのも一切禁止だ。
 それらの動作が自然に行えるようになるまで、何度でも繰り返すぞ。でもあまりに覚えの悪い犬にはお仕置きをするしかないな。どうしても2本足で立とうとしたり、指を使おうとしたりしたら、鞭で叩いたりするが、それでも覚えられなければ、手足を切らなきゃならない。
 でも、オレは千尋の綺麗なカラダを傷つけることはしたくないし、足を切ったら、千尋の大好きな、最も恥ずかしいちんちんのポーズが出来なくなってしまうからな」
「はい、ご主人様。千尋は一生懸命犬になります」
「あと、もちろん判っているとは思うが、服は一切着せないぞ。オレは、いつでもどこでも千尋の綺麗なカラダを見ていたい。だけどそれだけじゃ勿体ない。すばらしい芸術品は、より多くの人に見てもらったほうがいい。それにオレは千尋のカラダを皆に自慢したいんだ。見せびらかして、皆にうらやましがられたいんだ。オレはこんなすばらしい宝物を持ってるんだ、これに触れることのできるのは、オレだけなんだって宣言したいんだよ」
「ああ、千尋は犬になった姿を大勢の人に見られるんですね」
 千尋は、うっとりした表情でつぶやいた。
「そうだよ。 皆にちゃんと飼い犬だってわかるように首輪をしなきゃいけないな。野良犬だったら、誰かにすぐ拾われてしまうからな」
「首輪をするんですね?」
「だけど普通の首輪じゃだめなんだ。永久首輪でないと、万が一千尋が盗まれて別の首輪に付け替えられて、野良犬だったから拾った、って言われたら反論できないだろう?」
「永久首輪?」
「一度嵌めたら、一生はずすことのできない首輪だよ。 昔、奴隷に嵌めたやつは分厚い鉄製で、留め金に焼いたピンを通して固めてしまうんだ。ピンをはずすにはもう一度ピンを焼いてやわらかくしなきゃいけないが、首ごと火で炙るなんてできないから、永久首輪だったんだ」
「千尋にも、それを嵌めるのですか?」
「今は技術が発達しているから、多少手間はかかるが、その程度の首輪なら十分はずせる。でも、今はもっと凄いのが出来ているから、それを嵌めるつもりだよ」
「どんな首輪ですか?」
「特殊なステンレスの素材にセラミックをコーティングしてあるから、ダイアモンドカッターでも刃がたたない。留め金部分に金属用の特殊な接着材を流し込んで固定するんだ。どんな機械を使っても、永久にはずすことはできないよ。それに千尋の名前と飼い主のオレの名前をしっかり刻印するから、千尋が永久にオレのものだってことが判る。だから、外で放し飼いにしていても盗まれることはないよ」
「千尋は放し飼いにされるのはイヤです。ずっとご主人様のそばに居たい」
 千尋は不安そうに尋ねた。
「いや、今のは言葉の綾で、放し飼いにはしないよ。でも、飼い主の義務として散歩はさせなきゃいけない。それから、トイレの躾も必要だね」
「散歩に連れていかれるのですか?」
「当然だよ。散歩は千尋のお披露目も兼ねているんだ。皆に千尋を見せびらかすんだよ。電信柱におしっこしでマーキングしたり、ウンチを出すところ、芸をするところを全部みてもらう」
「皆におしっこやウンチを見られるのですか?」
「そうだ、うれしいだろう?」
「…… でも、恥ずかしいです」
「恥ずかしい、という感情は、自分が他人とは違う、と認識するから起こるんだ。人間は、集団社会で生きる動物だ。そのなかでうまくやっていくためには、皆と同じように行動しなければならない。それから外れる行動をとったら、集団のなかでやっていけなくなるから、本能が恥ずかしい、という感情で警告を出すんだ。でも千尋は、もう人間じゃないから、皆の前でおしっこやウンチを見られても、あたりまえだろう? 犬がおしっこやウンチを見られて、恥ずかしいとは思わないだろう。逆に、本物の犬のように、うまく芸やおしっこやウンチができないことを恥ずかしい、と思わなきゃ」
「……」
「例えば、ここに誰よりも歌のうまい人とへたな人がいる。二人が歌を披露したとき、比べられたら、下手な人はやっぱり恥ずかしいよね。でもうまい人は、皆に自分の歌をもっと聴いて欲しい、そして喝采を浴びて気持ちよくなりたい、と思っているはずだ。だから、千尋も、がんばって "私はこんなに犬のしぐさや芸をうまくできるようになったのだから、皆に見て欲しい、そして褒めて欲しい" といつも思うようにするんだ。そうしたら、うまくできた時快感を感じるようになる。最初はなかなかうまくできないだろうから、恥ずかしいという気持ちが、快感よりも強いだろう。でもがんばって、だんだんうまく出来るようになって自信がついてきたら、もっと見てもらいたい、と思うようになる。そうすればもっと気持ちよくなれるから……」
「がんばって牝犬になれば、千尋はもっと気持ちよくなれますか?」
「もちろんだ、オレはそんな千尋が大好きだよ。 全身全霊で愛するよ。もし千尋に危害を加えようとする者がいたら絶対に許さない。だから、安心してオレに全てをゆだねて欲しい」
 千尋はすでにトランス状態に落ちいっていた。ここで、オレに対する絶対的な信頼感を
刷り込めば、千尋はオレの言うことを、どんなことでも聞くようになる。
「ほら、第七条に、ペットの禁止事項、というのがあるだろう。でもこれは、本当は禁止事項じゃなくて、飼い主の管理義務なんだ。食事や排泄を禁止してしまったら、千尋は生きてゆけなくなる。だから、千尋がペットとして生きてゆくのに必要なことを、主人であるオレが全て管理しなきゃいけないって事なんだよ。千尋は、生きるのに必要な全てのことを一生オレに管理されるんだ。うれしいだろう?」
「はい、うれしいです……」
「それに、オレは千尋を手放すつもりはないし、もちろん契約破棄もするつもりもないから……。千尋が、完全に牝犬のしぐさと芸をマスターしたら、お披露目をしよう。皆の前で牡犬と交尾するんだ。千尋は、立派な牝犬になりましたって、牡犬と交尾して、皆の前でイケるようになりました、って報告するんだ。皆びっくりして大喝采するぞ。凄いだろうな。今から楽しみだ。 でもそうなるには、オレが千尋を厳しく調教してやらないとな」
「ご主人様、よろしくお願いいたします」
「それと、さっき第九条と、この第十二条、どっちが優先するか?って言っていたけど、それの答えを出そうか。オレは第九条をつかって、この第十二条を変えようと思っている。どう、変えるつもりか判るかい?」
「あ、あの、千尋のお願いを聞いてもらっていいですか?」
「何かな?」
「第十二条を、第九条の適応外にして欲しいんです。人に戻る可能性を完全にゼロにしてください」
「千尋はやっぱり、オレの思っていた通りのペットだ」
 オレは千尋の頭をなでてやってから、言った。
「さあ、そろそろサインしようか」
「はい」
 千尋は、ペンをとると、甲の欄に「宮田 千尋」とサインを入れた。
「後は、印鑑が必要だけど、まあ、契約成立だ」
「はい」
「じゃあ、早速四つんばいになって、お尻をこっちに向けるんだ。たとえ初めてでも、牝犬は後ろから犯されるのが、あたりまえだろう?」
 千尋は言われた通り、お尻をオレのほうに向け、脚を開くと、頭を床につけた。
 ご自由にお使いください、と千尋の性器と肛門が目の前にさらされる。
「よろしくお願いします、ご主人様。千尋が立派な牝犬になれるよう、きびしく躾けてください」

****************************

「と、こんな感じのストーリーでどうだ?」
「先生、さすがですね。今の話、原稿にできるまで、どのくらいかかります?」
「締め切り間近の仕上げに2日、……短編だし、それから1週間か、そこらだろ?」
「じゃあ、10日あればいいですね。 そのころ、またお邪魔しますね」

 10日後、千尋がスーツを着た女性と共に、ペット契約書を持って現れた。
 その後ろには、顔を真っ赤にした初老の紳士と、明らかにボディガードとわかる禿頭の巨漢。
「はじめまして、 私、弁護士の佐藤洋子と申します」
「貴様、人の娘になんてことを!!!」
「先生、私の父です」
「千尋! お前、まさか、本当にあの契約書を施行したのか?」
「はい、弁護士さんと専門家の承認も頂いていますから、千尋はもう、法的には先生のペットです。これからは、私をモデルにしてエッチ小説をたくさん書いてくださいね! ワン!」

第十三条 施行
 本契約は、締結と同時に施行され、無期限とする。

平成 ○○年 △月 XX日
 甲  宮田 千尋                  印
 乙  富山 香二                  印
書類作成および証人  弁護士        佐藤 洋子    印
承認            心理カウンセラー  河西 涼子     印

                             (終わり)


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