エンディングB.カミングアウトすることを約束する
「だ、だめよ。できないわ」 「どうしてもだめですか。それなら奈緒先生の画像やデータを実名で、インターネットで公開します。リベンジポルノってやつですね」 「そんなことをしたらあなたも破滅よ!」 「そうはなりませんよ。公開するのは奈緒先生だけが写っているものだけです。それにあの他校の野球部の子たちにも被害が及ぶんじゃないですか?」 「ど、どうしてそれを・・・」 「実家に帰るっていっていたのに、他校の生徒達と歩いているのを見かけたので、こっそり後をつけたんです。窓からの隠し撮りなんでアングルが微妙なんですが、奈緒先生だってことはわかります。生徒のほうの顔はうまく撮れませんでしたが、学校名と野球部員であることを公表すれば、皆が勝手に特定してくれますよ」 「そ、そんな・・・」 「すべては奈緒先生が一人で勝手にやったことにして、カミングアウトすればいいんですよ。奈緒先生、あなたは普通の女に戻ることはできません。伊藤先生と結婚してもいずれ先生の性癖で大きな迷惑をかけることになります。もう奈緒先生はこうしたアダルトの世界でいきてゆくしかないんですよ」 自分でも薄々わかっていたが、改めて指摘されると胸にささる。 マカオであの特別ショーに参加したとき、ものすごく充実していた。ずっとここにいたい、とさえ思った。ホテルの支配人は、その私の気持ちを見抜いたかのように、ずっと滞在してショーに出て欲しい、と言っていた。
「奈緒先生は今、中途半端なんですよ。普通の女に未練がありながらも変態露出狂であることを辞められない。でももう、どちらか1つを選ばなきゃいけないんです。このままでは僕達や伊藤先生、その他関係する全ての人達に迷惑をかけてしまう。言ってみれば僕達も伊藤先生もあの高校生達もみんな奈緒先生の露出癖の被害者なんです。だからカミングアウトして過去に決別するんです。自らの手で決着をつけるんですよ。もしかして、あなたはもう本当の自分の居場所を見つけたんじゃないですか?」
そうだ、浩介君の言うとおりだ。私のせいで、皆が世間から後ろ指をさされるようになってしまう。もう此処にはいられない。やっぱりマカオに行こう。 「そうね、浩介君の言うとおりよね。私が浩介君を、みんなを巻き込んだのがいけなかったんだわ。それに浩介君が指摘したとおり、私は自分の居場所を見つけたの。でも全てを捨ててそこに行く勇気がなかったの。でもこれで決心がついたわ。やっぱり自分自身で決着をつけなくちゃね・・・」 奈緒先生は卒業式にカミングアウトすることを約束したので、僕は家に帰った。 もし、土壇場で約束を破ったらネットに写真やデータを公開すると言っておいたので間違いはないだろうが、念のため公開用のデータを準備しておくことにした。 パソコンを立ち上げて、久しぶりに古い順に見てゆき、よさそうなものをピックアップしてゆく。それを見ながら今までのことを色々と思い出していた。そうするうちに今までの猛々しい気持ちが醒めてきた。本当は何がしたかったのだろうか? 僕は奈緒先生に最もらしいこと言ったけど、本音は伊藤先生には渡したくなかっただけじゃないのか?自分のものにならないのであれば、誰にも独占させない。そのためだけにカミングアウトさせようとしたんじゃないのか? やっぱりやめよう。今まで通りでいいじゃないか。秘密倶楽部は解散して、僕だけ奈緒先生とこっそり付き合えばいいんだ。20歳を超えれば親が反対しても、法律上は結婚できる。あと3年、がんばって勉強もしよう。学生結婚して最初は奈緒先生に食べさせてもらわなければいけないけれど、なんとかいい会社に就職して奈緒先生と幸せになるんだ。だから・・・。 僕は奈緒先生に電話して、もう一度直接話しがしたい、と頼んだ。
浩介君から電話があった。もう一度話しがしたいというので、部屋に呼んだ。 彼は先ほどの発言を撤回して、秘密倶楽部を解散するかわりに、伊藤先生と結婚せずにずっと自分と付き合ってほしいと言ってきた。私との結婚も考えているという。 ああ、やっぱり子供なのだな、と改めて思った。こんな子供を自分の性癖でゆがめてしまったことを後悔した。やはり自分で決着をつけなければならない。 ここで自分の本心を話してしまうと、浩介君を傷つけ、自暴自棄になってしまう恐れがあるので、彼の言っていることに従うフリをした。 「わかったわ。伊藤先生とは結婚しないし、別れます。それに浩介君とのお付き合いも真剣に考えてみます。そのかわり条件があります。今までのデータや写真をすべて消去してください。万が一にも洩れたら結婚どころか浩介君とのお付き合いができなくなってしまうから・・・。これだけは約束してください。野外露出についてはできるだけ我慢してみます。どうしても我慢できなくなったら浩介君がつきあってね・・・」
これで浩介君はおとなしくしていてくれるだろう。あとは伊藤先生とのことだが、いまさら本心を告げることもできない。卒業式でカミングアウトすれば、婚約解消は確実だし、恥をかかせることになるが許してもらうしかないだろう・・・。 それから野外露出の衝動もなんとか押さえ込み、卒業式までは大きな事件もなく平穏に過ぎた。
卒業式の当日、卒業証書授与の前に、私は退職の挨拶を全校生徒の前ですることになっていた。一応、伊藤先生と結婚を前提に付き合っていることも報告したが、まだ婚約もしていないので内密にしておいてくれるよう頼んだのだが、あっという間に噂が広まってしまい、結局卒業式のあとクラスの皆がお祝いパーティーを開いてくれることになった。卒業式には伊藤先生のご両親もみえることになっており、今晩正式な顔合わせが予定されていた。
「ここで皆さんにお知らせがあります。誠に残念ですが上野先生が本日付けで退職されることになりました。ご存知にかたもいらっしゃると思いますが上野先生は伊藤先生とご結婚される予定です。それでは上野先生ご挨拶をどうぞ!」
私は舞台中央に進み出て、マイクに向かって喋り始めた。 「皆さん、上野奈緒です。この度一身上の理由で退職することになりました。実は私は皆さんに謝らなければならないことがあります。私は今までずっと世間体を気にして、自分を偽って生きてきました。でももう限界です。これ以上自分を偽ることはできません」 いったんここで言葉を切り、深呼吸し体育館の中を見渡した。みんな私が何を言い出したのか理解できないようだ。 そして私は今までの自分への決別の言葉を口にした。 「私は変態の露出狂なんです。裸になるのが好きです。恥ずかしい姿を見られるのはもっと好きです。いまからその証拠をお見せします」 私はスカートのホックをはずし脱ぎ落とす。ノーパンの下半身がむき出しになる。 「ご覧の通り、私は常にノーパンです。それは何時でも、何処でも、誰にでもオマンコを見てもらえるようにするためです」 私はブラウスを脱ぎ落とす。 「今日はブラをつけていますがいつもはノーブラです。ノーブラで歩くと乳首が服に擦れて凄く気持ちいいんです」 ブラをはずして下に落とし、オッパイを両手で持ち上げて乳首を突き出す。 「ほら、乳首がたっているでしょう?こうなるとノーブラだってまわりにすぐばれちゃうんです。そうすると皆の視線が私の胸に集まるのがわかるんです。それが凄く気持ちいいの・・・」 皆あっけに取られて固まってしまっている。 私は全裸になり、脚を肩幅まで開くとオナニーを始めた。 「奈緒のオナニーをご覧になってください!ああっ気持ちいい!」 ようやく我に返った伊藤先生が自分の上着を手に持って私のほうに駆け寄ってくるのがスローモーションのように見える。 「ああ、見られてる、全校生徒に、父兄に、皆に奈緒のオナニー見られている!いい、 いい、イイッ、イク、イク、イクー!!」
卒業式が大混乱になっている。これで私はもう普通の女のは戻れない。 そのことが私をさらに興奮させる。どれほどかん口令を敷こうと人々は噂する。 あの高校の卒業式で女教師がストリップを行った、と。皆、私の素性を暴こうとするだろう。両親には申し訳ないが、私はこういう女だったのだ。 もう、日本ではまともな職業につくことは出来ないだろう。AV女優になるか、風俗で働くか、それとも・・・。でもこれでいい、これで私は心置きなく自分の居場所に行くことができる。私は遠くなる意識の中で、ずっとそんなことを考え続けていた。
結局、卒業式は延期になった。奈緒先生は伊藤先生に連れて行かれたが、二人とも戻ってこなかった。翌日実施された卒業式にも伊藤先生の姿はなかった。 新学期が始まって、奈緒先生は当然としても、伊藤先生も学校に出てこず、1週間ほどして担任より退職したことが伝えられた。 卒業式の件は厳重なかん口令が敷かれ、教師も生徒達も奈緒先生など最初からこの学校にいなかったかの様にふるまった。 志村や加藤とは友達として普通に付き合ったが、秘密倶楽部のことは一回だけ話をしただけで一切口にしなかった。その一回とはデータと写真のことだった。 「おい、あれ、完全に始末しただろうな?」 「ああ、もちろんだ」 これだけだった。 一年経ち、僕達も卒業式を迎えた。 皆、去年の卒業式で何があったのかは覚えていたが誰も何も言わなかった。 僕と志村は地元の同じ大学に通うことになったが、他の連中とは別々になった。 担任の坂口は紗倉真奈と婚約した。付き合っていたのは本当だったらしい。 後で聞いたことだが、実は二人は幼馴染で親公認だったのだ。 ようやく大学にもなれたころ僕にエアメールが届いた。マカオのホテルからのダイレクトメール。差出人は書いていなかったが奈緒先生からだと直感した。 入っていたのはメモとホテル施設案内のDVD。 メモには"大人になったら会いにきてください"とだけあった。 このホテルで働いている、と言うことなのだろうか? DVD再生してみると5分ほどの英語での施設案内の後、急に画面が変わった。 劇場のようだ。舞台袖より黒い全頭マスクに全身黒いウエットスーツのようなものを着た女性が四つんばいで出てきた。女性とわかったのは胸の部分がくりぬかれ、そこから乳房が飛び出ていたからだ。乳首には金色に光るものがついていた。ピアスのようだった。性奴隷にボディピアスやタトゥーを入れるのはよくあることだ。 赤いボンデージ衣装を着たトップレスの女性がリードを持っている。この女性がショートの黒髪だったこともあり、最初この女性が奈緒先生ではないか、と顔を確認しようと目を凝らしていた。なんとなく似ているがどうやら奈緒先生ではないらしい。 ではこの四つんばいのほうか、と思って改めてその女性を見ていて異様なことに気がついた。手足が短すぎるのだ。接地している先端の形もおかしい。まるで肘と膝から先が無いように見えるのだ。 まさか、まさか、まさか!とんでもない想像が頭の中をぐるぐる回る。 画面から目が離せない。そのうち四つんばいの女性がカメラのほうにお尻を向けた。 カメラが女性に接近していって、ようやくトリックがわかった。 肘と膝を折りたたんだ状態でそれぞれ袋に入れられて、さらに伸ばせないようにベルトできつく締めげられているのだ。それで肘と膝から先が無いように見えたのだ。 カメラが後ろから女性の股間をアップにする。股間部分もくり抜かれており黒い丸いものが縦に二つならんでいる。と、赤いボンデージの女性がその2つに手をかけて引っ張りはじめた。「うへっ!」と思わずうめき声をあげてしまった。 500mmlのペットボトルと同じくらいの太さのディルドーがアナルとオマンコから引きずりだされる。長さ20cmはあっただろう。引き抜かれたあとは2つの穴ともぽっかりと口を開けたままになっている。オマンコにも両方の肉びらに金色のリング状ピアスが付いていた。 大きく開いたオマンコとアナルに赤いボンデージの女性の両手がねじ込まれる。 カメラが全頭マスクの女性の正面に回り、マスク頭を写す。ふいに全頭マスクが剥ぎ取られ、現れた顔はやはり奈緒先生だった。両腕でフィストファックをされながら、苦痛を感じるどころか悦楽に浸った表情を浮かべていた。 場面が変わり、奈緒先生は手足の拘束ベルトをはずされ全裸にされて、よつんばいにされていた。赤いボンデージの女性が奈緒先生の首を抱きながら何かを囁いている。 奈緒先生は何度も肯いている。そこへ仮面をつけた男性が大きな犬を連れてやってきた。ボンデージの女性が犬の股間に手をやり、ペニスをしごき立てる。準備ができた犬はすぐに奈緒先生にマウントするとものすごい勢いで腰を振り始めた。ボンデージの女性はペニスが抜け落ちないよう、フォローしながらも奈緒先生に囁き続けた。 奈緒先生が大きく首を立てに振った。やがて犬がくるりと後ろを向いて奈緒先生とお尻を付け合う形になる。犬の射精が始まったのだろう。奈緒先生と犬は硬直したように動かなくなった。 ボンデージの女性は奈緒先生に再び囁き、奈緒先生は首を何度も縦に振った。 ボンデージの女性が会場に向かって何か叫ぶと一斉に拍手が沸き起こった。 再び場面が変わり、奈緒先生は全裸で上から吊るされていた。両腕に黒い拘束具をつけられ、それを繋ぐチェーンをフックで引っ掛けられていた。 ボンデージの女性が奈緒先生の膝上10cmくらいに所に両脚ともマジックで線をぐるりと引いた。仮面をつけた男性が何事か客席に向かってマイクで喋っている。カメラが客席のほうを向くと、客が丸い番号札を上げ下げしている。 この光景は見たことがある。オークションだ。奈緒先生をオークションに賭けているんだ!だが、太腿に引いた線は何の意味があるのだろう?そこまで考えて胃のあたりが冷たくなった。まさか!!先ほどの自分の勘違いが思い出される。 その時拍手が沸き起こった。落札者が決まったのだろう。白い民族衣装を着た中東人と思われる男がステージに上がってきた。奈緒先生の脚をなでながら話しかけている。 奈緒先生はにっこり笑いながら肯いていた。 また、場面が変わる。ストレッチャーで運ばれる奈緒先生。その先にオペルームの文字が見える。オペルームに入る直前、奈緒先生はカメラに向かって言った。 "大人になったらいつか会いにきてください" オペルームのドアが閉まり、オペ中のランプが点灯する。映像はそこで終わっていた。 僕はしばらくの間、画像の消えた画面を見つめていた。あの卒業式の後、僕はいつか奈緒先生が僕のもとに帰ってきてくれると心のどこかでずっと思っていた。 でもあの日、奈緒先生は僕から卒業して、自分の居場所に旅立っていったことを僕はようやく悟った。 僕が奈緒先生に会いに行くことはないだろう。でもそれでいい。 なぜなら最後に画像で見た奈緒先生の表情はとても満ち足りていたから・・・。 「さようなら、奈緒先生」
(エンディングB 終わり)
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