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投稿日 | : 2025/06/15(Sun) 05:02 |
投稿者 | : ベンジー |
参照先 | : http://www.benjee.org |
件名 | : 最終話「また会う日まで、勇者さま!」 |
投稿日 | : 2025/06/26(Thu) 05:26 |
投稿者 | : ベンジー |
参照先 | : http://www.benjee.org |
最終話「また会う日まで、勇者さま!」
「――ミリアさん!」
薄れゆく空の彼方から、誰かの声が聞こえた。耳の奥に残る優しい呼びかけ。それにミリアは微笑みながら、指先を伸ばす。
「バカだなあ、あたし……勇者のこと、けっこう好きになってたんだよね」
フィーフィが慌ててミリアの頭上を飛び回る。絶対防御結界を張りっぱなしにしたまま、泣きそうな声で叫んだ。
「お願い、ミリア! あとちょっとで、元の場所に戻れるんだから!」
「うん、わかってるよ。でも、ちゃんとバイバイって言わないと……あたし、未練タラタラになっちゃいそうだから」
ミリアの視線の先、そこには、瓦礫の中から必死に立ち上がろうとする勇者――レオナルド・ヴァレンシュタインの姿があった。血に染まったマント、折れた剣、傷だらけの顔……それでも、彼はミリアの名を呼び続けている。
「さよなら、レオくん! あたし、また違う世界でイチャイチャできるように、がんばるからさっ!」
天使のような笑顔で、ミリアは手を振る。
その瞬間、世界の中心にひび割れが走った。ミリアの背後に現れる、黄金色の魔法陣。空間を断ち割るように、眩しい光が彼女を包み込む。
「ちょ、まってぇええ!! お別れ前にもう一回くらいお色気イベントやらせてええええっ!!」
最後までブレないミリアに、フィーフィがツッコミを入れながら一緒に光の中へ消えていく――
---
世界は、静けさを取り戻していた。
魔王軍は壊滅し、異界の裂け目は閉じた。
勇者レオナルドは、傷ついた身体を引きずりながら、その場所に立ち尽くす。
「また……会えるのか?」
空に問いかけるように呟いたそのとき、どこからか、軽快な声が聞こえてきた。
『ちょっとそこの美形勇者くーん! あたしがいなくて寂しかったでしょ?』
「……!」
振り返っても誰もいない。でも、たしかに、あの声が聞こえた。
レオはそっと笑った。そして、自分の胸の奥を優しく叩く。
「……うるさい女だったな」
そう言って、空を見上げる。そこには、どこまでも広がる青空――
---
### エピローグ「そしてまた、どこかの世界で」
どこかの世界、どこかの村。
「ふぁあああ……お腹すいた~。フィーフィ、次のクエストは~?」
「ええと、山の奥にいる触手モンスターの討伐で――」
「それ絶対お色気イベントじゃん!」
「やめなさーいっ!!」
今日も元気な転生少女・ミリアの冒険は――まだまだ続く!
\To Be Continued?/
---
「――ミリアさん!」
薄れゆく空の彼方から、誰かの声が聞こえた。耳の奥に残る優しい呼びかけ。それにミリアは微笑みながら、指先を伸ばす。
「バカだなあ、あたし……勇者のこと、けっこう好きになってたんだよね」
フィーフィが慌ててミリアの頭上を飛び回る。絶対防御結界を張りっぱなしにしたまま、泣きそうな声で叫んだ。
「お願い、ミリア! あとちょっとで、元の場所に戻れるんだから!」
「うん、わかってるよ。でも、ちゃんとバイバイって言わないと……あたし、未練タラタラになっちゃいそうだから」
ミリアの視線の先、そこには、瓦礫の中から必死に立ち上がろうとする勇者――レオナルド・ヴァレンシュタインの姿があった。血に染まったマント、折れた剣、傷だらけの顔……それでも、彼はミリアの名を呼び続けている。
「さよなら、レオくん! あたし、また違う世界でイチャイチャできるように、がんばるからさっ!」
天使のような笑顔で、ミリアは手を振る。
その瞬間、世界の中心にひび割れが走った。ミリアの背後に現れる、黄金色の魔法陣。空間を断ち割るように、眩しい光が彼女を包み込む。
「ちょ、まってぇええ!! お別れ前にもう一回くらいお色気イベントやらせてええええっ!!」
最後までブレないミリアに、フィーフィがツッコミを入れながら一緒に光の中へ消えていく――
---
世界は、静けさを取り戻していた。
魔王軍は壊滅し、異界の裂け目は閉じた。
勇者レオナルドは、傷ついた身体を引きずりながら、その場所に立ち尽くす。
「また……会えるのか?」
空に問いかけるように呟いたそのとき、どこからか、軽快な声が聞こえてきた。
『ちょっとそこの美形勇者くーん! あたしがいなくて寂しかったでしょ?』
「……!」
振り返っても誰もいない。でも、たしかに、あの声が聞こえた。
レオはそっと笑った。そして、自分の胸の奥を優しく叩く。
「……うるさい女だったな」
そう言って、空を見上げる。そこには、どこまでも広がる青空――
---
### エピローグ「そしてまた、どこかの世界で」
どこかの世界、どこかの村。
「ふぁあああ……お腹すいた~。フィーフィ、次のクエストは~?」
「ええと、山の奥にいる触手モンスターの討伐で――」
「それ絶対お色気イベントじゃん!」
「やめなさーいっ!!」
今日も元気な転生少女・ミリアの冒険は――まだまだ続く!
\To Be Continued?/
---
件名 | : 第三十八話「ふたりの転生者」** |
投稿日 | : 2025/06/26(Thu) 05:25 |
投稿者 | : ベンジー |
参照先 | : http://www.benjee.org |
第三十八話「ふたりの転生者」**
「あんたも転生者って、どゆこと!? しかも魔王になってるし!? え!? 転生者が魔王になってもいいの!? ズルくない!?」
「お前が勇者っぽい行動してるのも同じことだろう……」
魔王の声には、どこか諦めと苦笑が混じっていた。
静かに、魔王は語りはじめた。
かつての名前は「斉藤 創(さいとう はじめ)」。
現代日本に生きる平凡な青年だったという。
「……あの世界で、誰からも期待されず、ただ“無”のように生きてた。ある日、目が覚めたらこの世界で……“勇者として選ばれなかった者”だった」
ミリアはじっと耳を傾ける。
「でも、俺は気づいた。この世界にも矛盾や不平等はある。『正義の側』に立つことが、必ずしも人々を救うことじゃないってな。だから、俺は“魔王”を選んだ」
「うわ……なんか厨二すぎて、ちょっとカッコいいじゃん……」
ぽそっと呟くミリアに、クラウディアが肘で小突く。
「真面目な話してる時に茶化さないで」
「ごめんってば!」
それでも、空気は重たくならなかった。
魔王(斉藤)は、ミリアの顔をしっかりと見据えて言った。
「お前は、どうする。俺を倒せば、“正義”は勝つかもしれない。でも、それだけじゃ何も変わらないぞ?」
ミリアは、口を噤んだ。
フィーフィがそっと肩に降りる。
「ミリア……あのね。ひとつだけ、まだ伝えてないことがあるの」
「え?」
「ミリアの“チートスキル”のこと。本当に、ずっと……忘れてて……」
「おい。忘れてたんかいッ!!?」
恒例のツッコミとともに、空気が和らぐ。
「その力はね……“自分で選んだ結末に、世界を上書きできる”っていう能力」
「えっ、それって――チートっていうか、ズルすぎない!? 世界の脚本家じゃん!」
「でも、発動するには、たった一度きり。“絶対に自分が信じる未来”を選ばなきゃいけない」
ミリアは目を閉じた。思い返すのは、クラウディアとの旅。フィーフィとの出会い。ギルド。勇者レオナルド。
この世界で過ごした、たくさんの「楽しい」「くだらない」「でも大切な」日々。
そして――
「うん、決めた!」
ぱっと目を開けたミリアが、にかっと笑う。
「この世界、魔王がいるからヤバいって言うけど、あんたが魔王なら――そんなに悪くないかもって思えた!」
「……何?」
「だったら、倒すんじゃなくて、共に世界を変えようよ!」
空に一筋の光が差し込んだ。
その光がミリアの手から溢れ、空中に魔法陣を描く。
世界の書き換えが、始まる。
「いっけぇえええええええええええっ!! 《スーパーウルトラ世界再構成☆ミリア式Ver.1.0》!!」
「なにその魔法名ッ!?」
「わたしが名付けた!」
叫びと共に、世界は、光に包まれた――。
---
次回、**最終話!**
ミリアが選んだ未来、その結末とは!?
そして、すべてが終わった後の「日常」へと――!
「あんたも転生者って、どゆこと!? しかも魔王になってるし!? え!? 転生者が魔王になってもいいの!? ズルくない!?」
「お前が勇者っぽい行動してるのも同じことだろう……」
魔王の声には、どこか諦めと苦笑が混じっていた。
静かに、魔王は語りはじめた。
かつての名前は「斉藤 創(さいとう はじめ)」。
現代日本に生きる平凡な青年だったという。
「……あの世界で、誰からも期待されず、ただ“無”のように生きてた。ある日、目が覚めたらこの世界で……“勇者として選ばれなかった者”だった」
ミリアはじっと耳を傾ける。
「でも、俺は気づいた。この世界にも矛盾や不平等はある。『正義の側』に立つことが、必ずしも人々を救うことじゃないってな。だから、俺は“魔王”を選んだ」
「うわ……なんか厨二すぎて、ちょっとカッコいいじゃん……」
ぽそっと呟くミリアに、クラウディアが肘で小突く。
「真面目な話してる時に茶化さないで」
「ごめんってば!」
それでも、空気は重たくならなかった。
魔王(斉藤)は、ミリアの顔をしっかりと見据えて言った。
「お前は、どうする。俺を倒せば、“正義”は勝つかもしれない。でも、それだけじゃ何も変わらないぞ?」
ミリアは、口を噤んだ。
フィーフィがそっと肩に降りる。
「ミリア……あのね。ひとつだけ、まだ伝えてないことがあるの」
「え?」
「ミリアの“チートスキル”のこと。本当に、ずっと……忘れてて……」
「おい。忘れてたんかいッ!!?」
恒例のツッコミとともに、空気が和らぐ。
「その力はね……“自分で選んだ結末に、世界を上書きできる”っていう能力」
「えっ、それって――チートっていうか、ズルすぎない!? 世界の脚本家じゃん!」
「でも、発動するには、たった一度きり。“絶対に自分が信じる未来”を選ばなきゃいけない」
ミリアは目を閉じた。思い返すのは、クラウディアとの旅。フィーフィとの出会い。ギルド。勇者レオナルド。
この世界で過ごした、たくさんの「楽しい」「くだらない」「でも大切な」日々。
そして――
「うん、決めた!」
ぱっと目を開けたミリアが、にかっと笑う。
「この世界、魔王がいるからヤバいって言うけど、あんたが魔王なら――そんなに悪くないかもって思えた!」
「……何?」
「だったら、倒すんじゃなくて、共に世界を変えようよ!」
空に一筋の光が差し込んだ。
その光がミリアの手から溢れ、空中に魔法陣を描く。
世界の書き換えが、始まる。
「いっけぇえええええええええええっ!! 《スーパーウルトラ世界再構成☆ミリア式Ver.1.0》!!」
「なにその魔法名ッ!?」
「わたしが名付けた!」
叫びと共に、世界は、光に包まれた――。
---
次回、**最終話!**
ミリアが選んだ未来、その結末とは!?
そして、すべてが終わった後の「日常」へと――!
件名 | : 第三十七話「終焉と再生――ミリアの選択」** |
投稿日 | : 2025/06/26(Thu) 05:23 |
投稿者 | : ベンジー |
参照先 | : http://www.benjee.org |
第三十七話「終焉と再生――ミリアの選択」**
空が割れる。大地が軋む。
魔王とミリアの力の衝突は、周囲の風景すら塗り替えていた。
魔王の放つ漆黒の力が、まるで世界の意志をねじ伏せるように広がり、ミリアは光翼を翻してその全てを受け止めていた。
「――っ、くぅ! やばっ……ちょっと想像以上に強すぎ!」
「ミリア! 無理しないで! フィーフィの防御を最大にするから――!」
フィーフィの結界が再び展開される。だが、その光すら魔王の闇に押され始めていた。
「そう、これが……この世界の“闇”そのものだ」
魔王が低く呟く。
「お前が愛したというこの世界には、欺瞞、差別、欲望、戦争、そして絶望が満ちている……! それでも――それでも守るというのか?」
「当然っ!」
ミリアが叫ぶ。その声に、力が宿る。
「わたし、知ってるよ。この世界に“ダメなところ”があるって。でも、だからって全部壊していい理由になんてならないよ!」
彼女の手に、光の剣が形成される。前世の妄想がそのまま具現化されたような、異世界の神器――名前はもちろん……
「《エクス☆カリバーン・オブ・ラグナロク∞(無限)》!!」
(※命名:厨二脳100%)
「うわ、名前長すぎて笑うしかないわ……」
クラウディアが絶句。
「いっけぇえええええええっ!!」
ミリアが跳ぶ。
魔王も迎撃する。
剣と爪がぶつかり、光と闇が弾ける。
――だが、その瞬間、ミリアの胸に何かが走った。
(あれ……なんか、懐かしい……?)
魔王の顔が、どこかで見たような……いや、知らないはずの感情が、湧き上がる。
(この感じ……まさか)
ミリアは、斬撃を止めた。
「ちょっと待って! あなた、本当に“魔王”なの?」
魔王の瞳が揺れる。
「……気づいたか。いや、そうだな……“思い出した”と言うべきか」
魔王の姿が、ほんの少し変化する。
角が折れ、禍々しさがやわらぎ、どこか人間に近い姿へ――
「私は……お前と同じ“転生者”だ」
「えええええええええええええ!?!?!?」
ミリアの絶叫が空に響いた。
---
空が割れる。大地が軋む。
魔王とミリアの力の衝突は、周囲の風景すら塗り替えていた。
魔王の放つ漆黒の力が、まるで世界の意志をねじ伏せるように広がり、ミリアは光翼を翻してその全てを受け止めていた。
「――っ、くぅ! やばっ……ちょっと想像以上に強すぎ!」
「ミリア! 無理しないで! フィーフィの防御を最大にするから――!」
フィーフィの結界が再び展開される。だが、その光すら魔王の闇に押され始めていた。
「そう、これが……この世界の“闇”そのものだ」
魔王が低く呟く。
「お前が愛したというこの世界には、欺瞞、差別、欲望、戦争、そして絶望が満ちている……! それでも――それでも守るというのか?」
「当然っ!」
ミリアが叫ぶ。その声に、力が宿る。
「わたし、知ってるよ。この世界に“ダメなところ”があるって。でも、だからって全部壊していい理由になんてならないよ!」
彼女の手に、光の剣が形成される。前世の妄想がそのまま具現化されたような、異世界の神器――名前はもちろん……
「《エクス☆カリバーン・オブ・ラグナロク∞(無限)》!!」
(※命名:厨二脳100%)
「うわ、名前長すぎて笑うしかないわ……」
クラウディアが絶句。
「いっけぇえええええええっ!!」
ミリアが跳ぶ。
魔王も迎撃する。
剣と爪がぶつかり、光と闇が弾ける。
――だが、その瞬間、ミリアの胸に何かが走った。
(あれ……なんか、懐かしい……?)
魔王の顔が、どこかで見たような……いや、知らないはずの感情が、湧き上がる。
(この感じ……まさか)
ミリアは、斬撃を止めた。
「ちょっと待って! あなた、本当に“魔王”なの?」
魔王の瞳が揺れる。
「……気づいたか。いや、そうだな……“思い出した”と言うべきか」
魔王の姿が、ほんの少し変化する。
角が折れ、禍々しさがやわらぎ、どこか人間に近い姿へ――
「私は……お前と同じ“転生者”だ」
「えええええええええええええ!?!?!?」
ミリアの絶叫が空に響いた。
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件名 | : 第三十六話「魔王、全力解放!ミリアの厨二バトルが止まらない!」** |
投稿日 | : 2025/06/26(Thu) 05:22 |
投稿者 | : ベンジー |
参照先 | : http://www.benjee.org |
第三十六話「魔王、全力解放!ミリアの厨二バトルが止まらない!」**
空間が軋む。世界の法則が捻じ曲がる。
ミリアの身体を包んだ光が弾け、そこに立っていたのは、もはや“ただの少女”ではなかった。
黒と白が交差するバトルスーツ風の衣装(※ビキニアーマーに変形可能)、背中からは謎の光翼、瞳は金と赤のオッドアイに。
「ちょっ……誰この美少女!?わたし!? いや、わたしだけど!? 厨二病ど真ん中なんですけどーーーッ!?」
「ミリア、それが……あなたのチートスキル!?」
クラウディアが思わず息をのむ。
「うんっ、どうやら“世界境界越え(ワールド・クロスオーバー)”っていうらしい! 転生者が、本来の世界の力を一時的に引っ張ってこれる、超チート能力!!」
「しかもわたし、フィーフィがうっかり伝え忘れてたから、ずっと気づいてなかったっていう……!」
「ご、ごめーん……ついうっかり……」
フィーフィがしょんぼり浮かんでいる。
「気にしてないよ! むしろ今までノースキルで無双してたって、自信になるし!」
ミリアはニッと笑い、前に出る。
魔王の顔に浮かぶのは、警戒――そして、興味。
「なるほど……これが“鍵”の真の姿か」
「鍵って言い方やめて? 自分が超重要人物みたいでゾクゾクするからっ!!」
そして、戦いは始まった。
魔王が放つ漆黒の波動が、空間を裂きながら突き進む。
ミリアは宙を滑るように回避しながら、片手で魔法陣を描き――
「いっけぇ、厨二必殺奥義その1――《星穿つ閃光(シューティング・ルミナス)》!」
天から降り注ぐ光の槍が、魔王に突き刺さる。
だが魔王もただでは済まない。闇を纏った翼を広げ、空を裂く咆哮を放つ。
「ッ!!」
その攻撃を、フィーフィの防御結界が防ぐ。
「ナイス、フィーフィ!」
「任せて! でもミリア、くれぐれも“余裕こいてピンチ演出”とかしすぎないでね!?」
「うっ……バレてる!? だ、だって盛り上がるじゃんっ!」
「盛り上がってる場合じゃないわよ!!」
クラウディアが怒鳴る。
ミリアは笑った。
「……でもね、これだけは本気で言えるよ」
彼女は魔王を真正面から見据える。
「わたし、この世界が大好き。フィーフィも、クラウディアも、みんな大切なの。だから――あなたを倒して、ちゃんと終わらせたい」
魔王の瞳が細められる。静かに、戦いの結末を見据えるように。
「ならば、我も応えよう。全てを懸けて――」
「最終決戦、開始ッ!!」
爆発するように、光と闇が交差する!
(つづく)
---
空間が軋む。世界の法則が捻じ曲がる。
ミリアの身体を包んだ光が弾け、そこに立っていたのは、もはや“ただの少女”ではなかった。
黒と白が交差するバトルスーツ風の衣装(※ビキニアーマーに変形可能)、背中からは謎の光翼、瞳は金と赤のオッドアイに。
「ちょっ……誰この美少女!?わたし!? いや、わたしだけど!? 厨二病ど真ん中なんですけどーーーッ!?」
「ミリア、それが……あなたのチートスキル!?」
クラウディアが思わず息をのむ。
「うんっ、どうやら“世界境界越え(ワールド・クロスオーバー)”っていうらしい! 転生者が、本来の世界の力を一時的に引っ張ってこれる、超チート能力!!」
「しかもわたし、フィーフィがうっかり伝え忘れてたから、ずっと気づいてなかったっていう……!」
「ご、ごめーん……ついうっかり……」
フィーフィがしょんぼり浮かんでいる。
「気にしてないよ! むしろ今までノースキルで無双してたって、自信になるし!」
ミリアはニッと笑い、前に出る。
魔王の顔に浮かぶのは、警戒――そして、興味。
「なるほど……これが“鍵”の真の姿か」
「鍵って言い方やめて? 自分が超重要人物みたいでゾクゾクするからっ!!」
そして、戦いは始まった。
魔王が放つ漆黒の波動が、空間を裂きながら突き進む。
ミリアは宙を滑るように回避しながら、片手で魔法陣を描き――
「いっけぇ、厨二必殺奥義その1――《星穿つ閃光(シューティング・ルミナス)》!」
天から降り注ぐ光の槍が、魔王に突き刺さる。
だが魔王もただでは済まない。闇を纏った翼を広げ、空を裂く咆哮を放つ。
「ッ!!」
その攻撃を、フィーフィの防御結界が防ぐ。
「ナイス、フィーフィ!」
「任せて! でもミリア、くれぐれも“余裕こいてピンチ演出”とかしすぎないでね!?」
「うっ……バレてる!? だ、だって盛り上がるじゃんっ!」
「盛り上がってる場合じゃないわよ!!」
クラウディアが怒鳴る。
ミリアは笑った。
「……でもね、これだけは本気で言えるよ」
彼女は魔王を真正面から見据える。
「わたし、この世界が大好き。フィーフィも、クラウディアも、みんな大切なの。だから――あなたを倒して、ちゃんと終わらせたい」
魔王の瞳が細められる。静かに、戦いの結末を見据えるように。
「ならば、我も応えよう。全てを懸けて――」
「最終決戦、開始ッ!!」
爆発するように、光と闇が交差する!
(つづく)
---
件名 | : 第三十五話 今、この世界のルールを超え、ミリアが「本気」を解放する――。 |
投稿日 | : 2025/06/26(Thu) 05:21 |
投稿者 | : ベンジー |
参照先 | : http://www.benjee.org |
第三十五話 今、この世界のルールを超え、ミリアが「本気」を解放する――。
魔王城――。
黒曜石で築かれたその城は、まるで闇そのものが形を成したようだった。空は血のように赤く染まり、雷が縦横無尽に走る。魔力の圧が大気を押しつぶし、ただ立っているだけでも正気を削ってくるような感覚。
しかし、その中に、ただ一人だけ、やけに元気な少女がいた。
「うわーっ、すっごいラスボス感!うっかり転生モノの最終回っぽいよね!」
「……これが、ミリアが言う“緊張感のない状況”ってやつなのね……」
クラウディアは眉間に深いしわを寄せている。
「でも、気を引き締めなきゃダメだよ。魔王ってこの世界の秩序そのものに関わる存在だし、油断してると――」
「はーい、了解でーす!とりあえず、ビキニアーマー装備してから行くね♪」
「なんでよっ!?!?!?!?」
ふざけているようで、ミリアの気配には確かに殺気が混じっていた。
魔王城の玉座の間。
そこに、彼はいた。
黒と紅のローブをまとい、仮面で顔を隠した長身の男。静かに、しかし威圧感に満ちて、ミリアたちを迎えた。
「ようこそ、ミリア・オルティナ。この世界の異物よ」
「えっ、異物って言われた!? ショック!!でもちょっと嬉しいっ!!」
「……お前がこの世界の因果を乱している。すべては、お前を“ここに来させた存在”の計画通り……」
「なんかよくある展開来たー!!陰謀!?黒幕!?わたし実は鍵だったとか!?」
魔王の瞳がわずかに揺れる。
「……だが。お前が“この世界を選んだ”というのなら、我も全力を持って迎えよう。異世界の少女よ」
「うん。いいよ、全力で遊ぼう? こっちも、全力でいくから!」
ミリアの背後に、クラウディアが剣を構え、フィーフィが防御結界を展開する。
「魔王戦――開幕っ!!」
次の瞬間、空間がねじれ、魔王が放った闇の刃が三人を襲った。
だが、それを包んだのはフィーフィの絶対防御結界。
「いけるよ、ミリア!」
「もちろん!フィーフィ、クラウディア、よろしく!」
ミリアの身体が、まばゆい光に包まれる。
“世界境界越え(ワールド・クロスオーバー)”
今、この世界のルールを超え、ミリアが「本気」を解放する――。
(つづく)
---
魔王城――。
黒曜石で築かれたその城は、まるで闇そのものが形を成したようだった。空は血のように赤く染まり、雷が縦横無尽に走る。魔力の圧が大気を押しつぶし、ただ立っているだけでも正気を削ってくるような感覚。
しかし、その中に、ただ一人だけ、やけに元気な少女がいた。
「うわーっ、すっごいラスボス感!うっかり転生モノの最終回っぽいよね!」
「……これが、ミリアが言う“緊張感のない状況”ってやつなのね……」
クラウディアは眉間に深いしわを寄せている。
「でも、気を引き締めなきゃダメだよ。魔王ってこの世界の秩序そのものに関わる存在だし、油断してると――」
「はーい、了解でーす!とりあえず、ビキニアーマー装備してから行くね♪」
「なんでよっ!?!?!?!?」
ふざけているようで、ミリアの気配には確かに殺気が混じっていた。
魔王城の玉座の間。
そこに、彼はいた。
黒と紅のローブをまとい、仮面で顔を隠した長身の男。静かに、しかし威圧感に満ちて、ミリアたちを迎えた。
「ようこそ、ミリア・オルティナ。この世界の異物よ」
「えっ、異物って言われた!? ショック!!でもちょっと嬉しいっ!!」
「……お前がこの世界の因果を乱している。すべては、お前を“ここに来させた存在”の計画通り……」
「なんかよくある展開来たー!!陰謀!?黒幕!?わたし実は鍵だったとか!?」
魔王の瞳がわずかに揺れる。
「……だが。お前が“この世界を選んだ”というのなら、我も全力を持って迎えよう。異世界の少女よ」
「うん。いいよ、全力で遊ぼう? こっちも、全力でいくから!」
ミリアの背後に、クラウディアが剣を構え、フィーフィが防御結界を展開する。
「魔王戦――開幕っ!!」
次の瞬間、空間がねじれ、魔王が放った闇の刃が三人を襲った。
だが、それを包んだのはフィーフィの絶対防御結界。
「いけるよ、ミリア!」
「もちろん!フィーフィ、クラウディア、よろしく!」
ミリアの身体が、まばゆい光に包まれる。
“世界境界越え(ワールド・クロスオーバー)”
今、この世界のルールを超え、ミリアが「本気」を解放する――。
(つづく)
---
件名 | : 第三十四話 「魔王、爆誕!?ミリア、全力でおふざけモード突入!」** |
投稿日 | : 2025/06/26(Thu) 05:20 |
投稿者 | : ベンジー |
参照先 | : http://www.benjee.org |
第三十四話 「魔王、爆誕!?ミリア、全力でおふざけモード突入!」**
魔王城――。
黒曜石で築かれたその城は、まるで闇そのものが形を成したようだった。空は血のように赤く染まり、雷が縦横無尽に走る。魔力の圧が大気を押しつぶし、ただ立っているだけでも正気を削ってくるような感覚。
しかし、その中に、ただ一人だけ、やけに元気な少女がいた。
「うわーっ、すっごいラスボス感!うっかり転生モノの最終回っぽいよね!」
「……これが、ミリアが言う“緊張感のない状況”ってやつなのね……」
クラウディアは眉間に深いしわを寄せている。
「でも、気を引き締めなきゃダメだよ。魔王ってこの世界の秩序そのものに関わる存在だし、油断してると――」
「はーい、了解でーす!とりあえず、ビキニアーマー装備してから行くね♪」
「なんでよっ!?!?!?!?」
ふざけているようで、ミリアの気配には確かに殺気が混じっていた。
魔王城の玉座の間。
そこに、彼はいた。
黒と紅のローブをまとい、仮面で顔を隠した長身の男。静かに、しかし威圧感に満ちて、ミリアたちを迎えた。
「ようこそ、ミリア・オルティナ。この世界の異物よ」
「えっ、異物って言われた!? ショック!!でもちょっと嬉しいっ!!」
「……お前がこの世界の因果を乱している。すべては、お前を“ここに来させた存在”の計画通り……」
「なんかよくある展開来たー!!陰謀!?黒幕!?わたし実は鍵だったとか!?」
魔王の瞳がわずかに揺れる。
「……だが。お前が“この世界を選んだ”というのなら、我も全力を持って迎えよう。異世界の少女よ」
「うん。いいよ、全力で遊ぼう? こっちも、全力でいくから!」
ミリアの背後に、クラウディアが剣を構え、フィーフィが防御結界を展開する。
「魔王戦――開幕っ!!」
次の瞬間、空間がねじれ、魔王が放った闇の刃が三人を襲った。
だが、それを包んだのはフィーフィの絶対防御結界。
「いけるよ、ミリア!」
「もちろん!フィーフィ、クラウディア、よろしく!」
ミリアの身体が、まばゆい光に包まれる。
“世界境界越え(ワールド・クロスオーバー)”
今、この世界のルールを超え、ミリアが「本気」を解放する――。
(つづく)
魔王城――。
黒曜石で築かれたその城は、まるで闇そのものが形を成したようだった。空は血のように赤く染まり、雷が縦横無尽に走る。魔力の圧が大気を押しつぶし、ただ立っているだけでも正気を削ってくるような感覚。
しかし、その中に、ただ一人だけ、やけに元気な少女がいた。
「うわーっ、すっごいラスボス感!うっかり転生モノの最終回っぽいよね!」
「……これが、ミリアが言う“緊張感のない状況”ってやつなのね……」
クラウディアは眉間に深いしわを寄せている。
「でも、気を引き締めなきゃダメだよ。魔王ってこの世界の秩序そのものに関わる存在だし、油断してると――」
「はーい、了解でーす!とりあえず、ビキニアーマー装備してから行くね♪」
「なんでよっ!?!?!?!?」
ふざけているようで、ミリアの気配には確かに殺気が混じっていた。
魔王城の玉座の間。
そこに、彼はいた。
黒と紅のローブをまとい、仮面で顔を隠した長身の男。静かに、しかし威圧感に満ちて、ミリアたちを迎えた。
「ようこそ、ミリア・オルティナ。この世界の異物よ」
「えっ、異物って言われた!? ショック!!でもちょっと嬉しいっ!!」
「……お前がこの世界の因果を乱している。すべては、お前を“ここに来させた存在”の計画通り……」
「なんかよくある展開来たー!!陰謀!?黒幕!?わたし実は鍵だったとか!?」
魔王の瞳がわずかに揺れる。
「……だが。お前が“この世界を選んだ”というのなら、我も全力を持って迎えよう。異世界の少女よ」
「うん。いいよ、全力で遊ぼう? こっちも、全力でいくから!」
ミリアの背後に、クラウディアが剣を構え、フィーフィが防御結界を展開する。
「魔王戦――開幕っ!!」
次の瞬間、空間がねじれ、魔王が放った闇の刃が三人を襲った。
だが、それを包んだのはフィーフィの絶対防御結界。
「いけるよ、ミリア!」
「もちろん!フィーフィ、クラウディア、よろしく!」
ミリアの身体が、まばゆい光に包まれる。
“世界境界越え(ワールド・クロスオーバー)”
今、この世界のルールを超え、ミリアが「本気」を解放する――。
(つづく)
件名 | : 第三十三話 「このチート、代償アリ。でも、それがどうしたっての!」 |
投稿日 | : 2025/06/26(Thu) 05:19 |
投稿者 | : ベンジー |
参照先 | : http://www.benjee.org |
第三十三話 「このチート、代償アリ。でも、それがどうしたっての!」
魔王軍の本拠地へと続く黒の渓谷――。その入口に、ミリアたちは立っていた。
「うわぁ……。まさに最終決戦の舞台って感じ!」
黒い岩肌は裂け、底知れぬ瘴気が谷底から立ちのぼる。空気は重く、息を吸うたびに魔力の圧が胸に響く。
「もう戻れませんわよ、ミリア」
クラウディアは剣の柄を握り締めながら、真っ直ぐ前を見て言った。
「うん。でも、なんかワクワクしてるかも!」
その笑顔は、かつての能天気さとは少し違う。
好奇心と、覚悟。背負うものの重さを知ってなお、前に進もうとする力。
「ここに来て成長したわね、ミリア」
フィーフィがぽつりとつぶやいた。
その表情には、少しの寂しさと、誇らしさ。
「……あのね。さっき、やっと思い出したんだけど」
「ん? なにを?」
「ミリアのチートスキルの話。ずっと言おうと思ってて……忘れてたの」
「はァ!? 今さら!?!?」
「ごめんごめんっ! でも、ちゃんと説明するね」
フィーフィが小さな手をひろげると、淡い光が渓谷の入り口を包んだ。
「ミリアのスキルは――“世界境界越え(ワールド・クロスオーバー)”。」
「……なにそれ。厨二病っぽくて好き」
「簡単に言えば、“この世界のルールを無視できる力”。魔法、物理法則、運命、因果……全部、部分的にねじ曲げられるの」
「うわっ、めっちゃチートじゃん!? というか、今までどうやってたの!?」
「ミリアがそれを“無自覚に使ってた”からよ。攻撃が効かないのも、変な妄想が現実になるのも、そのせい」
「なるほどー! じゃあ、わたしが“触手に捕まりたい”って思ったとき、触手がノリノリだったのも……」
「……たぶん、そう」
「……チートすぎない!?(でも最高!)」
「でも、代償があるの」
フィーフィの声は、すこしだけかすれていた。
「代償?」
「この力を使いすぎると、ミリアの“存在”がこの世界からはみ出すの。つまり、どこにも属さない存在になる」
「……なにそれ。消えちゃうってこと?」
「ううん。消えはしない。でも、“どこにも居場所がなくなる”の」
しんと静まる空気の中、ミリアは小さく笑った。
「そっか。でも、大丈夫だよ」
「え……?」
「フィーフィも、クラウディアも、みんなが居てくれるし。わたし、どこにいても“ここにいた”って胸張れるからさ!」
ふわりと、フィーフィが涙をこぼした。
「――行こう。ラスボスのとこへ!」
渓谷を越えた先に、魔王城の影が揺れていた。
(つづく)
---
魔王軍の本拠地へと続く黒の渓谷――。その入口に、ミリアたちは立っていた。
「うわぁ……。まさに最終決戦の舞台って感じ!」
黒い岩肌は裂け、底知れぬ瘴気が谷底から立ちのぼる。空気は重く、息を吸うたびに魔力の圧が胸に響く。
「もう戻れませんわよ、ミリア」
クラウディアは剣の柄を握り締めながら、真っ直ぐ前を見て言った。
「うん。でも、なんかワクワクしてるかも!」
その笑顔は、かつての能天気さとは少し違う。
好奇心と、覚悟。背負うものの重さを知ってなお、前に進もうとする力。
「ここに来て成長したわね、ミリア」
フィーフィがぽつりとつぶやいた。
その表情には、少しの寂しさと、誇らしさ。
「……あのね。さっき、やっと思い出したんだけど」
「ん? なにを?」
「ミリアのチートスキルの話。ずっと言おうと思ってて……忘れてたの」
「はァ!? 今さら!?!?」
「ごめんごめんっ! でも、ちゃんと説明するね」
フィーフィが小さな手をひろげると、淡い光が渓谷の入り口を包んだ。
「ミリアのスキルは――“世界境界越え(ワールド・クロスオーバー)”。」
「……なにそれ。厨二病っぽくて好き」
「簡単に言えば、“この世界のルールを無視できる力”。魔法、物理法則、運命、因果……全部、部分的にねじ曲げられるの」
「うわっ、めっちゃチートじゃん!? というか、今までどうやってたの!?」
「ミリアがそれを“無自覚に使ってた”からよ。攻撃が効かないのも、変な妄想が現実になるのも、そのせい」
「なるほどー! じゃあ、わたしが“触手に捕まりたい”って思ったとき、触手がノリノリだったのも……」
「……たぶん、そう」
「……チートすぎない!?(でも最高!)」
「でも、代償があるの」
フィーフィの声は、すこしだけかすれていた。
「代償?」
「この力を使いすぎると、ミリアの“存在”がこの世界からはみ出すの。つまり、どこにも属さない存在になる」
「……なにそれ。消えちゃうってこと?」
「ううん。消えはしない。でも、“どこにも居場所がなくなる”の」
しんと静まる空気の中、ミリアは小さく笑った。
「そっか。でも、大丈夫だよ」
「え……?」
「フィーフィも、クラウディアも、みんなが居てくれるし。わたし、どこにいても“ここにいた”って胸張れるからさ!」
ふわりと、フィーフィが涙をこぼした。
「――行こう。ラスボスのとこへ!」
渓谷を越えた先に、魔王城の影が揺れていた。
(つづく)
---
件名 | : 第三十二話 ―運命の夜、語られる真実― |
投稿日 | : 2025/06/26(Thu) 05:18 |
投稿者 | : ベンジー |
参照先 | : http://www.benjee.org |
第三十二話 ―運命の夜、語られる真実―
ぱち、ぱち、と焚き火が静かに音を立てていた。
森の小さな開けた空間に、ミリア、クラウディア、フィーフィ、そして勇者レオナルドが輪になって座っている。空はすっかり夜の帳に包まれていた。
ミリアは膝を抱えながら、少しだけ視線を上に向けた。
「で? 私のチートって、なんだったの?」
レオナルドは焚き火の光に照らされた静かな目をミリアに向けた。
「君の力は、“存在の再定義”だ」
「……はい?」
ミリアが一瞬でフリーズした。
「もっとわかりやすく言うと……“自分の状態を、意識で書き換えられる”能力だ」
「ちょっと待って。チートの名前、なんか難しすぎない? “リナ=リビルド”とか、そういうのじゃないの?」
フィーフィが小さく手を挙げる。
「えーっと、つまりね、たとえば“私は怪我してない”って思えば、実際に怪我が消えるし、“絶対勝てる”って思えば、その瞬間だけ勝てる力が湧いてくる、みたいな……」
「え、それってめっちゃ強くない!?」
「だから、チートだって言ったじゃん……最初から」
「うっそ、フィーフィ。そんな大事なことを……」
「……忘れてた☆」
ミリアが頭を抱えた。
「忘れ癖、なんとかして……でもまあ、なるほど。だから、私、素でモンスターぶっ倒せたのか」
「ただし」レオナルドが言葉を継ぐ。「その力には、“意識の代償”がある」
「代償……?」
「“意識”が現実を書き換える代わりに、君の“心”にも負荷がかかる。過剰な使用は、自己の崩壊を招く」
クラウディアが息をのんだ。
「つまり……?」
「自分のことを“最強”と強く思い込むたびに、君の心は本当に“最強の存在”として再構成されていく。気づかないうちに、“普通の女の子の自分”を失ってしまうかもしれないんだ」
しばしの沈黙。
ミリアは焚き火を見つめながら、小さく呟いた。
「……そっか。でも」
「でも?」
「――ちょっとカッコよくない!? なにその“力に溺れて暴走する未来”感! 厨二心、超くすぐる!」
「そこ!?!?」
フィーフィが転げ落ち、クラウディアは額を押さえ、レオナルドは小さく笑った。
「君は本当に……この世界にとって異質で、希望だ」
「ふふん♪ じゃあ、私が心を失わない程度に、世界を救ってみせましょうか!」
「ま、どうせ妄想が元で暴走するような子ですし。今さら崩壊したところで、私たちは気づかないかもしれませんわね」
「え、それ褒めてる?」
「もちろん、皮肉です」
夜空の星が、焚き火の周りを優しく包んでいた。
そしてその時、フィーフィがぽつりと呟いた。
「ミリア……もしかしてもう、少しだけ変わり始めてるのかもね。無自覚なまま、少しずつ」
誰もが黙る中、ミリアだけが楽しげに笑っていた。
「なーに、今までも、これからも! 私は私だもん! ねっ?」
その無邪気な笑顔が、どこまでも輝いていた――。
---
ぱち、ぱち、と焚き火が静かに音を立てていた。
森の小さな開けた空間に、ミリア、クラウディア、フィーフィ、そして勇者レオナルドが輪になって座っている。空はすっかり夜の帳に包まれていた。
ミリアは膝を抱えながら、少しだけ視線を上に向けた。
「で? 私のチートって、なんだったの?」
レオナルドは焚き火の光に照らされた静かな目をミリアに向けた。
「君の力は、“存在の再定義”だ」
「……はい?」
ミリアが一瞬でフリーズした。
「もっとわかりやすく言うと……“自分の状態を、意識で書き換えられる”能力だ」
「ちょっと待って。チートの名前、なんか難しすぎない? “リナ=リビルド”とか、そういうのじゃないの?」
フィーフィが小さく手を挙げる。
「えーっと、つまりね、たとえば“私は怪我してない”って思えば、実際に怪我が消えるし、“絶対勝てる”って思えば、その瞬間だけ勝てる力が湧いてくる、みたいな……」
「え、それってめっちゃ強くない!?」
「だから、チートだって言ったじゃん……最初から」
「うっそ、フィーフィ。そんな大事なことを……」
「……忘れてた☆」
ミリアが頭を抱えた。
「忘れ癖、なんとかして……でもまあ、なるほど。だから、私、素でモンスターぶっ倒せたのか」
「ただし」レオナルドが言葉を継ぐ。「その力には、“意識の代償”がある」
「代償……?」
「“意識”が現実を書き換える代わりに、君の“心”にも負荷がかかる。過剰な使用は、自己の崩壊を招く」
クラウディアが息をのんだ。
「つまり……?」
「自分のことを“最強”と強く思い込むたびに、君の心は本当に“最強の存在”として再構成されていく。気づかないうちに、“普通の女の子の自分”を失ってしまうかもしれないんだ」
しばしの沈黙。
ミリアは焚き火を見つめながら、小さく呟いた。
「……そっか。でも」
「でも?」
「――ちょっとカッコよくない!? なにその“力に溺れて暴走する未来”感! 厨二心、超くすぐる!」
「そこ!?!?」
フィーフィが転げ落ち、クラウディアは額を押さえ、レオナルドは小さく笑った。
「君は本当に……この世界にとって異質で、希望だ」
「ふふん♪ じゃあ、私が心を失わない程度に、世界を救ってみせましょうか!」
「ま、どうせ妄想が元で暴走するような子ですし。今さら崩壊したところで、私たちは気づかないかもしれませんわね」
「え、それ褒めてる?」
「もちろん、皮肉です」
夜空の星が、焚き火の周りを優しく包んでいた。
そしてその時、フィーフィがぽつりと呟いた。
「ミリア……もしかしてもう、少しだけ変わり始めてるのかもね。無自覚なまま、少しずつ」
誰もが黙る中、ミリアだけが楽しげに笑っていた。
「なーに、今までも、これからも! 私は私だもん! ねっ?」
その無邪気な笑顔が、どこまでも輝いていた――。
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件名 | : 第三十一話 ―代償と再会、そして運命の胎動― |
投稿日 | : 2025/06/26(Thu) 05:17 |
投稿者 | : ベンジー |
参照先 | : http://www.benjee.org |
第三十一話 ―代償と再会、そして運命の胎動―
「……で、代償って、何?」
戦いが終わり、荒れ果てた森に沈む夕日を背に、ミリアは気楽な声で問いかけた。
フィーフィは小さな羽根をぱたぱたと動かしながら、そっと目を逸らす。
「えっと……うん……それがね……」
「うん?」
「忘れてた……」
「またかーっ!!」
森にミリアの叫びがこだました。
「ご、ごめんごめん! ほんとに! ちょっと前に“あっ! そういえば!”って思い出したんだけど、マレヴァさんとの戦いでテンパってて……」
「え、じゃあ、私……何か重大なモノを失ってたりする?」
「たぶん……ない、と思う……たぶん……」
「絶対あるやつじゃーん!!」
クラウディアは呆れ顔で腕を組みながら、それでも心配そうにミリアを見ていた。
「まあ……今のところ、異常はないようですけれど。体に違和感は?」
「ないねぇ。ちょっとテンション上がりすぎて喉が渇いてるくらい?」
「それは……異常じゃなくて、ただの元気バカですね」
「おお、褒められた! さすがクラウディア!」
「褒めてません!」
そんなやり取りをしていると、森の奥から蹄の音が聞こえてきた。
「誰か来る……馬だわ」
クラウディアが手を剣にかける。
現れたのは、一騎の白馬に乗った青年――銀色の鎧に身を包み、まばゆい金髪を風になびかせる、まさに絵に描いたような“勇者”だった。
「――やはり、君だったか。ミリア」
ミリアの目がキラーンと輝く。
「きたっ!! イケメン!!」
「名前を覚えていないのか……?」
勇者、**レオナルド=ヴァレンシュタイン**は、若干困ったような微笑を浮かべた。
「ごめん、見た目のインパクトが強すぎて! でも大丈夫、これからいっぱい名前呼ぶから!」
「呼ばれ慣れていないので、優しくお願いします」
「くぅ〜! なんかその落ち着き、ズルい! 一度でいいから『フン、貴様ごときが!』とか言ってみて!」
「……言う意味がないだろう?」
「そこがイイのッ!!」
フィーフィがぽつりと呟く。
「……これは長くなりそうね」
レオナルドが馬を降り、静かにミリアたちの前に立つ。
「君の力が覚醒したのは、偶然ではない。世界が動き始めている。……そろそろ、語るべき時だと思って来たんだ」
その真剣な眼差しに、ミリアも少しだけ――ほんの少しだけ、表情を引き締めた。
「そっか。じゃあ、話してよ。私が、この世界でどんなポジションなのか」
「……そして、“代償”とは何なのかも」
火が灯り、焚き火の音が夜の静けさに響き始めた。
静かに始まる、真実の語り。
次回――**ミリアのチートスキル、そして“代償”の真相が明らかに!?**
---
「……で、代償って、何?」
戦いが終わり、荒れ果てた森に沈む夕日を背に、ミリアは気楽な声で問いかけた。
フィーフィは小さな羽根をぱたぱたと動かしながら、そっと目を逸らす。
「えっと……うん……それがね……」
「うん?」
「忘れてた……」
「またかーっ!!」
森にミリアの叫びがこだました。
「ご、ごめんごめん! ほんとに! ちょっと前に“あっ! そういえば!”って思い出したんだけど、マレヴァさんとの戦いでテンパってて……」
「え、じゃあ、私……何か重大なモノを失ってたりする?」
「たぶん……ない、と思う……たぶん……」
「絶対あるやつじゃーん!!」
クラウディアは呆れ顔で腕を組みながら、それでも心配そうにミリアを見ていた。
「まあ……今のところ、異常はないようですけれど。体に違和感は?」
「ないねぇ。ちょっとテンション上がりすぎて喉が渇いてるくらい?」
「それは……異常じゃなくて、ただの元気バカですね」
「おお、褒められた! さすがクラウディア!」
「褒めてません!」
そんなやり取りをしていると、森の奥から蹄の音が聞こえてきた。
「誰か来る……馬だわ」
クラウディアが手を剣にかける。
現れたのは、一騎の白馬に乗った青年――銀色の鎧に身を包み、まばゆい金髪を風になびかせる、まさに絵に描いたような“勇者”だった。
「――やはり、君だったか。ミリア」
ミリアの目がキラーンと輝く。
「きたっ!! イケメン!!」
「名前を覚えていないのか……?」
勇者、**レオナルド=ヴァレンシュタイン**は、若干困ったような微笑を浮かべた。
「ごめん、見た目のインパクトが強すぎて! でも大丈夫、これからいっぱい名前呼ぶから!」
「呼ばれ慣れていないので、優しくお願いします」
「くぅ〜! なんかその落ち着き、ズルい! 一度でいいから『フン、貴様ごときが!』とか言ってみて!」
「……言う意味がないだろう?」
「そこがイイのッ!!」
フィーフィがぽつりと呟く。
「……これは長くなりそうね」
レオナルドが馬を降り、静かにミリアたちの前に立つ。
「君の力が覚醒したのは、偶然ではない。世界が動き始めている。……そろそろ、語るべき時だと思って来たんだ」
その真剣な眼差しに、ミリアも少しだけ――ほんの少しだけ、表情を引き締めた。
「そっか。じゃあ、話してよ。私が、この世界でどんなポジションなのか」
「……そして、“代償”とは何なのかも」
火が灯り、焚き火の音が夜の静けさに響き始めた。
静かに始まる、真実の語り。
次回――**ミリアのチートスキル、そして“代償”の真相が明らかに!?**
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件名 | : 第三十話(続き)―幻想拳・第二形態、炸裂!マレヴァとの決着― |
投稿日 | : 2025/06/26(Thu) 05:16 |
投稿者 | : ベンジー |
参照先 | : http://www.benjee.org |
第三十話(続き)―幻想拳・第二形態、炸裂!マレヴァとの決着―
「異界適応:幻想拳・第二形態――バグる寸前!!」
ミリアの拳が光を帯び、空間が歪んだ。まるで現実そのものがミリアの“設定”に引っ張られるかのように、空気がピリピリと震える。
「これが私の……厨二の極致っ!」
「ふざけた力ね……けれど、その力が暴走すれば――!」
マレヴァが身を翻し、今度は宙に舞い上がる。空中で手をかざし、禍々しい魔法陣が次々に展開されていく。
「【終焉の連鎖(デスペラード・リンク)】!」
次の瞬間、黒紫の魔弾が無数に放たれた。まるで雨のように降り注ぐ破滅の魔力。ミリアの周囲が一気に闇に染まる――!
「ふっふっふ……今の私は無敵。さぁ、行けっ! 厨二バリアッ!!」
「名前で発動すんの!?」
フィーフィが絶叫した瞬間、バシュンッと金色の結界が展開。魔弾の雨を一斉に弾き返した。
「な、なに!? 私の魔法がっ……効かない……?」
「説明しよう!」ミリアがなぜかポーズを決める。「この結界、見た目はフィーフィのやつだけど、実は私の“自己都合妄想”によって三割増しに強化されているのだ!」
「ちょ、そんな勝手に――」
「てことで、そろそろ反撃いっくよおおおおおっ!!」
ミリアが地面を蹴った。
速度は音速を超え、衝撃波が地を割る。その拳が、一直線にマレヴァへと突き刺さる――!
「幻想拳、第二形態・究極奥義!!《世界が私を主人公にしている》ッ!!」
ドカァアアアアンッ!!
眩い閃光と共に、マレヴァの周囲が一瞬で吹き飛んだ。魔力の渦が崩壊し、空間が震え、そして……静寂が訪れる。
「ぐっ……ふ、ふふ……見事よ、ミリア」
瓦礫の中で、マレヴァが膝をつく。だが、どこか満足そうな表情を浮かべていた。
「あなたこそ、異世界に選ばれし者……この私を、真正面から破った初めての相手……」
「へへっ、やった! あ、でも服ビリビリになってないなぁ。ちょっと残念」
「なぜそこを気にする!?」
クラウディアの鋭いツッコミが炸裂する中、マレヴァが力尽きて崩れ落ちる。
――こうして、魔王軍幹部マレヴァとの死闘は幕を閉じた。
だが、それはまだ始まりにすぎない。
「フィーフィ、なんか今、世界の法則が揺らいでる感じしなかった?」
「う、うん……正直、今のでミリアちゃんの“チート能力”が覚醒しちゃったかもしれない……!」
「え、今ので? うわ、やったー! 無敵モード突入じゃん!」
「その代わり、“代償”もあるって言ってたけど……大丈夫、かな?」
「だいじょーぶ、だいじょーぶっ! そんなもん、都合よく無視すればいいんだよ!」
……都合よく、はたして済むのかどうか。
次回、**ついに勇者レオナルド=ヴァレンシュタインと再会!?**
そして、“世界の綻び”に迫る者たちが、静かに動き始める――!
---
「異界適応:幻想拳・第二形態――バグる寸前!!」
ミリアの拳が光を帯び、空間が歪んだ。まるで現実そのものがミリアの“設定”に引っ張られるかのように、空気がピリピリと震える。
「これが私の……厨二の極致っ!」
「ふざけた力ね……けれど、その力が暴走すれば――!」
マレヴァが身を翻し、今度は宙に舞い上がる。空中で手をかざし、禍々しい魔法陣が次々に展開されていく。
「【終焉の連鎖(デスペラード・リンク)】!」
次の瞬間、黒紫の魔弾が無数に放たれた。まるで雨のように降り注ぐ破滅の魔力。ミリアの周囲が一気に闇に染まる――!
「ふっふっふ……今の私は無敵。さぁ、行けっ! 厨二バリアッ!!」
「名前で発動すんの!?」
フィーフィが絶叫した瞬間、バシュンッと金色の結界が展開。魔弾の雨を一斉に弾き返した。
「な、なに!? 私の魔法がっ……効かない……?」
「説明しよう!」ミリアがなぜかポーズを決める。「この結界、見た目はフィーフィのやつだけど、実は私の“自己都合妄想”によって三割増しに強化されているのだ!」
「ちょ、そんな勝手に――」
「てことで、そろそろ反撃いっくよおおおおおっ!!」
ミリアが地面を蹴った。
速度は音速を超え、衝撃波が地を割る。その拳が、一直線にマレヴァへと突き刺さる――!
「幻想拳、第二形態・究極奥義!!《世界が私を主人公にしている》ッ!!」
ドカァアアアアンッ!!
眩い閃光と共に、マレヴァの周囲が一瞬で吹き飛んだ。魔力の渦が崩壊し、空間が震え、そして……静寂が訪れる。
「ぐっ……ふ、ふふ……見事よ、ミリア」
瓦礫の中で、マレヴァが膝をつく。だが、どこか満足そうな表情を浮かべていた。
「あなたこそ、異世界に選ばれし者……この私を、真正面から破った初めての相手……」
「へへっ、やった! あ、でも服ビリビリになってないなぁ。ちょっと残念」
「なぜそこを気にする!?」
クラウディアの鋭いツッコミが炸裂する中、マレヴァが力尽きて崩れ落ちる。
――こうして、魔王軍幹部マレヴァとの死闘は幕を閉じた。
だが、それはまだ始まりにすぎない。
「フィーフィ、なんか今、世界の法則が揺らいでる感じしなかった?」
「う、うん……正直、今のでミリアちゃんの“チート能力”が覚醒しちゃったかもしれない……!」
「え、今ので? うわ、やったー! 無敵モード突入じゃん!」
「その代わり、“代償”もあるって言ってたけど……大丈夫、かな?」
「だいじょーぶ、だいじょーぶっ! そんなもん、都合よく無視すればいいんだよ!」
……都合よく、はたして済むのかどうか。
次回、**ついに勇者レオナルド=ヴァレンシュタインと再会!?**
そして、“世界の綻び”に迫る者たちが、静かに動き始める――!
---
ちょっと長いです。
掲示板の仕様上、下から上に読み上げる形になっています。
ちょっと読みづらいかもしれませんが、
エッチな要素を挟みつつ、割と本格的なファンジー物になっていると思います。
最後までお付き合い頂ければ幸いです。