『ちょっとエッチな美香ちゃん日記』 その1
◇露出への憧憬◇
『夫は酔うと、わたしを裸にして表へ出すのです』
新聞のテレビ番組欄に見付けた文字に今までに無い興奮を覚えたのは、わたしがまだ高校生の頃でした。お昼のワイド番組の見出しだったのですが、わたしにいろいろな疑問を抱かせました。裸で表へ出されたりしたらどんなに恥ずかしいだろう、その時この奥さんはどうしたのだろう、裸と言っても下着もつけさせてもらえなかったのだろうか……
そう考えている内に、わたしはたまらなくその番組を見たくなりました。とは言っても、高校生のわたしには学校があります。平日のお昼のテレビを見られる訳がありません。見られないとなると余計に見たくなるものです。学校に行く電車の中でも、授業の最中でさえ、そのことばかり考えていました。消極的で臆病な普段のわたしからは考えられない事なのですが、どうしても自分の気持ちを押え切れなくなったわたしは、とうとう仮病を使って学校を早退してしまいました。母は昼間は仕事に出ていましたので、帰っても誰もいない筈です。
でも家に着くまでの間、わたしは嘘をついた自分にドキドキしていました。もし急に母が帰って来たらどうしよう、もし夜になって学校から連絡が入ったらどうしよう、そんな不安もテレビを見たいと思う気持ちには勝てなかったのです。そして、お昼のワイド番組が始まるのを待ち焦がれました。本当にその時間の長かったことと言ったら、なんとも書きようがありません。
いよいよワイドショーが始まりました。あれだけ期待させておきながら、その内容は正直言ってつまらないものでした。
「夫が大酒のみの乱暴者で、日頃から殴る蹴るの虐待に泣かされている。子供のために別れることもできず、ただじっと耐えるだけの毎日を送っているが、なんとかならないでしょうか」
要約するとこんなところでしょう。世間によくある話です。その中で唯一わたしの期待に応えてくれたのは、スリップ一枚の姿で表に締め出された事もあった、と言うことでした。どんな状況からそんな仕打ちを受けたのか何の説明もありませんでしたが、そのことが却っていろいろな想像を掻き立てたのです。
その奥さんの家はどんなところなのでしょう。
回りには人がいなかったのでしょうか。
いたとしたら、どんなに恥ずかしかったことでしょう。
いなかったとしても、どれくらい長い間表にいたのでしょうか。
その間、どれくらい緊張していたことでしょう。
テレビ番組にはガッカリしていながら、自分の想像にドキドキしてしまいました。
わたしはいつの間にか立ち上がっていました。学校から帰ったままの制服姿だったわたしの指はブラウスのボタンにかかっていました。そして無意識の内に上から二つ目のボタンまではずしていました。わたしは一体何をしようと言うのでしょう。自分のしようとしている事が信じられません。そうしている内にもブラウスのボタンは全部はずれてしまいました。スカートのホックにかかった手がためらうことも無く、わたしの体からスカートを脱がしていきました。スリップを着ていなかったわたしはブラとパンティーだけの姿になっていました。
わたしの家は住宅街の一戸建てです。わたしはその玄関のドアのすぐ内側まで裸に近い恰好で行きました。自分のやって要ることがまだ信じられません。このままの姿で表に出ようと言うのでしょうか。
さすがにドアを開ける時には緊張しました。もし外に人がいてこんな姿で表に出ようとしているところを見られたりしたら、これから近所を歩けなくなります。ドアのノブを握る手が汗でべっとりしてきました。
ゆっくりとノブを回して、音を立てないように、そっとドアを開けました。ドアチェーンをしたまま、やっと表を覗けるだけ開いて外の様子を伺いました。
玄関の外はすぐに道路になっています。垣根の向こうには誰もいませんでした。わたしの心臓はどんどん早くなっていきました。こんな真っ昼間の戸外へ下着姿で出たりしたら、たとえこちらからは見えなくても、どこから見られているか分かったものではありません。
それでもわたしはドアチェーンをはずしてしまいました。そして少しずつ大きく開いていったドアに隠れながら、いつもは感じることの無い肌に表の空気を感じました。いよいよ半裸のわたしが表に出るのです。
一歩目を踏み出そうとしたその時、突然車のエンジン音が聞こえました。わたしは慌ててドアを閉めました。そして閉めたドアにもたれかかるようにして玄関に座り込んでしまいました、下着姿のままで。
本当に心臓が爆発するかと思いました。
それでもすぐに我に帰ったわたしは、急いでドアの鍵を掛け部屋に戻って服を着ました。全く時間が無くて焦っている時のように急いで服を着ました。すっかり身支度を整えてしまっても興奮が収まりませんでした。
わたしはいったい何をしようとしていたのでしょうか。
本当に裸で表に出るつもりだったのでしょうか。さっきまでは感じていなかったのですが、今頃になって急に恥ずかしくなって来ました。突然走って来た車の運転手にはわたしが見えたでしょうか。他にもわたしの姿を見た人がいるかもしれない、そう思うと胸のドキドキが鎮まりません。
わたしはどうかしていたのでしょう。何であんなことをしてしまったのか、後悔に似た感情が沸き上がっていました。もし誰かに見られていたりしたらどうしよう。そんな気持ちと同時に、何か非常に貴重な体験をしたような気もして複雑な心境でした。
でも、少なくともこの時は、二度とこんな馬鹿なことはしないだろうと思っていました。これが、わたしと露出との出会いとなったのです。
夜になって家族の皆が顔を揃えても、わたしの興奮は完全に収まってはいませんでした。そして昼間の事ばかり考えていました。二度とあんな恥ずかしい事はしないと考えていた筈なのに、僅か半日の内にもっと大胆になれなかったことを後悔し始めていました。昼間は危険だから今度は夜暗くなってからにしようとか、ブラやパンティーまで脱いでしまったらどんな気持ちだろうとか。段々そんな気持ちが強くなっていったのです。
とは言っても、こんな機会がそうあるものではありません。わたしは両親と兄の四人家族で、今日のように一人で家にいることなどめったにありません。機会が無いと思うとそれだけ今日のことが貴重に思えてきました。絶好の機会を逃してしまった事がとても残念でした。
それからというもの、一人でお風呂に入っている時など、窓を全部開けて、わざとそのそばに立ってみたりするようになりました。もちろん表に誰もいないのを慎重に確認してからですが。夜とは言え外からはお風呂の明かりに照らされたわたしの姿がよく見える筈です。そのまま窓から表に出てみようと何度思ったか知れません。そうすればすぐにわたしの願望が叶うのです。
いつだったか、こんな夢を見ました。
わたしは一大決心をして、ついにお風呂場の窓から表に出ました。入浴中ですので、当然生まれたままの素っ裸です。辺りは暗くなっていましたから、すぐに誰かに見つかると言うことはないでしょう。でも、その興奮は並々ならぬものがありました。あれほど表に出てみたいと思っていたのに、野外にハダカでいると怖くてたまりません。わたしはすぐに戻ろうとしました。その時、大変なことが起きたのです。
「あら、誰もいないの。だめねえ、開けっ放しで」
母です。そう言ってお風呂の窓を閉めてしまったのです。
わたしは家に入ることができなくなってしまいました。まさかこんなことになるなんて……でも、もう手遅れです。丸裸のまま、ひとりで震えているしかないのです。
誰かに自分の裸を見られたいと言うのではありません。見られるかもしれないと言うスリルが欲しかったのです。でも実際に見られるのは絶対に嫌です。元来臆病なわたしはどうしてもそれ以上の行動はとれませんでした。いつか真っ昼間に真っ裸で屋外を走り抜ける自分の姿を想像して、気持ちを高ぶらせていました。こうしてわたしの露出への憧憬は確実に植え付けられていったのでした。
(つづく)
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